「もっちり」ブーム解剖|プレミアムヨーグルト市場の最新トレンド(2025年)

もっちり食感のプレミアムヨーグルトのクローズアップ — 木製スプーンで伸びる濃厚なヨーグルトといちご・クルミのトッピング、プレミアムヨーグルト市場トレンド2025 乳製品
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健康志向と“プチ贅沢”志向の高まりで、2025年の高付加価値ヨーグルト市場は急成長を見せています。本記事では、岩手発のYUDA湯田ヨーグルトやドン・キホーテのPB商品など具体的事例をもとに、製法・原料・流通の視点から成功要因を分析し、酪農側の現状と今後の事業戦略まで現場目線で解説します。

市場の現況(要点)

2025年、ヨーグルト市場は堅調に推移しており、特に食感や素材にこだわる高級タイプの需要が顕著です。市場予測では2025年〜2032年のCAGRが高水準で見込まれ、短期的にも2025年4月〜8月期は前年同期比で約4%成長という動きが確認されています。消費者は腸内環境改善や日常の“ちょっとした贅沢”を求め、プレーンや濃厚系の選択が増えています。

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注目事例①:YUDAミルク(湯田ヨーグルト)の勝ち筋

岩手県・YUDAミルクは地域資源(岩手産生乳)と製法(低温長時間発酵)を組み合わせ、「のび〜る・もっちり」食感を実現。800gで希望小売価格970円という高価格帯ながら、口コミとSNSで拡散し、2024年度売上は前年比36%増、2021年比では出荷量が3倍以上に伸長しています。

成功のポイント

  • 原料比率の明確化(生乳比率が高いことを前面に出す)
  • 食感を差別化(低温長時間発酵で「もっちり」を訴求)
  • 地域性とストーリー(岩手=地場ブランドとしての訴求)

注目事例②:ドン・キホーテのPB「本気のヨーグルト」

流通側の成功例として、ドン・キホーテのPBは短期間で品切れを起こすヒットを記録。500gで538円という価格設定と“もっちり”食感の両立により、購入ハードルを下げつつ満足感を提供しました。発売初期は予想売上の約3.3倍の需要が発生し、PBでも高付加価値セグメントが成立することを示しました。

なぜ「もっちり」がウケるのか

食感は価値の一つです。消費者は「味」よりも「体験」を買う傾向が強まり、毎朝の“ちょっとした幸福”にお金を使うようになりました。さらに、低温発酵や生乳比率の高さは“体に良さそう”という印象を与え、腸活需要とも親和性があります。

業界の構造的課題:酪農側の現状

一方で生産現場は厳しく、2025年1〜7月の酪農関連倒産が増加するなど、経営面での負荷が顕在化しています。生産者戸数は2000年以降で大幅に減少しており(2000年比で約62.5%減、生産戸数は約11,900戸程度)、飼料費や人件費の上昇が続いています。こうした流れの中で、YUDAミルクが2025年1月に酪農事業へ参入し、生乳生産と加工の一体化を進めたことは注目に値します。

競合比較(主要商品の要点)

商品容量価格特徴
湯田ヨーグルト(YUDA)800g希望小売970円生乳比率高・低温長時間発酵・のびるもっちり食感
本気のヨーグルト(ドン・キホーテPB)500g538円コスパ良・もっちり・品切れ続出の話題性
大手メーカー製品(例:明治等)個食〜大容量幅広い機能性訴求(乳酸菌)・安定供給

現場視点からの提言(事業者向け)

生産側は原料の付加価値を明確化し、加工と生産の連携(上下流統合)を進めることが重要です。流通側はPBなどで“手に取りやすいプレミアム”を提案することで、新規顧客層を開拓できます。また、消費者向けには食べ方提案やレシピ、保存・賞味方法の情報提供が有効です。

消費者向け:選び方と食べ方のヒント

高付加価値ヨーグルトを選ぶ際は、まず原料情報(生乳比率、添加物の有無)、製法(低温長時間発酵など)、容量・価格のバランスを確認しましょう。食べ方では、果物やナッツを組み合わせると“デザート感”が高まり、朝食にも最適です。

よくある質問(FAQ)

Q:プレミアムヨーグルトは普通のヨーグルトより健康に良い?

A:製法や菌株によって差はあります。高生乳比率や低温発酵は満足度を上げますが、腸内細菌へ与える影響は商品ごとに異なるため、商品表示と成分表を確認しましょう。

Q:どう保存すれば風味が落ちにくい?

A:冷蔵(4℃前後)での保存が基本。開封後はできるだけ早めに食べ切ることを推奨します。大容量は分けて小分け保存すると便利です。

まとめ:価値は「味」だけでなく体験へ

  1. 市場動向:2025年はプレーン・濃厚タイプの需要が拡大し、短中期での成長(高いCAGR予測)が見込まれる。
  2. 主要事例:YUDA湯田ヨーグルトは生乳比率と低温長時間発酵で「もっちり」体験を作り売上を伸ばし、PB(ドン・キホーテ)は高品質×手頃価格で爆発的需要を生んだ。
  3. 差別化ポイント:原料(生乳比率)・製法(発酵条件)・ストーリー(地域性)を明確にすることで消費者の“体験価値”を高められる。
  4. 生産面の課題:酪農家の戸数減少・コスト高は深刻で、加工と生産の一体化(上下流統合)が持続可能性の鍵。

高付加価値ヨーグルト市場は、製法・原料・ストーリーを組み合わせることで拡大しています。YUDAミルクのような地域発ブランドと、ドン・キホーテのような流通主導のPBが同時に成長することで、消費者はより多様な選択肢を得ています。生産現場の課題を解決しつつ、消費者に届く“体験価値”を高めることが、今後の市場成長の鍵となるでしょう。

※この記事は現場の事例と公開情報を基に作成しています。商品仕様や流通状況は変化するため、購入前に最新の公式情報をご確認ください。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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