2025年6月19日、ホクレン農業協同組合連合会(以下ホクレン)と全国農業協同組合連合会(以下JA全農)はそれぞれ、2025年7~9月期の配合飼料供給価格を前期(4~6月期)から全畜種平均で1トンあたり約2,200円の値下げとすることを発表しました。本記事では、両組織の発表内容を比較し、値下げの背景や酪農家への具体的なメリット、さらに今後注目すべきポイントをわかりやすく解説します。

ホクレン・JA全農共に同日発表、値下げ幅約2,200円/トン!
1. ホクレンとJA全農の発表内容比較
組 織 | 発表日 | 値下げ額 | 対象期間 | 補償単価発表 |
---|---|---|---|---|
ホクレン | 2025年6月19日 | 約2,200円/トン(全畜種平均) | 7~9月期 | 10月下旬予定 |
JA全農 | 2025年6月19日 | 約2,200円/トン(全国全畜種平均) | 7~9月期 | プレスリリース参照 |
- 両組織とも発表日は同じで、値下げ幅も一致。
- 地域・畜種・銘柄により価格は異なるため、各支所や販売店で最新価格表を入手しましょう。

ホクレン・JA全農の飼料価格改定、どちらも2025年6月19日に発表!
2. 値下げの背景:なぜ価格が下がったのか?
2-1. 原料価格の下落
- トウモロコシ(シカゴ市場):
- 2025年3月初め:1ブッシェル=約460セント
- 2025年6月中旬:同約440セントに下落
- 大豆粕(シカゴ市場):
- 2025年3月初め:1トン=約330ドル
- 2025年6月中旬:同約310ドルに下落
南米の豊作見通しや米国国内の作付進捗により、穀物相場が軟調推移。飼料原料価格の大幅な低下が、値下げ決定の大きな要因となっています。

トウモロコシも大豆粕も、2025年3月から6月で価格が下がってるね!
2-2. 為替の円高進行
- 2025年3月初め:1ドル=149円
- 2025年6月中旬:1ドル=144円
日本銀行の金融政策や米国の金利動向を背景に円高が進行。輸入コストが抑えられ、価格改定に直結しました。

円高になると輸入コストが下がるから、飼料価格にも影響が出るよ!
2-3. 海上運賃の変動
- パナマックス型船運賃(米国湾岸~日本間):
- 2025年3月初め:1トンあたり約45ドル
- 2025年6月中旬:同約51ドルに上昇
一時的に運賃が上がったものの、原料・為替の価格下落要因が大きく上回り、トータルでコストダウンを実現しています。

飼料原料の価格が下がっても、海上運賃が上がると結局コストに響くんだよね…
3. 過去の価格推移との比較
期間 | ホクレン | JA全農 | 主な変動要因 |
2025年1~3月 → 4~6月 | 約450円下げ | 約400円下げ | 原料安定、円高 |
2025年4~6月 → 7~9月 | 約2,200円下げ | 約2,200円下げ | 原料下落、円高 |
2024年7~9月 | 約2,250円上げ | 約3%上げ | 原料高騰、円安 |
- 2期連続の値下げ:2025年は継続的にコスト抑制中。
- 前年同期の反動:2024年7~9月期は大幅上昇、今年は一転して下げ基調。

去年(2024年)は大幅値上げだったから、その反動もありそう!
4. 酪農家が得られる具体的メリット
4-1. 経営改善のチャンス
1トンあたり約2,200円の値下げが実現すると、年間数十トンを購入する大規模牧場では数十万円単位のコスト削減効果が期待できます。
4-2. キャッシュフローの余裕
コスト削減分を設備投資(例:IoT給餌システム、自動搾乳機)やメンテナンスに回すことで、長期的な生産性向上につなげられます。
4-3. リスク分散戦略
複数銘柄や複数供給元の配合飼料を比較し、価格変動リスクを平準化。JA全農・ホクレン両方の価格安定制度を活用し、将来の相場変動に備えましょう。
4-4. 環境配慮型経営への転換
コスト削減分を再生可能エネルギー導入や粗飼料自給率向上施策に投資し、持続可能な経営モデル構築を目指す好機ともなります。

配合飼料価格の引き下げは経営改善の大きな追い風だね!
5. 今後のチェックポイントと対策
- 原料相場の監視:南米の天候、米国作付面積など市場レポートを定期購読。
- 為替動向のウォッチ:日本銀行・FRBの金融政策発表スケジュールを把握。
- 運賃動向の把握:海運会社や物流ニュースでコスト変動を早期キャッチ。
- 価格安定制度の最新情報:補償単価や支援内容の変更を各組織サイトで確認。
これらを踏まえ、年間購買計画・資金繰り計画をアップデートしましょう。

飼料価格の変動は色んな要因が絡んでるんだね!
6. 夏の追い風:乳価引き上げによる相乗効果
2025年8月1日から、北海道のホクレン農業協同組合連合会は飲用乳や発酵乳、業務用向け生乳の取引価格を1kgあたり4円(税抜)引き上げると発表しました。大手乳業メーカー(明治、森永乳業、雪印メグミルク)との協議の結果、飲用乳および発酵乳向け生乳価格が約3%上昇します。
- 【ホクレン 8月からの生乳取引価格引き上げ】
- 【関東生乳販連の乳価交渉結果】
飼料価格の値下げと乳価の引き上げは、酪農家の収益改善に大きく寄与します。これらの動きを同時に活用し、資金繰りと生産戦略を最適化しましょう。
7. まとめ:経営戦略にどう活かすか
- 発表概要:ホクレン・JA全農ともに7~9月期配合飼料を約2,200円/トン値下げ
- 値下げ要因:トウモロコシ・大豆粕相場の下落、円高進行、海上運賃の動向
- 過去推移:2期連続の値下げ、前年同時期は大幅上昇からの反動
- 酪農家メリット:年間数十万円のコスト削減、キャッシュフロー改善、設備投資余力確保
- 今後の対策:原料相場・為替・運賃の監視と価格安定制度の活用でリスク分散
ホクレンとJA全農が発表した2025年7~9月期の配合飼料価格値下げ幅約2,200円/トンおよびホクレン・関東生乳販連の生乳取引価格1kgあたり4円の引き上げは、は、酪農家にとって大きな追い風です。原料相場・為替・運賃などの変動要因を常にチェックし、両組織の価格安定制度を活用した上で、自牧場の年間計画に反映しましょう。コスト削減を戦略的に投資機会に変え、持続可能かつ生産性高い酪農経営を実現してください。

トウモロコシ相場下落・円高進行・海上運賃の影響が大きいよ!
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