カスピ海ヨーグルトは、独特のねばりとまろやかな酸味が魅力の発酵乳です。本記事では「カスピ海ヨーグルトとは?」という基本から、起源・種菌・家庭での作り方、腸内環境やダイエットへの期待される効果、そしてギリシャヨーグルトやケフィアとの違いまでを、写真付きのステップでわかりやすく解説します。失敗対策やおすすめ商品・簡単アレンジも紹介するので、今日からすぐ試せます。

カスピ海ヨーグルトはねばりとまろやかな酸味が特徴の発酵乳
カスピ海ヨーグルトの起源と歴史
カスピ海ヨーグルトのルーツはコーカサス地方(ジョージアやアルメニア等)に伝わる 伝統的な発酵乳製品にあるとされます。日本に広まったきっかけは、京都大学の家森幸男氏が 1980年代にコーカサス地方から種菌(家庭での発酵物)を持ち帰り、自宅で増やして食べたことだと伝わっています。日本ではその“とろりとした食感”が注目され、家庭で手軽に作れるヨーグルトとして普及しました。

補足:コーカサス地域の伝統製品には「matsoni」「matzoon」など呼称があり、各地で微生物組成が異なります。日本で「カスピ海ヨーグルト」と呼ばれている製品は、研究者や企業が分離・純化した特定株を起点として広まった経緯があります。

カスピ海ヨーグルトのルーツはコーカサス地方の伝統発酵乳
特徴 — ねばりの正体(EPS)・主な菌・発酵温度
カスピ海ヨーグルトの最大の特徴は強い「ねばり(とろみ)」と穏やかな酸味です。 このねばりは菌が作る「EPS(菌体外多糖)」が乳タンパク質と絡んで生まれるもので、 食感に大きく寄与します。日本で商品化・普及したタイプでは、ラクトコッカス属クレモリス (いわゆる「クレモリス菌FC株」)が重要な役割を担っているとされています。

発酵温度の目安は20〜30℃(最適は約27℃)と比較的低温で、一般の家庭でもヨーグルトメーカーなしに作りやすい点が魅力です。ホエー(上澄みの乳清)が出にくく、保存中に酸味が強くなりにくい性質も知られています。

ねばりの正体は菌が作るEPS(菌体外多糖)
作り方と増やし方
ここでは家庭で安全にカスピ海ヨーグルトを作る基本手順を、分かりやすくステップ形式で示します。
材料(目安)
- 牛乳:500ml〜1L(できれば低温殺菌または成分無調整の良質なもの)
- 種菌:市販のカスピ海ヨーグルト大さじ2〜3、または粉末種菌1包
- 容器:耐熱・密閉できるガラスまたはプラスチック容器
作り方(基本)
- 容器とスプーンを熱湯または煮沸消毒し、清潔にする。
- 牛乳を鍋で一度沸騰させ、火を止めてから室温(約40℃以下)まで冷ます。※低温殺菌乳を使う場合は過度な加熱は不要。
- 牛乳が約30〜35℃前後になったら(熱すぎると種菌が死ぬ)、種菌をよく溶かす。
- 容器に蓋をして20〜30℃(最適約27℃)で24〜48時間発酵させる。ヨーグルトメーカー、炊飯器の保温、保温バッグなどを利用すると安定しやすい。
- 好みの固さになったら冷蔵庫で冷やして保存。次回のために一部を取り分け「種菌」として繋ぐことが可能。

20〜30℃で24〜48時間発酵。ヨーグルトメーカーや炊飯器保温も◎
失敗しやすいポイントと対策
- 温度管理:夏場は30℃を超えないように注意。高温になると別の雑菌が繁殖しやすく、風味が悪くなる。
- 衛生管理:容器や器具の殺菌を徹底。雑菌混入は酸味の強化や分離(分離液=ホエーが多く出る)を招く。
- 種菌の品質:家で繋いで増やす場合、繰り返し使うと段々と性質が変わることがある。数回ごとに新品の種菌を補充するのがおすすめ。
豆乳で作る「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」など、植物性ミルクでも作るレシピが存在しますが、凝固や食感が牛乳版とは異なるので注意してください。

高温になると雑菌が増え、酸味が強くなる・ホエーが分離しやすくなる
期待される健康効果(研究と注意点)
カスピ海ヨーグルト(特にクレモリス菌FC株由来の製品)については、腸内環境改善や便通の改善、免疫機能の支援を示唆する研究報告があります。 具体的には、継続摂取により便通の改善、腸内のビフィズス菌占有率の上昇が観察された研究や、免疫関連指標の改善を示唆する報告が出ています。
重要:ここで述べる「効果」は研究報告に基づく観察的/介入試験の結果であり、すべての人に同様の効果が出るとは限りません。特定の治療や医学的な効果を期待する場合は医師に相談してください。

