2025年7月20日に投開票される参議院議員通常選挙(参院選)は、コロナの経済回復や物価高騰対策と並び、農業分野の所得確保が大きな争点となっています。特に酪農家にとっては、牛乳や乳製品の価格変動と生産コストの高騰が長年の課題であり、今回の選挙で掲げられる政策が経営の安定に直結する可能性があります。本記事では、主要政党の農業所得補償制度を中心に、酪農家に対する恩恵や具体的な影響をわかりやすく解説します。

参院選の結果が、酪農家の未来を大きく左右する!
1. 参院選2025で注目される「農業所得補償制度」
近年、肥料や飼料の輸入価格上昇、労働力不足などで農業経営は厳しさを増しています。こうした中、与野党各党は「農業者の所得を補償・安定化させる制度」を公約に掲げました。特に酪農家は日々の生産コストを牛乳価格に反映しにくいため、制度導入への期待が高まっています。

農業経営の不安定さをカバーする“所得補償”に注目!
主な提案内容
- 立憲民主党(立民)
「食と農の直接支払制度」の創設を公約に。生産量ではなく、経営基盤の維持・強化を評価して定額支払いを行う。 - 国民民主党(国民)
農業者所得補償制度の導入。価格変動リスクや災害リスクを緩和し、継続的な経営を支援。 - 日本共産党(共産)
農業予算を1兆円増額し、最低所得保障を実施。農家の所得を60kg(=1俵)あたり2万円以上に引き上げる目標。 - れいわ新選組(れいわ)
農林水産予算を5兆円に拡充し、余剰農産物や生乳の活用を推進。食料自給率向上を支援。 - 参政党(参政)
10年間で食料自給率を倍増させる目標を掲げ、直接補償で農家所得を安定化。 - 社会民主党(社民)
小規模から大規模まで対象とした所得補償制度を提案し、50%の食料自給率達成を目指す。
これらの制度は「農産物単価×生産量」だけでなく、経営規模や維持管理コストを考慮して支払いを行う点が特徴です。現時点では米農家を重視した政策のため、酪農については今後の動向に注目です。

“量より安定”へ!新しい農業支援のカタチが見えてきた
2. 酪農家にとってのメリットと留意点
メリット
- 収入の安定化
直接支払いが定期的に行われるため、乳価変動リスクを軽減し、経営の計画性が高まる。 - 経営改善投資への活用
余裕資金で省力化設備や飼養環境の改善に投資しやすく、長期的な生産性向上が期待できる。 - 気象変動や市場リスクの緩和
台風や干ばつなどの自然災害、国際市場の価格変動による影響が緩和される。

収入が安定すれば、将来設計もしやすくなる!
留意点
- 制度の細部設計
支払い要件や算定方法が確定しない現段階では、実効性や公平性に課題が残る可能性があります。 - 財源確保の課題
予算規模や財源配分の優先順位によっては、想定より支払い額が抑制される恐れがあります。 - 手続き・事務負担
支給申請や実績報告のための申請書類作成など、行政手続きの負担増加に注意が必要です。

申請や実績報告の負担が“中小農家の壁”にならないようにしてほしい!
3. 各政党の比較ポイント
政党 | 支払対象 | 支給額の目安 | 特記事項 |
---|---|---|---|
立民 | 全農業者 | 経営規模・維持管理費に応じて | 直接支払による安定収入重視 |
国民 | 全農業者 | 価格変動リスクに対応 | 災害・疾病リスクも補償 |
共産 | 全農業者 | 最低保証:60kgあたり2万円以上 | 農業予算1兆円増額を見込む |
れいわ | 全農業者 | 自給率向上のため変動有 | 余剰生乳の食料援助活用 |
参政 | 全農業者 | 直接補償による固定額 | 10年で自給率倍増を目指す |
社民 | 小規模~大規模農家 | 実質所得補償あり | 食料自給率50%達成目標 |

この記事を参考に各政党のHPを見て詳細をチェックしようね!
4. 選挙後の見通しと準備ポイント
与野党勢力と政策実現性
- 自民党の過半数割れが示唆
参議院で与党が過半数を割り込むシナリオでは、野党提案の所得補償制度の実現性が高まります。特に立民や国民との協調が進む可能性があります。 - 財政規律と予算配分
過去の例から、予算編成では財政規律が重視されるため、他分野との兼ね合いで農業予算に制約がかかる場合もあります。

