酪農業界で今、話題の「6次産業化」。牛乳の生産から加工、直販まで一貫して手がけ、「付加価値」を活かす取り組みが急速に注目を集めています。
はじめに
インフレや乳業会社との価格交渉の厳しさから、多くの酪農家が経営難に直面する中、牛乳単体での利益向上は困難な現状があります。その解決策として、6次産業化が鍵となっています。今回は、筆者の牧場での低温長時間殺菌とノンホモジナイズ製法にこだわり、搾りたての生乳を最大限に活かした牛乳を基盤とした加工品―ワッフルやジェラートなど―の具体的な取り組みと販路拡大戦略について解説します。

6次産業化を通じて、販路拡大と新たな収益源を作り出す戦略に注目!
6次産業化とは?牛乳の付加価値を飛躍的に向上させる戦略
6次産業化は、次の3つの要素を組み合わせることで、従来の生乳出荷だけでは得られなかった付加価値を生み出す取り組みです。
- 1次産業(生産):高品質な生乳の生産
- 2次産業(加工):牛乳を使用した乳製品(例:ワッフル、ジェラートなど)の製造
- 3次産業(販売・サービス):直販所、レストラン、道の駅、オンラインショップでの販売
「1×2×3=6」の掛け算モデルは、牛乳生産の基盤がしっかりしていなければ全体の価値がゼロになるという厳しい現実も示しています。したがって、牛乳の原料の品質とそれを活かす加工・販売戦略が成功の鍵となります。

1次産業(生産)から3次産業(販売)まで、すべての行うのが6次産業化!
自然な味を追求する製法と製品のこだわり
低温長時間殺菌&ノンホモジナイズ牛乳
当牧場では、搾りたての生乳を使用し、牛乳本来の豊かな風味と栄養素を守るため、低温長時間殺菌とノンホモジナイズの製法に徹底的にこだわっています。
- 低温長時間殺菌:高温処理による栄養素・風味の劣化を防ぎ、まろやかな牛乳本来の味を実現。
- ノンホモジナイズ:脂肪分が自然な状態で残ることで、濃厚なコクとクリーミーなテクスチャーを保持。
この製法は、消費者にとって「新鮮さ」と「安心感」を提供する重要なポイントです。

高温処理を避けて、牛乳本来の味と栄養を最大限に引き出す!
加工品:ワッフル&ジェラートの魅力
- ワッフル:自家製牛乳をふんだんに使用し、外はカリッと中はふんわり焼き上げたワッフルは、牛乳の濃厚な味わいが存分に感じられます。
- ジェラート:季節ごとの地元産フルーツを加えたジェラートは、素材の新鮮さと牛乳のコクが絶妙に融合。
これらの製品は、牛乳の「自然な味」を最大限に活かすことで、ブランド価値を高めています。

地元産フルーツを使ったジェラート、牛乳のコクと新鮮なフルーツの味が絶妙に調和!
販路拡大と多角化戦略
地域のレストラン・カフェとの連携
- メニュー提案:自社製品を活用したオリジナルメニュー(ソフトクリームを使ったデザートや乳製品を使った料理)を提案し、レストランの特色として打ち出す。
- 試食会の実施:レストランオーナーやシェフを招いて試食会を開催し、製品の品質とストーリーを直接アピール。
道の駅・観光農園での直販
- 地域ブランドの構築:道の駅や観光農園での直販により、地元の特産品として製品を位置づけ、観光客にアピール。
- 季節限定商品:季節感を活かした限定フレーバーやセット販売で、リピーター獲得を狙う。
オンライン販売の強化
- 公式ウェブサイトとSNS活用:自社サイトでのオンラインショップ開設、InstagramやFacebookなどで製造工程の動画や美味しそうな写真を公開し、消費者の関心を引く。
- 口コミの促進:オンラインでの口コミやレビューを活用し、信頼性とブランド力を向上。

販売先の確保が課題になっているね
イベント・コラボレーション
- 地域イベント参加:地元のフェアやマーケットに出店し、消費者との直接対話を通じてブランドをアピール。
- 他農産物とのコラボ:地域の他の特産品とセットで販売するなど、地域全体でのブランディングを強化。
まとめ
酪農業における6次産業化は、生乳の生産から加工・販売まで一貫して手がけることで、牛乳の付加価値を劇的に向上させる革新的な戦略です。低温長時間殺菌とノンホモジナイズの製法を採用し、搾りたての生乳を使ったワッフルやジェラートなど、自然な味わいを追求する製品ラインナップは、消費者に「付加価値」を提供します。
さらに、地域のレストランや道の駅、オンラインショップなど、多角的な販路展開とブランドストーリーの強化により、全国規模での知名度アップと収益拡大を実現。この記事が、6次産業化による酪農業の未来を切り拓くための有益な情報源となることを期待しています。

酪農業の6次産業化は、生乳から加工・販売まで一貫して手がけることで、付加価値を大幅に向上させる革新的な戦略!
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