2025年7月20日に行われた参議院選挙で、自民・公明の与党勢力は248議席中47議席にとどまり、参院での過半数(50議席)を割り込みました。この結果は農政・酪農政策にも大きな影響を与える可能性があります。本記事では、与野党それぞれの公約内容や、酪農分野で特に注目すべきポイントを理解しやすく解説します。

参院選2025で与党が過半数割れ…農政の大転換くるか?
2. 参院選2025の結果概要
与党の議席減少と背景
- 獲得議席:与党(自民・公明)47議席
- 過半数ライン:50議席/248議席
- 主な争点:物価高騰、特に米価の急騰による「コメ騒動」
- 有権者の声:物価対策を重視する野党の訴えが支持を得た
与党は米国との関税協議(締切:8月1日)を目前に控え、「政権維持が不可欠」との立場を示していますが、参院過半数割れは今後の農産品・工業品交渉にも影を落とす結果となりました。

米価急騰が争点に。消費者の不満が政権を揺らす!
3. 与野党の農政・酪農政策比較
与党(自民・公明)の方針
- 生産性向上・大規模化
- 農地の集約化、スマート農業技術導入で効率アップ
- コメ価格安定策
- 価格急落時に政府が備蓄米を買い戻し
- セーフティネット強化
- 収入保険の拡充、突発的な価格変動への対応
- 畜産分野
- 安定供給体制の構築
- 飼料自給率向上の支援
※ただし、「大規模化」重視の傾向が強く、中山間地や小規模酪農家への配慮は限定的との指摘もあります。

畜産では“飼料自給率”を高めて安定供給を目指す
野党の提案
- 立憲民主・国民民主
- 食料安全保障を根幹とし、戸別支援・所得補償の強化
- 多面的機能(景観維持や温暖化抑制)を評価する新制度導入
- 日本共産党・社会民主党
- 農林水産予算の大幅増額
- 戸別所得補償の復活
- れいわ新選組
- 農業予算を約5兆円に倍増
- 有機農業推進、戸別補償の恒久化
- 参政党(新勢力)
- 10年で自給率倍増
- 適正関税導入による輸入制限
- 日本維新の会
- 市場原理重視、規制緩和・法人参入促進
- 畜産の輸出促進や安定供給にも言及

物価対策は野党優勢。酪農・農業政策の舵取りが変わるか
4. 酪農分野への影響と注目点
4.1 乳価安定策と補助金制度
- ホクレン発表:2025年度の受取平均乳価は約122円/kg(前年度比+4.6円)の見通し
- 政府の需給調整:備蓄乳の放出・買い取りによる価格支持
- 加工原料乳補給金:持続的支援の仕組み整備が課題

乳価安定と補助金制度、酪農経営を支える要に!
4.2 飼料費高騰への対応
- 背景:円安・ウクライナ情勢で輸入飼料価格上昇
- 支援策:
- 飼料自給率向上の補助
- 緊急時の飼料価格補てん
- 代替飼料の研究開発支援

飼料費対策は、酪農の“生き残り戦略”そのもの!
4.3 輸入品との競合と貿易交渉
- 日米協議:8月1日までに農産品・工業品の関税協定を締結予定
- リスク:乳製品への関税削減圧力
- 対策:
- 非関税措置の活用(品質規格の強化など)
- 輸出市場の拡大(ASEAN、EUなど)

日米貿易協定で乳製品関税削減の圧力が高まる!
5. 自由貿易協定(FTA)と輸入制限の動向
5-1. 日米交渉の焦点
- 5品目(乳製品・畜産物)の扱い
農業団体は関税維持を強く要求。自民党内でも「牛乳・乳製品は関税削減の対象外」とする意見が根強い。 - 輸入枠の拡大リスク
仮に輸入枠が拡大されると、生乳マーケットへの外部品流入が増加し、国内生産者の価格競争力に大きな影響を及ぼす可能性があります。

日米交渉、酪農を守る強い声が必要だ!
5-2. 国内対応策
品質認証制度の強化
国産乳製品の付加価値を高めるため、トレーサビリティや有機認証の取得支援を拡充。
国内飼料自給率向上
飼料用作物(トウモロコシ、大豆)の国内栽培支援を通じ、米国産トウモロコシへの依存度を低減。

国内飼料自給率向上で輸入依存を減らそう!
6. 酪農界の反応
- 中央酪農会議の要請
「持続可能な酪農経営の確立」を目標に、家族経営支援、飼料自給率向上、別枠予算の確保を提言。 - 全国酪農協会の動き
Jミルク需給調整基金の造成で、非系統農家も含めた需給調整を実現。学校給食や酪農体験ツアーによる消費拡大策も検討中。 - 専門家コメント
- 農業経済学者・田中氏:「価格安定策と環境投資の両立が、将来の海外市場開拓にも寄与する」
- 畜産技術研究者・鈴木氏:「生産性向上だけでなく、ブランド化・品質保証強化が次世代の鍵」
今後は政府・業界・研究機関が連携し、「価格・需給・環境」のトリプルバランスを保ちながら、減少傾向にある酪農戸数の下支えを図ることが肝要です。

政府・業界・研究機関が連携し酪農のトリプルバランスを実現!
7. 今後の展望と酪農家が取るべきアクション
- 価格交渉力の強化
- 地域協同体で共同交渉
- コスト管理と効率化
- 飼料自給率向上
- ICT・スマート農業の活用
- 多角化・付加価値化
- 地域ブランド牛乳・チーズ開発
- 直販・観光農業との連携
- 有機JAS認証牛乳
- 政策動向の情報収集
- 業界団体ニュースレター購読
- 地元JAや経産局のセミナー参加

政策情報は業界ニュースやセミナーで常にキャッチ!
8. まとめ
- 参院選で与党は過半数割れ、農政・酪農政策に修正の可能性
- 与党は大規模化・スマート農業重視、野党は所得補償・戸別支援を訴求
- 酪農分野では乳価安定策、飼料費補助、輸入競合対策が焦点
- 業界団体・専門家からは「安定供給」「食料安全保障」の重要性強調
- 酪農家は共同交渉・コスト管理・付加価値化に取り組み、政策動向に備える
2025年参議院選挙後の酪農政策は、補助金・価格安定策のみならず、FTA交渉や環境政策との連動が一層重要となります。北海道・根釧地方をはじめとする主要産地の持続的発展には、政府の予算配分だけでなく、酪農家自身のイノベーションと高品質化・ブランド化への挑戦が欠かせません。今後も政策動向を注視しつつ、自らの経営戦略に取り入れていきましょう。

参院選で与党過半数割れ、酪農政策も変わる予感!
8. 参考資料
- 参院選2025 各党公約
- 北海道農協連(ホクレン)2025年度乳価見通し発表
- 各種専門家・業界団体コメント
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