2025参院選で根釧の酪農家はどう変わる?主要政党の政策比較

スポンサーリンク
北海道釧根地方の酪農風景と2025参院選の農業政策イメージ 酪農
釧根地方の酪農と2025年参院選の農業政策を象徴するイメージ。
スポンサーリンク
スポンサーリンク

――2025年7月20日に実施される第27回参議院議員通常選挙(以下、参院選)は、コロナ禍以降の物価高騰や国際情勢の変化を背景に、農業政策が大きな争点の一つとなりました。中でも、全国の生乳生産量の半数以上を担う北海道・釧路・根室(以下「根釧地域」)の酪農家は、乳価低迷や飼料費高騰、後継者不足といった長年の課題に加え、選挙結果による政策動向への期待と不安を抱えています。本記事では、釧根地方の酪農家が直面する現状を概観し、2025年参院選における主要政党の農業政策を整理。選挙結果が酪農家にもたらす可能性と、今後の展望を探ります。

牛さん
牛さん

2025年参院選、酪農政策が主要争点の一つに


1. 根釧地域の酪農概要

  • 生乳生産量シェア
    2024年度の全国の生乳生産量は約741万3,000トンで、そのうち北海道産が391万トンと約52.7%を占めています。根釧台地をはじめとする釧根地方は、広大な牧草地と冷涼な気候を生かし、北海道内でも最大級の酪農集積地となっています (帯広 十勝の求人・移住なら〖TCRU〗北海道生活に役立つ情報)。
  • 地域経済への貢献
    農林水産省の市町村別農業産出額(推計)によれば、根釧地域の農業産出額約1,951億円のうち、乳用牛部門が1,715億円と約88%を占め、生乳だけで1,515億円を構成しています (農林水産省)。
牛さん
牛さん

根釧地域は北海道生乳生産の約半数以上を占める酪農の大産地


2. 釧根酪農家が抱える主な課題

  1. 乳価の低迷
    学校給食向け需要の回復遅れや、外食産業の低迷を背景に、生乳の卸売価格は長期的に下落傾向にあります。2023年度のカロリーベース食料自給率38%という数値は、国内農産物の安定供給力の指標でもありますが、酪農家の収益改善には直結していません 。
  2. 飼料費の高騰
    輸入飼料(トウモロコシ、大豆油かす等)の価格上昇は、世界的な穀物市況や物流コスト高、円安など複合的要因によるものです。飼料自給率は27%にとどまっており、自給向上の取り組みが急務です 。
  3. 後継者不足・高齢化
    農業に従事する世代の高齢化が進み、新規就農者の減少が続いています。地方自治体やJAでは就農支援策を打ち出していますが、効果は限定的で、経営体数の減少に歯止めがかかっていません。
牛さん
牛さん

乳価低迷が酪農家の収益を圧迫し続けている


3. 主要政党の農業政策と酪農への波及効果

参院選における各党の農業関連公約には、①農家への直接支払い、②食料自給率向上、③農産物価格安定対策の三本柱が共通してみられます。しかし、酪農に特化した政策は明示的ではなく、主に間接的支援に留まるのが現状です。

政党主な農業政策酪農への想定影響
自由民主党米の安定供給と水田活用の見直し、生産性向上予算の拡充飼料用米・飼料作物拡大で国内飼料自給率向上に寄与
立憲民主党農家1反あたりの直接支払23,000円制度、食料安全保障政策直接支払いで酪農家の収入底上げに期待
国民民主党農山漁村の循環型社会構築、耕作面積基盤の補助金飼料用作物の地産地消促進でコスト削減の可能性
日本維新の会抑える農政から伸ばす農政への転換、新規就農者支援若手就農支援強化で後継者問題の緩和を目指す
公明党中山間地支援と食料自給率向上策小規模酪農経営体にも手厚い支援が実施される可能性
日本共産党価格保障・所得補償、消費税見直し消費税0~5%減税で畜産物価格の下支えに期待
れいわ新選組農業予算倍増、動物福祉(アニマルウェルフェア)推進畜産物福祉基準強化で品質向上、プレミアム化可能性
参政党有機農業推進、「食の知る権利」強化有機乳製品市場の拡大で高付加価値経営が可能
牛さん
牛さん

酪農政策は各党の重点施策と連動し今後の影響に注目


4. 参院選結果が釧根酪農に及ぼす影響

  • 給付金・直接支払い制度の導入
    立憲民主党の直接支払いや自民党の生産性向上予算が成立すれば、短期的に酪農家の現金収入を底上げできます。特に、燃油・飼料費高騰分への補填として活用されることが想定されます。
  • 飼料自給率向上策
    米の転作や飼料用作物の支援拡大が進めば、北海道内での飼料調達割合が上がり、長期的には費用負担の軽減が期待されます。2030年に供給熱量ベース45%、生産額ベース75%を目指す政府目標も、農林水産省(MAFF)の基本計画に明記されています。
  • 新規就農者支援
    日本維新の会や公明党が打ち出す若手就農支援策は、地域の後継者不足解消につながる可能性があります。ただし、地元の魅力発信や実務研修の充実が鍵となります。
牛さん
牛さん

給付金や直接支払い制度で酪農家の収入改善が期待


5. 今後の展望

  1. 地域連携による飼料自給力強化
    JAや地元企業と連携し、飼料作物の共同栽培・加工を推進。地域内でのバリューチェーンを構築することで、コスト低減と収益多様化を図ります。
  2. 高付加価値乳製品の開発
    濃厚牛乳や有機・機能性乳製品への転換を支援する施策が求められます。選挙後の支援金・補助金を活用し、新製品開発を加速させる体制づくりが鍵となるでしょう。
  3. デジタル化・スマート農業の普及
    畜舎管理や搾乳ロボットの導入による省力化・効率化は、担い手不足対策としても有効です。政策支援が具体化すれば、導入コストのハードルが下がります。
牛さん
牛さん

JAや地元企業と協力し、飼料作物の共同栽培を推進


おわりに

  • 根釧地域は全国生乳の約50%を生産する一大酪農地帯だが、乳価低迷と飼料費高騰で経営は厳しい
  • 自民・立憲など各党は直接支払い・飼料自給率向上・新規就農支援を公約化し、酪農家の収入底上げやコスト削減を目指す
  • 選挙結果次第で短期的な現金給付や長期的な飼料政策が進み、後継者問題やスマート農業導入への支援も期待される
  • 地域連携による飼料自給力強化や高付加価値乳製品開発、デジタル化の推進が持続可能な酪農経営の鍵となる

本記事では、根釧地域の酪農家が抱える現状と、2025参院選における主要政党の農業政策を整理しました。選挙結果は即座に全てを変えるものではありませんが、支援制度の整備や予算配分の行方は、酪農家の日々の経営に直結します。今後も最新の政策動向を注視し、地域・国を挙げて持続可能な酪農振興に取り組んでいく必要があります。

牛さん
牛さん

乳価低迷と飼料費高騰で経営環境は依然厳しい


※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告が含まれる場合があります。

この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

毎日牛乳1L飲んでます!

みやむーをフォローする
スポンサーリンク
酪農酪農NEWS
スポンサーリンク
みやむーをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました