サゴタニ牧農が2025年グッドデザイン金賞受賞|放牧と地域共育の全貌

サゴタニ牧農の放牧風景とグッドデザイン金賞ロゴ — 2025年受賞、広島湯来のホルスタインと地域共育を伝える牧場イメージ 酪農
スポンサーリンク

広島市佐伯区湯来町にある「サゴタニ牧農(砂谷株式会社)」が、2025年度グッドデザイン賞で**金賞**を受賞しました。受賞は「牛にも人にもやさしい放牧への転換」を軸とした牧場全体のリブランディングと運営モデルが評価されたものです。本稿では、受賞の評価点、現場で実際に行われている取り組み、その意義と波及効果、消費者や地域が関われる具体的アクションまで、現場経験を活かして丁寧に解説します。

受賞の要点:なぜ「金賞」になったのか

今回の受賞は単なる「デザインの見た目」だけでなく、放牧へ転換することで生まれた“人・牛・自然の循環”を設計として可視化した点が決め手です。パッケージや施設の造形、体験プログラムの設計、地域と連携した教育プログラム──これらを一貫した理念でまとめ上げたことが高く評価されました。

現場での具体的な取り組み

1)段階的な放牧への転換と管理

放牧への一斉移行ではなく、段階的に放牧面積を拡大しながら牛群の適応を見ています。典型的な施策は次の通りです:

  • ローテーション放牧による草地回復の促進
  • 群ごとの行動観察でストレス指標(採食時間・休息時間)の改善を確認
  • 放牧地の輪作と休閑区画の設定で土壌負荷を分散

これにより、牛の行動が自然に近づき、感染症リスクの低減や飼料コストの最適化につながるケースが多く見られます。

2)牛の福祉(Animal Welfare)向上の工夫

放牧化は牛の運動量の増加や社会行動の再現を促し、ストレス低減をもたらします。サゴタニでは以下を重視しています:

  • 日陰・休憩用の自然設計(樹木帯の配置)
  • 柔らかい足場を保つ草地管理(硬い地面を避ける)
  • 個体観察による早期の傷病発見と対処

3)土壌・環境循環の設計

放牧による草地管理は、適切に行えば土壌の有機物増加や多様な植物群落の回復につながります。サゴタニでは、放牧地の一部で土壌指標(有機炭素、透水性)をモニタリングし、放牧サイクルを最適化しています。

「地域共育型デザイン」とは何か

サゴタニが掲げる「共育」は、地域の住民や子どもたちが牧場の営みを体験しながら、自然と生産がつながるプロセスを学ぶことを意味します。デザインはその接点(タッチポイント)を設計する役割を果たします。

  • 体験プログラム:乳しぼり体験、バターづくり、放牧見学ツアーなど
  • 情報デザイン:パッケージや案内板で放牧の意義を平易に伝える
  • 場づくり:子どもや高齢者でも安全に接触できる導線設計

デザインがもたらす社会的価値

デザインは「伝える力」と「関わりやすさ」を作ります。洗練されたパッケージやサイト、施設導線により、従来の酪農イメージを刷新し、若年層や都市部の来訪者を呼び込むことが可能です。これは地域の経済循環を生み、持続可能な農業経営の土台になります。

商品と体験の接点(販売・誘客戦略)

受賞を機に、商品(牛乳・加工品)・体験(牧場見学・ワークショップ)・情報(学びのプログラム)を結ぶ導線を強化することが重要です。具体的な施策例:

  • 受賞ロゴを用いた限定パッケージの展開
  • 見学→試飲→購入までのスムーズな導線(EC連携)
  • 地域イベントと連動したワークショップの常設化

経営・地域への波及効果(中長期)

放牧や共育による付加価値は、短期的な生産性だけでなくブランド価値として回収できます。観光収入や加工品の高付加価値化、教育プログラムの参加費などが新たな収益源になりえます。地域側も教育資源の確保や雇用機会の創出が期待できます。

現地を訪れる・支援する場合のポイント

見学や体験に訪れる際は、事前予約と服装の案内に従うことが大切です。放牧地は足場が悪い場所もあるため、歩きやすい靴と天候対策を用意してください。商品の購入は現地直売とEC両方を確認すると良いでしょう。

まとめ:サゴタニ牧農が示すもの

サゴタニ牧農の金賞受賞は、放牧化と地域共育を結びつけた「実務とデザインの融合」が評価されたものです。酪農の現場から見れば、牛の福祉改善・土壌回復・地域経済活性化といった具体的成果が確認されつつあり、他地域のモデルケースにもなり得ます。これから訪れる人は、単に景色を楽しむだけでなく「循環の仕組み」そのものに触れる経験が得られるでしょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 見学はできるの?

A. 多くの場合、事前予約が必要です。公式サイトや問い合わせ先で最新情報を確認してください。

Q. 放牧に変えると牛乳の味は変わる?

A. 放牧による飼料の違いや牛の運動量の変化は風味に影響する場合があります。好みの差はありますが、自然な旨味や季節感が出やすくなります。

Q. 地域の子ども向けプログラムはある?

A. 子ども向けの体験プログラムが整備されています。内容は季節や年度で変わるので事前確認をおすすめします。

※本文の情報は現地発表・公式プレス等を参照の上、現場経験に基づき編集しています。最新の見学情報や商品購入は公式情報をご確認ください。

この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

みやむーをフォローする
スポンサーリンク
酪農酪農NEWS
みやむーをフォローする
タイトルとURLをコピーしました