産出額は単なる生産量では測れず、和牛ブランドや単価の影響で順位が大きく変動します。本記事では、北海道が首位となった背景、鹿児島や宮崎など主要産地の特徴、そして生産量との違いを豊富な図表と現場視点で分かりやすく解説します。農林水産省の最新統計(2023年ベース)を基に作成した「都道府県別 牛肉産出額ランキング」を肉牛農家が作りました。一次データへのリンクと解説付きで、業界関係者・消費者どちらにも役立つ内容です。
牛肉産出額ランキング(都道府県別・2023年ベース)
産出額は「生産量×単価」で決まるため、単価の高い和牛ブランドを抱える都道府県が上位に入ります。以下は、2023年の公的統計と報道を踏まえた上位推定です。一次データは農林水産省の生産農業所得統計等を参照してください。6位以下は産出額の記載がありませんでした。
| 順位 | 都道府県 | 産出額(概算) | 主な理由・特徴 |
|---|---|---|---|
| 1 | 北海道 | 約1,224億円 | 生産量最大+交雑種の量販化と一部ブランド化(十勝牛)で単価安定 |
| 2 | 鹿児島県 | 約1,208億円 | 黒毛和牛中心。単価は高いが2023年時点で価格変動の影響あり |
| 3 | 宮崎県 | 約800〜900億円 | 和牛・肥育主体で高単価品種が多い |
| 4 | 岩手県 | 約600億円規模 | 東北の大規模肥育地。単価と量のバランスが良い |
| 5 | 熊本県 | 約500億円規模 | 九州中核の畜産地 |
| 6 | 兵庫県 | 高単価(神戸牛)で上位 | 生産量は少ないが単価でカバー |
| 7 | 三重県 | 高単価(松阪牛)で上位 | ブランド力が強い |
| 8 | 茨城県 | 産出額上位圏の常連 | ホルスタイン由来の交雑種生産が豊富 |
| 9 | 滋賀県 | 近江牛の影響で上位 | 地域ブランドが単価を支える |
| 10 | 山形県 | 米沢牛等のブランドで上位 | 質で高評価 |
注:上記の産出額は公的統計(農林水産省・都道府県資料)と複数報道の組合せによる概算です。詳細な年度別表は農林水産省の各統計をご確認ください。

生産量(飼養頭数)ランキングと傾向
生産量(飼養頭数)は量的な指標であり、産出額とは別軸の評価になります。2023年の畜産統計では肉用牛の飼養頭数データが詳細に提供されています。
| 順位 | 都道府県 | 飼養頭数(概算) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | 北海道 | 約56.6万頭(注) | 全国最大の飼養規模。酪農地帯の余剰を肉牛へ転換する動きがある |
| 2 | 鹿児島県 | 約35.8万頭(注) | 和牛(黒毛和種)が多い |
| 3 | 宮崎県 | 約26.0万頭(注) | 九州の肥育地・和牛生産の中心 |
| 4 | 熊本県 | 約13.9万頭(注) | 地域内で完結する生産体制が強み |

(注)飼養頭数・枝肉生産量の詳細は農林水産省の畜産統計(確報)に掲載されています。データは年次更新されるため、表中の数値は統計の公表に合わせて随時更新してください。
産出額と生産量はなぜ違うのか — 肉牛農家が解説
結論から言うと、生産量は「量」=供給の指標、産出額は「金額」=単価×量の指標です。和牛ブランドや肥育段階の付加価値、流通・輸出比率、季節要因や為替(輸入牛との競合)などが単価へ影響を与え、産出額の順位を左右します。
ポイント(専門家視点)
- 交雑種(F1)や乳用種由来の肉は量を稼ぎやすく、単価は安定しやすい。
- 黒毛和種など高級和牛は単価が高いが、価格が変動しやすく産出額が上下しやすい。
- ブランド化(地域ブランディング・認証制度)は少ない生産量でも高い産出額に結びつく。

主要産地の詳細(北海道・鹿児島・兵庫など)
北海道 — 量とブランド化の同時成功
北海道は伝統的に酪農が強く、肉用牛(交雑種・乳用種由来)を大量に飼養することで生産量で優位に立ちます。近年は十勝を中心としたブランド化や加工連携が進み、産出額の上昇につながっています(令和5年の算出額については都道府県資料やMAFFの推計を参照)。牛乳の生産量ランキングでも56.6%のシェアを占め、圧倒的な一位です。
鹿児島・宮崎 — 和牛中心だが価格変動に弱い

鹿児島・宮崎は黒毛和種(和牛)の大産地で、単価は高い一方で市場変動に影響されやすい構造です。2023年は鹿児島が長年の首位から2位に下がる要因となりました(価格変動・需給要因)。黒毛和牛飼育頭数ランキングでも鹿児島・宮崎はトップ2になっています。
兵庫・三重(神戸牛・松阪牛) — 少量高単価で産出額を押し上げる
兵庫の神戸牛、三重の松阪牛などは生産量自体は限られるものの、極めて高い単価が産出額での存在感を高めます。観光・外食需要の回復やブランド戦略が今後の産出額に影響します。

データで見る「単価差」:簡易モデル(産出額÷飼養頭数)
産出額÷飼養頭数で単純に「1頭当たりの産出額」を算出すると、都道府県間の「単価差」を把握しやすくなります。実務では枝肉量や肥育日数などで補正が必要ですが、概観把握には有効です。以下は記事用に示す簡易モデル(概念説明)です。
1頭当たりの目安産出額 = (都道府県の牛肉産出額) ÷ (その都道府県の飼養頭数)
実際の数値算出にはMAFFの産出額表とe-Statの飼養頭数表を用いてください(データ参照先を下部に記載)。:
実務者への示唆(経営・政策レベル)
- 地域経営者は「量で勝つか、質で勝つか」を明確化し、それに合わせた飼養設計と販路開拓を行う。
- 自治体・施策担当者はブランド化支援と同時に、価格変動に耐えうるリスク分散(加工・販路多様化)を進めるべき。
- 生産者は単価向上のためのトレーサビリティ強化、飼養管理の効率化、付加価値化(認証・ブランド戦略)を優先する。
まとめ
- 牛肉産出額は生産量だけで決まらず、単価(ブランド・流通・需給)によって上下する。
- 2023年は北海道が産出額で首位に立ち、和牛の伝統的産地でも価格変動が産出額に影響を与えた。
一次データ・参考資料
- 農林水産省:生産農業所得統計(都道府県別等)。
- e-Stat(総務省):畜産統計調査(肉用牛 飼養頭数等)。
- 北海道公式:北海道の肉用牛に関する解説(都道府県の算出額等)。
- 各都道府県の農政・畜産ページ(産出額の都道府県版資料)。(例:都道府県の公表資料やPDF)。
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