農業予算は他分野とのバランスで増減が左右される現実も…
酪農家としての準備ポイント
- 最新情報のフォロー
公約発表後、農林水産省や都道府県の窓口ウェブサイトで制度設計の詳細をチェック。 - 経営データの整理
支給要件となる経営規模、出荷実績、維持費データなどを年度ごとに整理し、申請準備を進める。 - 協同組合・業界団体との連携
JAや酪農団体からの説明会や相談会を活用し、不明点を早めに解消する。

最新の公約・制度情報は農水省の公式サイトでこまめにチェック!
5. 酪農と農業の所得に関する現状と課題
主要ポイント
- 酪農家の所得は近年、厳しい状況にあり、2023年の調査では85%が赤字経営で、43.6%が月額100万円以上の赤字を抱えている。
- 農業全体では、稲作農家の時給は10円程度、酪農家の平均所得は183万2千円(2023年)だが、赤字農家も多い。
- 政府は補助金や政策価格の調整で支援を試みているが、持続可能な解決策はまだ模索中。

2023年、酪農家の85%が赤字経営…経営改善が急務です!
現状と原因
1. 酪農家の所得状況
2023年のデータでは、平均所得183万2千円(一般社団法人中央酪農会議)に対し、85%が赤字経営・43.6%が月額100万円以上の赤字を抱える厳しい現実があります。飼料価格高騰と牛乳価格低迷が直接的な要因です。
2. 原因分析
- 飼料価格は2020年10月の67,000円/トンから2023年1月に100,000円/トンへ1.5倍超の高騰(農林水産省)。
- 牛乳生産価格のコスト高騰や肉用子牛価格の下落が副収入減を招き、58%が離農検討(中央酪農会議)。
- 燃料・光熱費上昇も経営圧迫の要因。

飼料価格は3年で約1.5倍に急騰。経営を直撃!
政府対応と展望
課題
持続可能な経営への移行、労働環境改善、大規模経営推進が求められる。
補助金支援
総額1,260億円の補助金で一時的に所得を補填するが、補助金依存の構造が継続可能性を損ねる懸念。
政策価格調整
2025年度に肉用子牛保証基準価格を56万4,000円へ引き上げるなど部分的な支援が導入予定。

持続可能な経営と労働環境改善が最大の課題
表:酪農と農業の所得比較(2023年)
カテゴリ | 平均所得(万円) | 赤字率 | 主な課題 |
---|---|---|---|
酪農 | 183.2 | 85% | 飼料価格高騰、牛乳価格低迷 |
養豚 | -289.9 | – | 飼料費増加、販売価格の低迷 |
繁殖和牛 | -96.4 | – | 子牛価格下落 |
和牛肥育 | -134.7 | – | コスト高、市場競争 |
稲作 | 1 (時給10円換算) | – | 低収益性、労働時間長 |

養豚や和牛も深刻…畜産全体がコスト増に苦戦中!
5. まとめ
- 参院選2025では「農業者の所得補償制度」が主要政党の公約に登場
- 立憲民主党の直接支払制度や国民民主党の補償制度、日本共産党の最低所得保証など、各党で支給対象や額に違いあり
- 制度導入で酪農家の収入安定や投資余力向上が期待される一方、詳細設計や財源確保に課題も
- 選挙後は制度設計の詳細発表をフォローし、経営データの整理やJAなど業界団体と連携して申請準備を進めよう
2025年参院選では、初めて農業者の所得補償制度が主要政党の公約に並ぶなど、酪農家にとって大きな転換点となる可能性があります。立憲民主党や国民民主党、日本共産党などが提案する直接支払い制度は、生乳価格の変動リスクを低減し、経営の安定化に貢献する見込みです。
選挙後は与野党の勢力バランスや制度設計の具体化プロセスを注視しつつ、申請に向けた経営データの整理や業界団体との情報共有を進めることが重要です。

2025年の参院選は農業政策の転換点となるか注目!

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