乳牛の飼養管理において、発酵過程で生まれる揮発性脂肪酸により反芻胃のpHが低下しやすくなります。その結果、ルーメンアシドーシスのリスクが高まり、乳量や健康状態に悪影響を及ぼすことがあります。重曹(炭酸水素ナトリウム)は、反芻胃内のpHを安定化させるバッファーとして有効であり、乳量増加や消化改善、繁殖成績の向上など多くのメリットが報告されています。

牛さん
重曹で反芻胃のpHを安定化!乳牛の健康と乳量アップに効果的
リンク
1. 重曹とは
- 化学式: NaHCO₃
- 性状: アルカリ性の白い結晶粉末
- 用途: ベーキング、清掃、酪農における飼料添加
重曹は、反芻胃内の過剰な酸を中和することで、反芻胃環境をほぼ6.2〜6.8の最適pHに保ちます。

牛さん
重曹(NaHCO₃)は乳牛の健康維持に欠かせないアルカリ性粉末
2. 重曹を使うメリット
- 消化の改善
反芻胃内の微生物の活動をサポートし、繊維質の分解率および栄養素吸収を向上させます。 - 乳量の増加
1日あたり約3.8kgの増量効果が実証されています。これは、1.5%の重曹と0.8%酸化マグネシウムを併用した場合のデータです。 - 繁殖性能の向上
分娩後の子宮回復率を90%以上に引き上げる投与法が報告されています。 - ルーメンアシドーシスのリスク低減
反芻胃の急激なpH低下を防ぎ、ルーメンアシドーシスを予防します。

牛さん
重曹で反芻胃の消化力アップ!繊維質分解率が向上
3. 使用方法と投与量
方法 | 投与量・割合 | ポイント |
---|---|---|
TMR混合添加 | 乾物量の0.7%〜1.5% | 均一に混ぜ、少量から導入し徐々に増量 |
自由摂取ブロック | 牛1頭あたり1日約150g(目安) | 鉱塩と同様に設置。ただし湿気で溶けやすい |
トップドレス | 必要量を飼料表面にふりかけ | 均一分布が難しいため管理を徹底 |
錠剤・ブロック型重曹
最近では鉱塩タイプと同様、固形ブロックとして提供される製品も増えています。湿度の高い環境では崩れやすいので、風通しの良い場所に設置しましょう。

牛さん
重曹はTMR混合で乾物量の0.7〜1.5%が適量
4. 注意点とリスク管理
- 過剰投与の回避
過剰に与えると乾物摂取量が低下し、消化バランスが崩れます。 - 添加物との併用注意
ビタミンB群、葉酸、有機酸、抗生物質などとは併用せず、成分が相互作用しないか確認してください。 - 飼料への添加時
味や匂いの変化で摂取量が減少することがあるため、濃度を調整しながら導入を。 - 獣医師・栄養士への相談
群管理や投与設計は専門家の指導を受け、個々の環境に合わせたプランを立てましょう。

牛さん
飼料への添加は味・匂い変化で摂取減少に注意
5. 実際の導入プロセス
- 現状分析: 飼料構成、乳量、体調管理データを集める
- 試験投与: 小規模な群で少量から実施し、反応をモニタリング
- 本格導入: 問題がなければ全群へ展開し、定期的にpH測定や生産性評価を行う
- フィードバック: 結果を記録し、配合比や投与量を最適化

牛さん
投与後の結果を記録し、常に最適化を図ろう
まとめ
重曹は反芻胃内の酸を中和し、最適pHを維持することで乳量アップや消化改善、ルーメンアシドーシスリスク低減に効果的な飼料添加物です。TMR混合からブロック型まで使用方法は多彩ですが、過剰投与や添加物との併用に注意し、段階的に導入・モニタリングを行うことが成功のポイントとなります。専門家と連携しながら、牛群の生産性と健康を両立させましょう。

牛さん
重曹は乳量アップと消化改善の強い味方!
リンク
※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告が含まれる場合があります。
コメント