カスピ海ヨーグルトで腸内環境改善!ビフィズス菌も増加!
よく言われる主な効果(まとめ)
- 腸内環境の改善(便通の改善・ビフィズス菌増加の報告あり)。
- 免疫機能の補助(研究で一部の免疫指標に改善が観察)。
- 血糖・血中脂質に対する有益な影響を示す可能性のあるデータ(ただし証拠は限定的)。
- 満腹感を得やすく、低カロリーでダイエットの補助になることがある。

 
出典:企業の臨床試験報告や学会発表などを基にしています(研究の対象や条件により結果は異なります)。

継続摂取によりビフィズス菌などの善玉菌が増え、腸内フローラのバランスが整うと報告されています。
他のヨーグルトとの違い(比較表付き)
| 項目 | カスピ海ヨーグルト | 一般的なヨーグルト | ギリシャヨーグルト | ケフィア | 
|---|---|---|---|---|
| 食感 | ねばり強め・とろり | とろみは弱め、サラッと | 濃厚・クリーミー(水切りで増量) | やや発泡性・さらっと | 
| 主な菌 | クレモリス菌(EPS生産)等 | 様々(ストレインに依存) | 乳酸菌主体・ストレイン次第 | 乳酸菌+酵母 | 
| 酸味 | 穏やか | やや強め | 比較的強め(品種により異なる) | やや酸味・発泡感あり | 
| 保存中のホエー | 出にくい | 出やすい | 水切りでホエーを除く | 分離しやすい場合あり | 
注:地域やメーカーによって微生物組成は異なります。コーカサス由来の伝統製品(matsoni等)とは類似点もありますが、微生物の違いから食感・機能に差があることが報告されています。

地域やメーカーで微生物組成は異なるので違いを楽しもう!
 
おすすめ商品とアレンジレシピ
おすすめ(市販・種菌)
日本国内で広く流通している商品には、クレモリス菌FC株を用いた製品があり、安定して「カスピ海らしい」ねばりを再現しやすいです。家庭での種菌セットも市販されているため、手軽に自家製を始めたい方は種菌セットを利用するのが失敗リスクを下げます。
簡単アレンジ(朝食・おやつ)
- ブルーベリー&カスピ海ヨーグルト:季節の果物で栄養バランス◎。
- ヨーグルトコーヒー:冷たいヨーグルトにエスプレッソを少量混ぜて新感覚ドリンク。
- グラノーラとの相性抜群:ねばりがグラノーラをまといやすく食べやすい。
- 漬けダレとして利用:ヨーグルトをベースにスパイスを混ぜ、鶏肉の漬け込みに。

まとめ
- カスピ海ヨーグルトはコーカサス起源の発酵乳をルーツとし、日本ではクレモリス菌(FC株)由来のねばりが特徴として広まった。
- 最大の特徴は「EPS(菌体外多糖)による強いねばり」と「穏やかな酸味」。発酵温度は20〜30℃が目安。
- 家庭での作り方は簡単:殺菌→種菌投入→20〜30℃で24〜48時間発酵。夏場の温度管理と衛生が失敗回避のポイント。
- 研究では便通改善や腸内環境の改善、免疫指標の支援などの効果が示唆されているが、個人差があるため過度の期待は禁物。
- 他ヨーグルト(ギリシャ・一般・ケフィア)とは菌組成や食感・酸味で明確な違いがあり、用途に応じて使い分けるのが有効。
カスピ海ヨーグルトは「ねばり(EPS)」「穏やかな酸味」「低温発酵で作りやすい」点が魅力の発酵乳です。研究では便通改善や腸内環境への好影響、免疫指標の改善などが示唆されていますが、個人差があるため過度な期待は避け、日々の食習慣の一つとして取り入れるのが現実的です。
記事内の作り方・温度管理・衛生に気を付ければ家庭でも安全に作れます。特に夏場は温度管理をしっかり。市販の種菌やヨーグルトメーカーの使用をおすすめします。

カスピ海ヨーグルトはクレモリス菌FC株由来!ねばりが特徴!
参考・出典(抜粋): カスピ海ヨーグルトの歴史と由来(Wikipedia, フジッコ等)、フジッコの研究資料(腸内環境に関する学会発表・PDF)、企業プレスリリースを参照。
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