マンステールチーズ(Munster cheese)とは|歴史・製法・味・おすすめレシピまで徹底解説

マンステールチーズ クリーミーで香り豊か 乳製品
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マンステールチーズ(Munster)は、フランス・アルザス地方の伝統的なウォッシュチーズです。オレンジ色の湿った外皮と強い香り、そして深いコクが特徴で、加熱しても生で食べても美味しく楽しめます。本記事ではマンステールの歴史・製法・味わいのポイントから、選び方・保存法、ワインや食材との相性、家庭で作れる簡単レシピまでを分かりやすく解説します。

マンステールチーズ概要

マンステール(Munster)は、フランス東部アルザス地方を代表するウォッシュチーズです。特徴的なオレンジ色の湿った外皮と、濃厚でコクのあるクリーミーな内部が魅力。香りは強めですが、食べるとまろやかで奥行きのある旨味が楽しめます。

ウォッシュチーズ専門店の売り場
エポワスや個性的なウォッシュチーズが並ぶ専門店の売り場

歴史と名前の由来

マンステールの起源は中世にさかのぼり、7世紀頃にアイルランドから移住した修道士(ベネディクト派)によって作られ始めたと言われます。フランス東部のヴォージュ山脈のマンステール谷(Munster)で生まれ、修道院で保存食として作られていました。

「マンステール」という名称はラテン語の monasterium(修道院)に由来します。また、アルザス側の Munster とロレーヌ側の Gérardmer(gérômé) で生産されることから、地域名を合わせて Munster-géromé とも呼ばれます。1978年にはフランスのAOC(原産地呼称)を取得し、品質が厳しく管理されています。

製造方法(ウォッシュの特徴)

マンステールはウォッシュチーズに分類され、熟成中に表面を塩水やワインで洗って微生物の繁殖を促す工程が特徴です。流れはおおよそ次の通りです:

  1. 生乳(AOC品は生乳)を温め、凝固剤を加えてカード(凝固物)を作る。
  2. カードをカットして型に詰め、圧をかけ成形する。
  3. 塩漬け(表面の塩味付け)。
  4. 熟成庫で数週間〜数ヶ月熟成。期間中に何度も表面を塩水やワインで“ウォッシュ(洗う)”し、オレンジの皮と独特の香りを発生させる。

典型的なサイズは直径13〜19cm、重さ約1.5kg。小型のプチマンステール(直径7〜12cm)もあります。

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味・香り・食感の特徴

マンステールの最も目立つ特徴は強い香りです。熟成が深まると、アンモニアを連想させるような強い匂いを放つことがありますが、内部はクリーミーでコクがあります。熟成の浅いうちは弾力がありミルクの甘みを感じ、進むとねっとりとした口当たりに変化します。ナッツのような風味や、塩味がアクセントになることが多いです。

種類とAOC規定

マンステールには AOC(原産地呼称)の基準を満たす伝統的な生乳製品のタイプと、加熱殺菌乳(パスチャライズド牛乳)で作られる市販向けのマイルドなタイプがあります。アメリカで売られる「Muenster cheese」は、フランスのマンステールとは別物で、香りが穏やかで風味もシンプルです。

栄養情報(目安)

100gあたりの栄養の目安(製品によって差があります):

項目量(100gあたり)
エネルギー約290 kcal
タンパク質約23 g
脂質約24 g
カルシウム約700 mg

高脂肪・高たんぱくでカルシウムが豊富。骨や筋肉の健康に寄与しますが、カロリーは高めなので量に注意しましょう。

合わせる飲み物・食材(ペアリング)

マンステールは香りが強いので、風味のバランスが取れる飲み物や食材と合わせるのがおすすめです。

  • ワイン:アルザスのリースリングや軽めの赤ワイン。
  • ビール:エールやセゾンなど風味のあるビール。
  • 食材:じゃがいも、バゲット、はちみつ、クミンシード、ナッツ類。

はちみつや酸味ある果実(洋ナシなど)は、香りの強さと相性が良く、食べやすくなります。

おすすめレシピ

ここでは簡単に作れて美味しい、マンステールを使った家庭向けレシピを3つ紹介します。

レシピ1:マンステールとじゃがいものグラタン(2人分)

