ウォッシュチーズは、表面を塩水やワイン、ブランデーで洗いながら熟成させることで独特のオレンジ色の外皮と強い香りを生むチーズ群です。クセはあるものの、クリーミーでコクの深い味わいはワインやビールとの相性が抜群。この記事では歴史や代表的な種類、作り方のポイントを丁寧に解説します。
ウォッシュチーズの基本知識:定義と特徴
ウォッシュチーズ(washed rind cheese)とは、熟成中にチーズ表面を塩水やワイン、ブランデーなどで洗いながら作られるチーズのことです。洗浄によりリネンス菌(B. linens)が育ち、外皮がオレンジやピンク色に色づき、独特の強い香りが生まれます。
- 外皮:食べられるものが多い
- 中身:柔らかくクリーミー
- 香り:強く個性的だがクセになる
フランスやイタリアを中心に生産され、日本でも北海道などで作られています。

ウォッシュチーズの歴史:修道院から生まれた伝統
ウォッシュチーズの起源は中世ヨーロッパの修道院に遡ります。保存性を高めるために塩水で洗い始めたのが始まりでした。
- マンステール(Munster):フランス・アルザス地方の修道院が起源
- タレッジョ(Taleggio):10世紀頃、イタリア・ロンバルディア地方で誕生
- マロワル(Maroilles):1000年以上前から修道院で作られる歴史あるチーズ
現代ではワインやビールで洗うアレンジも増え、日本の興部町など国産ウォッシュチーズも登場しています。

ウォッシュチーズの主な種類
代表的なウォッシュチーズをいくつかご紹介します。
- エポワス(Époisses / フランス):ブランデーで洗い「チーズの王」と呼ばれる。
- マンステール(Munster / フランス):アルザス地方の伝統チーズ、力強い塩味。
- タレッジョ(Taleggio / イタリア):マイルドで初心者向け、柔らかい食感。
- リンバーガー(Limburger / ドイツ・ベルギー):強烈な香りで知られるが、中身はマイルド。
- 日本産ウォッシュチーズ:北海道「おこっぺ山のチーズ」など、臭い控えめで食べやすい。
ウォッシュチーズの作り方:製造工程
- 牛乳を乳酸菌とレンネットで凝固
- 型に入れて成形し、塩を振る
- 熟成庫で塩水や酒で表面を定期的に洗う
- リネンス菌が繁殖し、オレンジ色の外皮が形成される
- 数週間〜数ヶ月熟成して完成
この「洗う」工程こそが、ウォッシュチーズ特有の香りと食感を生み出す秘密です。
ウォッシュチーズの味と香り
ウォッシュチーズは「強い香り」と「クリーミーなコク」が特徴です。味わいは以下のように表現されます。
- yeasty(イースト風)
- meaty(肉っぽい風味)
- nutty(ナッツの香り)
- salty(塩気のある味わい)
外皮は香りが強めですが、中はマイルドで食べやすいのが魅力です。
ウォッシュチーズのおすすめの食べ方とペアリング
食べ方の例
- バゲットにのせてシンプルに
- ステーキや肉料理のソースに
- じゃがいもと一緒に温めて濃厚グラタン風に
- ドライトマトや生ハムと合わせて前菜に
飲み物との相性
- 白ワインや赤ワイン(フルボディ)
- ベルギービールやクラフトビール
- 日本酒や焼酎とも好相性
特にエポワス×赤ワインや、タレッジョ×白ワインの組み合わせは鉄板です。
まとめ
- ウォッシュチーズは「表面を洗う」工程が特徴で、リネンス菌による香りとクリーミーな食感が魅力。
- 代表銘柄:エポワス(強香・濃厚)、マンステール(伝統派)、タレッジョ(マイルドで初心者向け)。
- 製法の肝は熟成中の定期的な「洗浄」。洗う液体や頻度で香りや風味が変化する。
- 食べ方は外皮ごとが基本。バゲット、加熱したポテト、前菜の組合せ、赤白ワインやビール、日本酒とも好相性。
- 初めてはタレッジョや日本産のマイルドなものから試し、好みに合わせて強めの銘柄へ挑戦すると失敗が少ない。
ウォッシュチーズは修道院文化から生まれた伝統チーズで、独特の香りと濃厚な味わいが楽しめます。
初心者はマイルドなタレッジョ、日本のウォッシュタイプから試すのがおすすめ。
ワインやビール、日本酒など多彩なペアリングも可能で、チーズの奥深さを体験できます。
※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告が含まれる場合があります。


