リステリア菌(Listeria monocytogenes)は、ナチュラルチーズなどの乳製品を介して感染することがある細菌で、特に妊婦・高齢者・免疫力が落ちている人は重症化しやすい特徴があります。本記事では、チーズごとのリスク、主な症状、家庭ですぐできる予防法、そして最近の輸入チーズ回収情報までを具体的にわかりやすく解説します。
リステリア菌とは(特徴と食品での問題点)
リステリア菌は土壌、河川、動物の腸管など自然界に広く存在するグラム陽性の細菌です。特徴として、低温(冷蔵温度)でも増殖可能であり、塩分耐性もあるため保存食品や冷蔵食品でも問題になる点が挙げられます。日本国内の調査でも水産加工品やナチュラルチーズなどから検出された例が報告されています。

なぜチーズで問題になるのか(種類ごとのリスク)
チーズの中でも特に「ナチュラルチーズ(非加熱あるいは低温殺菌乳を原料とするもの)」や、カマンベール・ブリーなどのソフトタイプはリスクが高いとされます。これは製造過程で十分な加熱が行われない場合や、熟成・包装工程での二次汚染が起こると菌が残存・増殖しやすいためです。

プロセスチーズとナチュラルチーズの違い
- プロセスチーズ:加熱工程があり菌のリスクは相対的に低め。
- ナチュラルチーズ:未殺菌乳(生乳)や低温殺菌乳を用いる場合、リステリアの残存・増殖リスクがある。
感染時の症状と注意すべき人(ハイリスク群)
リステリア感染(リステリア症)は症状の現れ方が幅広く、軽い胃腸症状で済む場合もあれば、菌が血流に入り敗血症や髄膜炎など重症化することもあります。特に妊婦は注意が必要で、母体の症状が軽くても胎児に深刻な影響(流産・死産・早産など)を及ぼすことがあります。
よく見られる症状
- 発熱、悪寒、筋肉痛(インフルエンザ様)
- 嘔吐、下痢、腹痛(消化器症状)
- 菌が神経系に回った場合:頭痛、首のこわばり、意識障害など(髄膜炎)
感染が疑われたら
妊婦や高齢者、免疫が低下している方が上記の症状に当てはまる場合は早めに医療機関を受診してください。検査や治療は医師の判断が必要です。
家庭でできる予防・調理のポイント
リステリア対策の基本は「加熱」「衛生管理」「食品選択」です。以下は家庭で実行しやすい具体策です(妊婦・高リスク群は特に厳格に)。
1. 加熱する
ナチュラルチーズを食べるときは、中心温度が十分上がるよう加熱(加熱料理に使う、オーブンやフライパンでしっかり加熱)するのが安全です。プロセスチーズは加熱工程があるためリスクは低いです。

2. 食品の選び方
- 妊婦・高齢者・免疫抑制状態の方は、未殺菌乳(raw milk)由来のチーズは避ける。
- 賞味期限が近い長期保存の冷蔵食品は注意。開封後は早めに食べ切る。
3. 冷蔵庫・調理器具の衛生管理
冷蔵庫の温度管理(目安:4℃前後)を行い、生肉・生魚とチーズなどは別の場所に保管、調理器具は分けるかよく洗浄することが重要です。リステリアは環境中にしぶとく残ることがあるため、キッチン清掃も定期的に行いましょう。
4. 外食やデリの利用時の注意
デリ(惣菜)やサラダバー、スモークサーモンなど加熱済みでも取り扱いが不適切だと汚染の可能性があるため、高リスク群は過度な利用を避け、提供状況を確認しましょう。
最近の回収・警報事例(輸入チーズ等)
2025年夏にかけて、海外(欧州)由来の複数のソフトチーズでリステリア検出に伴う回収が発表されています。日本国内でも輸入品の自主回収や販売停止の事例が報告されているため、購入した製品のメーカー発表や販売店の案内、厚生労働省の情報を確認してください。
対処法:ご自宅に該当製品があり、販売者や自治体が「回収」「摂取せず返品を」と案内している場合は、その指示に従ってください。症状が出た場合は医療機関へ相談を。
よくある質問(FAQ)
Q:普通に買ったチーズでどれくらいリスクがある?
一般的に、日本の主要メーカーが販売する加熱殺菌済み製品は安全性が高く、リスクは低いです。輸入ナチュラルチーズや未殺菌乳由来の製品は注意が必要です。国や製品によって基準や検査体制が異なります。
Q:妊婦はチーズを一切食べてはいけないの?
全てのチーズを避ける必要はありません。加熱済み、あるいはプロセスチーズなどリスクの低いものを選ぶことで楽しめます。生(未加熱)のナチュラルチーズや賞味期限切れのもの、回収対象の輸入製品は避けてください。
まとめ:安全にチーズを楽しむために
- リステリア菌は低温でも増殖するため、ナチュラル(未殺菌)チーズや加工過程で汚染されたソフトチーズが注意対象。
- 妊婦・高齢者・免疫低下者は重症化リスクが高く、生のナチュラルチーズは避け、加熱調理を推奨。
- 家庭では「十分な加熱」「冷蔵庫の温度管理(目安4℃前後)」「生食材と分けた保管・調理器具の洗浄」を徹底する。
- 輸入チーズの回収情報や販売者の案内は随時確認し、回収対象製品は摂取せず指示に従うこと。
- 症状(発熱・悪寒・嘔吐・下痢、神経症状など)が現れた場合、特にハイリスク群は早めに医療機関受診を。
リステリア菌は「低温でも増える」点が厄介ですが、正しい食品選択(未殺菌乳由来を避ける)、加熱、そして衛生管理を徹底すればリスクは十分に下げられます。妊婦や高齢者、免疫が落ちている方は特に注意して、疑わしい製品は摂取せず販売者や行政の案内に従ってください。症状が出た場合は、早めの受診をおすすめします。
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成城石井でもリステリア菌の疑いで自主回収が行われています。
※本記事は一般的な情報を目的としており、診断や治療を目的としたものではありません。体調不良の際は医師にご相談ください。
参考・信頼できる情報源
- 厚生労働省「リステリアによる食中毒」 — 基本的な注意点や食品別のリスク。
- CDC(米国疾病予防管理センター)「Symptoms of Listeria Infection」 — 症状と高リスク群の説明。
- EFSA(欧州食品安全機関)「Listeria」 — 欧州での食品別のリスクと監視情報。
- 日本食品分析センター等の報告書(食品中リステリアの検出状況) — 国内での検査結果と解説。
- 国内の回収情報(例:食品リコール情報ページ) — 実際の回収・販売停止情報を確認。
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