酪農業の現状と収益改善への戦略

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酪農
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酪農業界は、国際競争の激化や市場需要の変化、生産コストの上昇といった複合的な課題に直面しています。本記事では、既に酪農に携わる皆様向けに、価格低迷の現状や収益性改善のための実践的戦略(6次産業化、A2ミルクの導入など)を専門的な視点で解説します。

犬さん
犬さん

変化に対応し、新たな価値を生み出す取り組みが重要!


1. 価格低迷と収益性の現状

国際市場と国内市場の影響

  • 国際競争の激化: EU諸国やニュージーランドなどからの低コストな乳製品輸入により、国内酪農家は価格競争にさらされています。
  • アウトサイダー問題: 北海道で生産された生乳がプール乳価の仕組みを通じて、本州の市場に安価に流入する現象が、地域間の格差と収益圧迫を引き起こしています。

市場需要と生産コストの変動

  • 需要の減少: 若年層の牛乳離れや、豆乳、アーモンドミルクなどの代替飲料の普及により、伝統的な牛乳の需要が低下傾向にあります。
  • 生産コストの上昇: 飼料費、燃料費、労働力のコストが上昇しており、販売価格の硬直性と相まって利益率が低下しています。
犬さん
犬さん

飼料や燃料費が上昇する一方で、牛乳の販売価格は上げにくい状況…

乳価上昇の背景と影響 ホクレン 2025

2. 生乳および牛乳の価格動向データ(Milk Producer Price)

下記のデータは、直近の生乳農家販売価格の推移を示しています。
(※単位は円/リットル)

年月価格
2023年11月121.5
2023年12月120.6
2024年1月120.7
2024年2月120.7
2024年3月120.7
2024年4月118.5
2024年5月120.5
2024年6月121.1
2024年7月122.5
2024年8月122.2
2024年9月122.1
2024年10月124.7
2024年11月124.7
2024年12月124.3
2025年1月122.1

この推移から、特に2024年4月に118.5円と大幅に下落した後、やや回復傾向にあるものの、依然として変動が激しいことが分かります。これにより、安定的な収益確保が難しい現状が明確です。

2025年ではホクレンや関東生乳販連での生乳価格引き上げが行われています。


3. 牛乳・卵の価格硬直性とインフレの影響

牛乳や卵は「物価の優等生」として知られ、長期間にわたり価格が安定しています。しかし、インフレ局面では以下のような問題が浮上します。

  • 生産コストの上昇: 飼料費やエネルギーコストが上昇しても、乳価自体が迅速に上昇しないため、利益が圧迫される。
  • 価格転嫁の難しさ: 消費者の価格感度が高く、メーカーや小売業者も値上げに踏み切りにくい。
  • 経営の厳しさ: 生産コストが上昇する一方で、販売価格が硬直しているため、収益性の低下が顕著になる。

このような状況下では、コスト管理の徹底と同時に、付加価値のある製品開発や販売戦略が不可欠です。

牛さん
牛さん

コストは上がるのに、乳価はすぐに上がらず酪農家が苦しい状況に…


4. 実践的な経営戦略と差別化の具体例

6次産業化によるブランド化の推進

6次産業化とは、生産(第1次)から加工(第2次)、販売(第3次)まで一貫して行うことで、製品のブランド価値を高める取り組みです。具体例としては:

  • 牧場直販: 自社ブランドの乳製品(ヨーグルト、チーズ、ジェラートなど)の直販体制の構築。
  • 観光酪農の活用: 牧場体験と直販を組み合わせ、地域の魅力を発信。
  • 地産地消の推進: 地元スーパーやレストランとの連携による信頼性の高い販路の確保。
犬さん
犬さん

牧場直販や観光酪農で地域を発信し、地元と連携して販路を広げる!

付加価値製品の展開:A2ミルクの可能性

A2ミルクは、A2βカゼインを含む牛乳で、一般的な牛乳に比べて消化しやすいとされ、健康志向の消費者に支持されています。市場拡大の可能性は大きく、以下の点が注目されます:

  • 独自性のアピール: 他社との差別化を図るためのブランド戦略として有効。
  • 市場ニーズへの対応: 健康志向やアレルギー対策として、消費者の関心が高まる中で競争力のある製品となる。
  • 海外市場への展開: 特にオーストラリアや米国での人気を背景に、輸出などの新たな販路拡大が期待される。

A2ミルクについて詳しく知りたい方はこちらをチェック!

5. 今後の展望と具体的なアクションプラン

価格低迷時代の生き残り戦略

  • データに基づく経営判断: 生乳価格の動向を定期的にモニタリングし、早期に対応策を講じる。
  • コスト削減と効率化: エネルギー効率の改善や自給飼料の利用、労働環境の最適化を図る。
  • 長期的な契約見直し: 乳業メーカーや市場との契約条件の再検討により、価格安定を目指す。

差別化とブランド強化

  • 地域密着型のマーケティング: 地域の特色や歴史、牧場のこだわりを前面に出し、消費者との信頼関係を構築する。
  • 付加価値製品の導入: A2ミルクやオーガニック乳製品、さらには機能性乳製品など、多角的な製品展開を検討する。
  • 6次産業化の推進: 生産から販売までを自社で完結する体制を整え、独自のブランド価値を高める。

まとめ

現代の酪農業は、国際競争、市場需要の変化、そして生産コストの上昇という多くの課題に直面しています。特に、牛乳や卵の価格硬直性は、インフレ局面で大きな痛手となりますが、6次産業化や付加価値製品(A2ミルクなど)の導入により、価格競争から脱却し、収益性の向上を図る道は十分に存在します。
今後は、最新の価格データに基づく経営判断と、地域に根ざしたブランド戦略を強化することで、安定した経営基盤の構築が求められます。

犬さん
犬さん

国際競争やコスト上昇に立ち向かうためには、6次産業化や付加価値製品の導入がカギ!

この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

毎日牛乳1L飲んでます!

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