「日本の牛乳は、世界でどこまで通用するのか?」
2025年12月15日、明治がついに中国で「おいしいミルクコーヒー」を発売します。
単なる新商品の発売ではありません。これは、急成長する20兆円規模の中国コーヒー市場に対し、「生乳含有率80%以上」という驚異的なスペックで挑む、日本の技術の結晶です。
「なぜ今、中国なのか?」「生乳80%の何が凄いのか?」
酪農のプロとしての視点から、このニュースの裏側にある戦略と品質の秘密を、論理的に解説します。
要点3つ
- 発売情報:2025年12月15日、中国沿岸部で「明治臻好喝牛乳(咖啡风味)」発売開始。
- プロの評価:生乳80%以上×独自製法は、海外ブランドには真似できない技術力の証明。
- 市場戦略:20兆円市場のトレンド「ミルク系」を、日本の高品質ブランドで攻略する狙い。
1. 商品詳細:酪農家も納得!生乳80%以上の「本気」スペック
まず、今回発売される商品「明治臻好喝牛乳(咖啡风味)」のスペックを見ていきましょう。日本で累計2,300万本を突破した人気商品をベースに、現地ニーズに合わせて最適化されています。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 商品名 | 明治臻好喝牛乳(咖啡风味) |
| 発売日 | 2025年12月15日 |
| エリア | 中国沿岸部(上海・広州など) |
| 容量・価格 | 900ml:26.9元(約590円) 400ml:14.9元(約330円) |
| 原材料 | 生乳含有率80%以上(中国産良質生乳) |

なぜ「生乳80%以上」が凄いのか?
酪農家の視点で最も強調したいのが、この「生乳含有率」です。
通常、市販のコーヒー入り乳飲料は、コスト削減や保存性を高めるために、乳固形分を調整したり、水を加えたりすることが一般的です。しかし、明治は生乳を80%以上使用しています。
これは、「ほぼ牛乳そのもの」にコーヒーを混ぜている状態に近いのです。これを量産品として、品質を安定させたまま流通させるには、極めて高い乳業技術が必要です。
2. 技術解説:明治独自の「ナチュラルテイスト製法」とは
生乳を多く使うと、牛乳特有の「臭み」や「クセ」がコーヒーの香りを邪魔することがあります。これを解決しているのが、明治の特許技術でもある「ナチュラルテイスト製法」です。
- 課題:搾乳後の生乳は、酸化することで独特のクセが出る。
- 技術:加熱前に生乳中の酸素を追い出し、酸化を防ぐ。
- 結果:「牧場で飲むような」すっきりとした後味を実現。
この技術により、「ミルクの濃厚なコク」がありながら「コーヒーの香りを邪魔しない」という、相反する要素を両立させています。日本の繊細な技術力が、中国市場での大きな差別化要因になることは間違いありません。
💡ここがポイント
アレルギーや健康志向で「原材料」に敏感な中国の消費者にとって、「余計な加工をしていない、新鮮な生乳の味」は強力な付加価値になります。
3. 市場背景:20兆円へ急成長する中国コーヒー市場
なぜ明治は今、中国で勝負をかけるのでしょうか?背景には爆発的な市場の伸びがあります。
数字で見る「中国 ミルクコーヒー 市場トレンド」
2024年の中国コーヒー市場は約15.8兆円でしたが、2025年には約20兆円、2029年には27.8兆円への成長が予測されています。
特筆すべきは、中国の消費者が好むコーヒーのスタイルです。
- ミルク系が圧倒的人気:ブラックコーヒーよりも、ラテやカプチーノなどのミルクメニューが市場の60%以上を占めます。
- 味へのこだわり:飲用理由のトップは「味の良さ(約40%)」。
- RTD(すぐ飲める容器入り)の拡大:忙しい都市部の若者を中心に需要が急増中。
つまり、「手軽に飲めて、かつ本格的なミルク感が味わえるコーヒー」が、今もっとも求められているのです。明治の戦略は、この「ど真ん中」を射抜いています。
4. 競合優位性と今後の展望
中国市場には、スターバックスや現地のラッキンコーヒー(瑞幸咖啡)、ネスレなどの強豪がひしめいています。
しかし、明治には「おいしい牛乳ブランド」という信頼があります。2025年7月から現地製造・販売を開始した「明治おいしい牛乳」はすでに高い評価を得ており、今回のミルクコーヒーはそのブランド力を拡張する一手です。
X(旧Twitter)などSNSでの反応
発売発表直後、SNS上でも話題になっています。
「パッケージが中国向けに洗練されてる!日本版と比べてみたい」
「明治HD、中国事業本気だな。NISAで買っておくべきか?」
(X上の反応より要約)
投資家目線では「海外事業の成長性」、消費者目線では「日本クオリティへの期待」が高まっており、エンゲージメントは上々です。
まとめ:明治の挑戦は日本の酪農技術の勝利となるか
今回の「明治おいしいミルクコーヒー」の中国発売は、単なる一企業の海外進出にとどまりません。
- 市場性:20兆円市場の「ミルクトレンド」を的確に捉えている。
- 技術力:「生乳80%以上」×「ナチュラルテイスト製法」は他社が容易に真似できない。
- 将来性:ここでの成功は、日本の乳製品が世界基準で「高品質」と認められる大きな一歩になる。
私たち酪農家が情熱を注いで生産する「生乳」の価値が、国境を越えて評価されることを期待しています。発売後の現地レビューや売上推移にも、引き続き注目していきましょう。




