カマンベールチーズは認知症に効く?研究で示されたBDNF増加の理由

カマンベールチーズと脳のイラスト、BDNF増加による認知症予防の科学的根拠を示す画像 乳製品
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高齢化が進む中、認知症予防は多くの人が関心を寄せるテーマです。近年、カマンベールチーズに含まれる白カビ由来の成分が脳の神経栄養因子(BDNF)を増やし、認知機能の維持に寄与する可能性が複数の研究で示唆されています。本記事では、ヒト試験・疫学・動物実験のエビデンスをわかりやすく整理し、実践できる摂取目安と注意点まで科学的根拠をもとに解説します。


なぜ「カマンベールチーズ」が注目されるのか?— 研究の背景

近年、チーズなどの発酵乳製品に含まれる特定のペプチドや脂肪酸関連物質が、脳の働きに良い影響を与える可能性が注目されています。特にカマンベールのような白カビ発酵チーズは、熟成過程でユニークな成分を生み出しやすく、これらがBDNFや認知機能と関係することが示唆されました。

カマンベールチーズ|白カビタイプの濃厚でまろやかなチーズ
まろやかでコクのあるカマンベールチーズ

ヒト介入試験で見られた変化

2019年に発表された白カビ発酵チーズ(Camembert等)の介入試験では、軽度認知障害(MCI)を持つ高齢女性がカマンベール摂取を行った際、血中BDNFが有意に上昇しました。ただし短期(3か月)ではMMSE等の認知テストに明確な改善は確認されていないため、「BDNF上昇=即時の認知改善」と単純に結びつけることはできません。

カマンベールに含まれる「注目成分」とは

1. β-ラクトペプチド(例:GTWYなど)

乳由来のペプチドの一部(Trp-Tyr含有ペプチドなど)は動物実験・ヒト試験で記憶や注意力改善と関連が示されています。GTWYを含むホエーペプチドの臨床試験では、記憶課題の一部で改善が報告されています。これらは発酵過程で増えることが知られています。

2. 脂肪酸アミド類(例:オレイン酸アミド、ミリスチンアミド)

近年の研究では、カマンベールに含まれる脂肪酸アミド類(oleamideなど)が短期記憶・作業記憶に寄与する可能性が示唆されています。臨床的なランダム化試験でも、オレイン酸アミドを含むミルク由来成分の摂取が認知機能や睡眠にやや好影響を与えたとの報告があります。

3. その他の作用機序(アミロイド抑制など)

動物モデルでは、発酵乳由来の成分がアミロイドβの蓄積を抑制することで認知機能保護に寄与するという知見も報告されています。これは基礎研究の段階では有望ですが、ヒトへの翻訳には慎重な評価が必要です。


研究の信頼性・限界点

  • 短期データが多い:多くのヒト試験は数週間〜数か月の短期介入であり、長期的に認知症発症を減らすかは未確定です。
  • 規模の制約:被験者数が比較的少ない研究や特定集団(例:高齢女性)での結果が多く、一般化には注意が必要です。
  • 相関と因果の違い:疫学研究は摂取と認知機能の関連を示しますが、因果関係を証明するには更なる無作為化長期試験が必要です。
  • 食品の個体差:原料乳や製法、熟成期間によって成分含量は変動します。メーカー報告と独立研究の両方を確認することが望ましいです。

実践ガイド:安全で賢い「カマンベール摂取」の進め方

推奨される目安量

研究で用いられた量を踏まえると、1日あたり30〜40g(カマンベール1〜2切れ程度)を目安に、3か月以上の継続を想定すると良いでしょう。急激に量を増やす必要はありません。

食べ方のコツ(実用例)

  • 朝:全粒パンに薄くのせて、果物と一緒に
  • 昼:サラダのトッピングに(ビタミンDを含むきのこ類と相性◎)
  • 夜:少量をおつまみとして、ナッツやオリーブと組み合わせる
焼きカマンベールチーズ|とろける濃厚チーズの簡単おつまみ
焼きカマンベールチーズの濃厚な味わい

注意すべき人

  • 乳アレルギーのある方、重度の乳糖不耐症の方は摂取を避けてください。
  • カロリー・脂質が気になる方は摂取量を管理しましょう。
  • 薬を服用中の方や重篤な持病がある方は医師に相談してください。

よくある質問(FAQ)

Q:カマンベールを食べれば認知症を予防できますか?

A:現在のエビデンスは「可能性を示す」が正確な表現です。BDNF上昇や認知スコアと関連する報告はあるものの、長期的に発症率を下げる確定的な証拠はまだ限定的です。バランスの良い生活習慣と組み合わせることが重要です。

Q:どの種類のチーズでも同じですか?

A:発酵様式や熟成で生まれる成分が異なるため、全てのチーズが同じ効果を持つとは限りません。白カビ発酵チーズ(カマンベールやブリー等)は特有の成分を多く含む点が注目されています。

記事のまとめ

  • カマンベールチーズ摂取は血中BDNF増加などを通じて認知機能維持の可能性を示す研究がある。
  • 成分ではβラクトペプチド(GTWYなど)やオレイン酸アミドが主要な候補で、基礎〜臨床で効果が示唆されている。
  • 推奨目安は1日約30〜40g(研究で使われた量に準拠)。3ヶ月以上の継続観察が目安。
  • ただし疫学研究は相関を示すに留まり、長期のRCTでの確定エビデンスはまだ限定的。過度な期待は禁物。
  • 実践にはカロリー管理とアレルギー注意が必要。医療的判断が必要な場合は専門家へ相談を。

引用・参考文献(主要ソース)

  1. 明治:カマンベールチーズと認知機能(ヒト介入試験報告)。
  2. Kirin Holdings:β-lactopeptides(GTWY等)に関する研究と臨床データ。
  3. Suzuki T. et al.(2019)— Mold-Fermented CheeseとBDNFの臨床試験(JAMDA / PubMed)。
  4. Sasaki M. et al.(2024)— Milk-based culture and oleamide RCT(Frontiers in Nutrition)。
  5. Suzuki T. et al.(2024)— Cheese intake and cognitive function(Nutrients疫学解析)。
  6. Kawano K. et al.(2024)— Fatty acid amides in Camembert and cognitive effects(学術誌)。
  7. Whey peptide(GTWY)臨床試験(Frontiers/PMC)

注意:本記事は最新の研究を基に作成していますが、医療的診断・治療を代替するものではありません。健康上の重大な判断は医師等の専門家にご相談ください。

参考・引用は本文内および参考文献欄参照。論文やプレスリリースの原典を基に作成しました。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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