材料:マンステール1/2個、じゃがいも250g、ベーコン30g、牛乳100ml、生クリーム100ml、塩・こしょう少々、パン粉(お好みで)

作り方

  1. じゃがいもは皮をむき薄切りにして水にさらし、耐熱皿に並べる。
  2. ベーコンを炒めておく。鍋に牛乳と生クリームを温め、塩こしょうで軽く調味する。
  3. じゃがいもにベーコンをのせ、温めた乳液を注ぐ。マンステールをスライスして上に並べる。
  4. 200℃のオーブンで20〜25分、表面に焼き色が付くまで焼く。仕上げにパン粉を振ってカリッとさせても良い。
エメンタールチーズ入りのグラタン
たっぷりのチーズが入った熱々グラタン

ポイント:マンステールの香りを活かすため、熱を通して溶かす料理と好相性です。

レシピ2:はちみつクミンのチーズトースト

材料:バゲットまたは食パン、マンステール薄切り、はちみつ、クミンシード

作り方

  1. パンにマンステールを乗せ、クミンシードを軽く振る。
  2. トースターでチーズがとろけるまで焼き、仕上げに少量のはちみつをかける。

ポイント:甘じょっぱい味の組み合わせで、ワインやビールのおつまみに最適。

レシピ3:クリーミーパスタ with マンステール(2人分)

材料:パスタ200g、マンステール1/2個、生クリーム100ml、黒こしょう、パセリ(飾り)

作り方

  1. パスタを表示通り茹でる。
  2. フライパンに生クリームを温め、火を弱めてマンステールをちぎって加え溶かす。
  3. 茹で上がったパスタを加えてソースを絡め、黒こしょうで味を整える。器に盛りパセリを振る。

ポイント:チーズ自体の旨みがソースの濃厚さを決めるため、溶かしすぎないのがコツ。

購入・保存・切り方のコツ

買うときのチェックポイント

  • 原産地表示(AOC品かどうか)を確認。生乳使用のものは風味が豊か。
  • 表面が過度に乾燥していないこと。湿ったオレンジ色の皮が特徴。

保存方法

マンステールは香りが強いため、密閉容器より通気性のある包み(チーズ紙やワックスペーパー)に包み冷蔵庫の野菜室など温度変化の少ない場所で保存するのがおすすめ。長期保存は避け、購入後は2週間以内を目安に。

切り方

円盤状の中心から放射状に切ると均等に取り分けやすいです。柔らかくなっている部分はスプーンですくって提供しても良いでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q:Muenster(アメリカのムンスター)とマンステールは同じですか?

A:いいえ。名前は似ていますが、アメリカのMuensterは穏やかな香りでマイルドな味。フランスのマンステールはウォッシュタイプで香りとコクが強いです。

Q:匂いが苦手ですが食べられますか?

A:匂いは強いものの、味はまろやかです。まずは少量をパンやはちみつと合わせて試すのがおすすめです。

Q:加熱に向いていますか?

A:はい。溶かすとコクが増すのでグラタンやパスタに非常に向いています。

まとめ

  • マンステールはアルザス発祥の伝統的なウォッシュチーズで、表面を洗う製法が特徴。
  • 強い香りがあるが、内部はクリーミーでコクがあり、加熱料理に非常に向く。
  • AOC認定品は生乳使用で風味が豊か。アメリカの「Muenster」とは別物。
  • 購入時は表皮の湿り具合や産地表示をチェックし、保存は通気性を保ちつつ冷蔵(野菜室など)で。
  • 家庭向けの簡単レシピ(グラタン・はちみつクミントースト・クリーミーパスタ)でまずは少量から試すのがおすすめ。

マンステールはアルザス地方に根付く伝統的なウォッシュチーズ。強い香りと豊かなコクが魅力で、加熱調理でも生のままでも楽しめます。選ぶ際はAOCかどうかや品質表示をチェックし、保存は通気性を保ちながら冷蔵で。今回紹介したグラタン、チーズトースト、クリーミーパスタは初心者でも作りやすく、マンステールの良さを活かす簡単レシピです。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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