イタリアンライグラスとは?栄養価・栽培のコツと酪農での活用法

発芽直後から生育旺盛なイタリアンライグラスの畑、酪農向け高栄養牧草 酪農
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イタリアンライグラス(Italian ryegrass)は秋まき→翌春収穫の一年生イネ科牧草で、発芽・初期生育が非常に旺盛。高たんぱく・高エネルギーで嗜好性も高く、関東以西の冬作飼料として広く使われています。本記事では栄養成分、栽培管理、酪農での実践例、経済面まで具体的に草地・飼料生産学研究室に所属していた筆者が解説します。

牛さん
牛さん

イタリアンライグラスは秋まき→翌春収穫の一年生イネ科牧草!

1. 基本の特徴

  • 一年生稲科牧草:秋まき→翌春収穫が基本。
  • 発芽・初期生育が早い:短期間で多収が得られる。
  • 嗜好性が高い:水溶性糖質やフラクタンを多く含み牛の食いつきが良い。
  • 適地:九州~関東以西の温暖地で主に栽培。新品種で北方への適応も拡大中(例:クワトロ-TK5 等)。
牛さん
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発芽・初期生育が早く、短期間で多収可能!温暖地での生育が適地

イタリアンライグラス
道端に生えていたイタリアンライグラス

2. 栄養価(出穂期の目安)

刈り取り適期の代表値(日本標準飼料成分表等に基づく目安)

項目目安(出穂期)
粗たんぱく質(CP)約13.7~18.4%
可消化養分総量(TDN)約70%前後(冬季は糖質蓄積で上昇)
特徴水溶性炭水化物豊富で消化性が良く嗜好性高い
牛さん
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可消化養分総量(TDN)約70%前後でエネルギー豊富

3. 酪農現場での用途と活用法

主に以下の形で利用されます。

  • サイレージ化:出穂期前後に刈って発酵させれば高品質な青刈サイレージに。乳牛の主飼料として利用しやすい。
  • 乾草:早刈りで乾草にすれば保存飼料として冬期間の補給に便利。
  • 直接給与(乾草混合):放牧または粗飼料として給与。放牧では播種時期で草丈とTDNを調整。
牛さん
牛さん

出穂期前後に刈って高品質青刈サイレージ化!

4. 栽培管理の実践ポイント

地域差を加味して調整してください。

  1. 播種時期:目安は平均気温が5℃を越える頃。九州・関東なら9月下旬~10月上旬が標準。
  2. 品種選定:極早生~極晩生があり、晩生程収量優位だが刈り遅れ・倒伏リスクあり。北方では耐寒・耐雪性を高めた新品種を選ぶ(例:クワトロ-TK5など)。
  3. 施肥:多肥に良く反応し草量が増える。窒素過多は倒伏の要因になるため適正施肥を守る。
  4. 刈取りタイミング:栄養価と草量のバランスを取り、出穂期前後の適期刈りが最も高品質。
牛さん
牛さん

播種は平均気温5℃を越える頃!九州・関東は9月下旬〜10月上旬が目安

5. メリット・デメリット(導入判断用)

メリット

  • 発芽・初期生育が速く短期で草量確保。
  • 高CP・高TDNで乳量や体重維持に貢献。
  • 水田裏作や冬作に適し、二毛作体系で土地利用効率向上。

デメリット

  • 多年草に比べ永続性が低く、基本的に毎年播種が必要。
  • 耐寒性はチモシー等に劣るため、豪雪地帯や長期厳寒地では注意。
牛さん
牛さん

発芽・初期生育が速く短期で草量確保!

6. 経済性の視点(実例・期待効果)

稲WCSとの組合せや裏作導入により飼料自給率が上がり、飼料費削減に直結します。実用シミュレーションでは、稲WCSと裏作でイタリアンを組合せた営農モデルで経産牛1頭当たり年間約8万円の所得増加が期待される試算が示されています(条件依存)。

牛さん
牛さん

実用シミュレーションで経産牛1頭あたり年間約8万円の所得増加も期待

7. チモシー等との比較(導入の判断材料)

嗜好性は一般的に「ペレニアルライグラス > チモシー > イタリアンライグラス」。耐寒性・耐雪性はチモシーが優位ですが、イタリアンは耐湿性に強く湿潤な圃場や水田裏作への適応力が高い点が魅力です。

牛さん
牛さん

湿潤圃場でも安定した生育が期待できる

8. 導入チェックリスト(簡潔)

  • 圃場の冬期気候(根雪日数)を確認
  • 播種の適期(地域別)を守る
  • 品種(早晩性・耐寒性)を目的に合わせて選ぶ
  • 施肥計画と倒伏対策を用意
  • サイレージ化するなら刈取り・乾燥・発酵管理を事前に整備
牛さん
牛さん

播種の適期(地域別)を守ることが成功の鍵

よくあるQ&A

Q:放牧で使えますか?
A:短期放牧〜輪番放牧なら有効。早播きで草丈と草量を増やすと放牧耐久は上がりますが、TDNはやや下がるため給与設計で調整してください。

Q:何回収穫できますか?
A:温暖地の冬作では基本的に春の1回刈り運用が主流。ただし品種と管理次第で二毛作体系も可能です(地域・品種依存)。

まとめ(導入の結論)

イタリアンライグラスは「短期で高品質の飼料を得たい」酪農経営に非常に適した選択肢です。栄養価(CP・TDN)が高く嗜好性に優れるため、乳牛の主飼料やサイレージ原料として有用。地域の気候、圃場条件、経営目標に合わせて品種と播種時期を最適化すれば、飼料費削減と自給率向上に大きく貢献します。

牛さん
牛さん

イタリアンライグラスは冬作・裏作の強力な味方!

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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