全酪連が北福岡工場を2028年閉鎖へ|郡山の新工場で生産移管、処理能力は最大400t/日

全酪連北福岡工場閉鎖と郡山新工場移管のニュース解説 乳製品
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全国酪農業協同組合連合会(全酪連)が運営する岩手県二戸市の北福岡工場は、2028年12月ごろに閉鎖され、生産機能は福島県郡山市に新設される新会社の工場へ移管されることが発表されました。この記事では、閉鎖の理由、二戸市への影響、新工場(移管先)の概要、業界全体への示唆をわかりやすく整理します。

ポイント概観(この記事の要旨)

  • 北福岡工場の閉鎖時期は「早ければ2028年12月」予定。生産は郡山の新工場へ移管される計画です。
  • 閉鎖の主因は工場の老朽化と物流コスト削減(生産拠点の集約)。
  • 新工場は全農・全酪連等の共同出資で設立され、1日最大400トンの処理能力を想定。生乳の需給調整強化が目的です。
  • 二戸市への雇用・経済波及は懸念事項。地元との連携策や再雇用、地域振興が重要になります。

閉鎖の理由:何が問題だったのか?

北福岡工場は長年にわたり脱脂粉乳、バター、クリーム、脱脂濃縮乳といった余乳処理製品を生産してきましたが、主に次の2点が閉鎖決定の背景として挙げられています。

1. 施設の老朽化と更新コスト

長期稼働したプラントでは設備の老朽化が進み、設備更新や安全基準への対応に要する投資負担が増大します。限られた投資を複数拠点に分散するよりも、新設で集約した方がコスト効率が高い、という判断が今回の決定の一因です。

2. 物流コストの削減と拠点集約

乳製品は原料(生乳)調達や製品配送のロジスティクスが採算に与える影響が大きく、効率的な輸送ネットワークを築ける拠点に集約することで運営コストを削減できます。東北・関東エリアの需給バランスを踏まえ、郡山に大型の処理・貯乳能力を備えた工場を建てることで、トータルコストの低減を図る狙いです。

新工場(移管先)の概要:何が新しくなるのか?

全酪連・全農・東北販連・関東販連の共同出資で新会社を設立し、福島県郡山市に乳製品工場を建設します。公式発表で示された主なスペックは以下の通りです。

  • 会社名(報道ベース):らくのう乳業(新会社名として発表)。
  • 資本金:約19億2,000万円(出資比率は発表資料に基づく構成)。
  • 所在地:福島県郡山市(旧工場跡地など既存地の活用が示唆されています)。
  • 処理能力:最大 400トン/日、貯乳量 最大 1,000トンを想定。
  • 生産開始:2028年12月予定(新工場完成後、北福岡工場の生産を移管)。
  • 生産品目:脱脂粉乳、バター、生クリームなど、余乳処理向け製品中心。

二戸市(地元)への影響と対応のポイント

工場閉鎖は直接的な雇用減のみならず、下請け企業、物流業者、飲食・小売・宿泊など地域経済全体に波及します。ここでは想定される影響と、地域として取りうる対策を整理します。

想定されるネガティブ影響

  • 直接雇用の喪失・就業機会の減少(工場従業員や関連業務)。
  • 下請け業者・資材供給業者の業務縮小。地域内の消費低下によるサービス業への影響。
  • 人口流出の加速(若年層の就業先が少なくなる)。

地域が取りうる主な対策(着眼点)

  • 再雇用・転職支援:工場従業員に対する転職支援、技能訓練、地元企業とのマッチングを早期に進める。
  • 下請け企業向け再編支援:事業多角化や合併、共同受注によるスケールメリットの創出支援。
  • 産業振興:地域資源(特産品・観光・再生可能エネルギー等)を活用した新たな産業づくりの推進。
  • 補助金・公的支援の活用:国や県の再編支援、雇用調整助成金、地域創生交付金等を活用する。

酪農業界にとっての意味:需給調整と効率化

乳製品工場の集約は短期的に地域に痛みを伴いますが、中長期では次のような効果が期待されます。

  • 需給調整の強化:季節変動の大きい生乳の余剰を受け止める大規模な加工能力により、需給安定化を図れる。
  • コスト効率の改善:輸送・設備投資の分散を縮小して運営コストを低減。
  • 生産基盤の維持:酪農家が安定して生産を継続できる体制整備に寄与する可能性。

よくある質問(FAQ)

Q1:閉鎖は確定ですか?

A:公式発表では新会社設立と郡山工場建設が公表されており、北福岡工場での生産中止・移管計画が示されています。閉鎖の最終的な時期は工程によって確定されますが、2028年12月の移管開始が予定されています。

Q2:従業員の再配置計画は?

A:現時点で個別の再雇用や配置転換の詳細は公表されていません。地域や企業側の発表を注視するとともに、地元自治体が支援策を打ち出す可能性があります。

Q3:二戸の工場で作られていた製品はどうなりますか?

A:脱脂粉乳、バター、生クリーム等の生産は郡山の新工場へ移管される予定です。製品供給自体は継続される見込みです。

酪農家・関係者が今できること

酪農生産者や地域の関係者は、情報収集と連携によるリスク低減を心がけましょう。具体的には次のアクションが有効です。

  • 情報の積極的な取得:全酪連・JA・地元自治体の公式発表や説明会に参加する。
  • 販売先の多角化:乳製品用途以外の販路や加工業者との連携を検討する。
  • 協同組合との対話:需給調整や価格安定に関する協議に参加し、現場の声を届ける。

まとめ:短期の痛みと中長期の安定化をどう両立させるか

北福岡工場の閉鎖と郡山での新工場設置は、酪農業界にとって需給調整機能の強化と効率化を図る重要な再編の一部です。一方で二戸市をはじめとする地元地域には短期的な雇用や経済面での打撃が避けられず、行政・企業・地域が連携して再雇用支援や産業振興を進めることが不可欠です。情報は流動的ですので、公式発表や地元の説明会を継続してチェックしてください。

注:この記事は公開時点の公式発表や報道をもとに作成しています。今後の追加発表で内容が変わる可能性があります。最新情報は公式リリースをご確認ください。


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参考情報(主な出典)

  • 全国酪農業協同組合連合会 新乳製品製造会社設立に関する発表(プレス資料)
  • 全国農業協同組合連合会(JA全農) ニュースリリース(2025年7月)
  • 業界・物流系報道(JACOM、LOGISTICS TODAY 等)による解説記事(2025年7月~)
この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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