2024年度、北陸酪連(北陸酪農業協同組合連合会)のプール乳価は1キログラムあたり141.5452円に設定され、前年度から4.82円の上昇となりました。本記事では、その背景にあるコスト要因や地域特有の事情をわかりやすく解説し、酪農家・消費者・業界関係者が押さえておきたいポイントをまとめます。

2024年度の乳価は141.54円、前年から4.82円の大幅アップ!
1. プール乳価とは?
プール乳価は、酪農家が生産した生乳を乳業メーカーに販売する際の「基準価格」です。地域ごとに品質や供給量、流通コストなどを総合的に評価し、生乳の取引価格を均一化する仕組みが「プール方式」です。

酪農家間の差を調整し、生乳価格の公平性を保つ仕組みです。
2. 北陸酪連の役割と2024年度の乳価決定
北陸酪連は、石川県・富山県・福井県・新潟県の酪農家で構成される指定団体です。各県の生産者から集荷した生乳を一括してメーカーに販売し、地域間での価格差をなくす役割を担います。
- 2023年度:136.73円/kg(前年+11.34円)
- 2024年度:141.5452円/kg(前年+4.82円)
2024年度の決定会合では、生産コストの上昇を踏まえた議論が行われ、4.82円の値上げが承認されました。

北陸酪連は北陸4県の酪農家を代表し、生乳の一括販売を担う!
3. 乳価上昇の主な背景
飼料価格の高騰
- 円安と世界的な原料価格上昇により、輸入配合飼料が高騰。
- JA全農の発表によれば、2025年4~6月期でも配合飼料価格は依然として高水準(前期比400円/トンの小幅下落)です。

円安と世界的な原料高騰が飼料価格を押し上げています!
エネルギー費用の増加
- 原油価格の上昇で、牛舎の暖房や搾乳機の電気代がアップ。
- 電力契約の見直しが進むものの、地方ほど高コストが重くのしかかります。

搾乳機や設備の電気代も増え、酪農経営を圧迫しています。
労働力不足と人件費上昇
- 酪農従事者の高齢化・後継者不足で新規雇用が難航。
- 人手確保のため各農家で時給アップや手当創設が相次ぎ、人件費全体が上昇傾向。

酪農現場は高齢化と後継者不足で人手不足が深刻化!

地震被災農家支援の影響
- 2024年の能登半島地震では、損壊した牛舎の修復・移設費用を北陸酪連が一部補助。
- 支援費用をまかなうため、価格プールへのコスト転嫁も検討されました。

2024年の能登半島地震で多くの牛舎が被害を受けました。
4. 全国動向との比較
地域 | 上昇額(円/kg) | 実施時期 |
---|---|---|
北陸 | +4.82 | 2024年度決定 |
関東 | +4.00 | 2025年8月1日~ |
北海道 | +3.00(加工用)+7.00(乳製品向け加算) | 2025年6月~ |
関東では飲用乳価が4円上げ、北海道では加工用乳価が3円引き上げ+バター・クリーム向け7円加算という動きがあり、全国的に生産コストの増大を反映した改定が進んでいます。

関東は2025年8月から+4.00円の改定を予定。
5. プール乳価推移比較表
年度 | プール乳価(円/kg) | 前年比(円) |
---|---|---|
2022年度 | 125.39 | — |
2023年度 | 136.73 | +11.34 |
2024年度 | 141.5452 | +4.82 |

3年間で約16円の上昇は、酪農経営に大きな影響。
6. 乳価上昇がもたらす影響
酪農家の収益改善
値上げ分は直接的に生乳売上へ反映され、赤字圧迫の緩和に貢献します。ただし、依然として人件費や設備投資の負担は大きく、全額カバーには至らないケースも。

乳価上昇は酪農家の収益改善に直結!
消費者価格への転嫁リスク
小売価格では乳価1円上昇が約2.5~3円の価格上乗せにつながる試算※があります。消費者にとっては牛乳パックの値上げが続くことにも警戒が必要です。

乳価上昇の背景を理解し、納得して購入できる情報提供が重要。
持続可能な酪農経営への課題
- 高齢化対策としての若手就農支援
- 環境負荷低減を目指す省エネ設備投資
- 地域連携による販路拡大
これらを進めない限り、単なる価格改定だけでは持続的な発展は難しいでしょう。

価格改定だけでは持続可能な発展は難しい現実。
7. 今後の展望と支援策
- 政府の補塡金交付:飼料価格高騰緊急対策として、一定額の補塡金が交付されています。
- 省エネ認定への助成:牛舎改修や再生可能エネルギー導入に対する補助金制度。
- 若手研修プログラム:乳牛管理技術や経営ノウハウを学べる公的研修が拡充予定。
2025年度以降も生産コスト動向を厳しく見守りつつ、組合・行政・メーカー連携による多角的支援が鍵を握ります。

生産コストの動向を注視しつつ柔軟な対応が求められる。
8. まとめ
- 2024年度の北陸酪連プール乳価:141.5452円(+4.82円)
- 主な値上げ要因:飼料・エネルギー・人件費高騰、地震被災支援
- 影響と課題:酪農家収益改善と消費者価格転嫁、持続可能性確保
- 今後の支援策:補塡金・省エネ助成・研修プログラム
酪農家が安定した収益を確保し、消費者にも適正価格で良質な牛乳を届けるためには、価格改定だけでなく“現場力”と“地域連携”が不可欠です。

2024年度のプール乳価は141.54円、前年比+4.82円!
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