BSE(牛海綿状脳症)、通称「狂牛病」は、1980年代に英国で発生し世界的に大問題となった牛の神経疾患です。原因は異常プリオンタンパク質で、牛だけでなく人にも「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)」として影響を及ぼす可能性があります。本記事では、BSEの原因・症状・予防策、日本での発生状況と牛肉の安全性について詳しく解説します。

BSEって、牛だけじゃなく人にも影響するんだ!
BSEとは(概要)
BSEは「牛海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopathy)」の略称で、プリオンと呼ばれる異常タンパク質が原因の感染性疾患です。ウイルスや細菌とは異なり、プリオンはタンパク質そのものが異常構造をとることで感染性を持ち、通常の滅菌では不活化しにくい特徴を持ちます。

BSEってプリオンが原因の感染症なんだ!
BSEの原因と感染経路
主な原因は異常プリオンタンパク質です。感染経路としてもっとも問題になったのは、感染した牛の脳や脊髄などを含む「肉骨粉」を家畜飼料に混入したことです。これにより牛から牛へと経口感染が広がりました。
- 感染源:感染牛の中枢神経組織(脳、脊髄など)
- 主要感染経路:経口摂取(肉骨粉を介した感染)
- 潜伏期間:2〜8年と非常に長い(個体差あり)
現場のポイント:飼料原料の管理、異常牛の早期報告、飼料供給業者のトレーサビリティが重要です。

肉骨粉を通じて牛から牛へ経口感染したんだ!
BSEの症状と診断方法
感染牛の初期症状は微妙で、進行に伴い明瞭になります。典型的な症状は以下のとおりです。
- 異常行動(過度の興奮、攻撃性の増加)
- 運動失調(歩行困難、ふらつき、転倒)
- 感覚異常(過敏、逆に反応が鈍くなる)
- 食欲低下や体重減少(進行例)
確定診断は剖検で脳組織を検査する必要があります。生体診断法は限られているため、疑い例は行政への報告と適切な処置が求められます。

感覚異常で過敏になったり反応が鈍くなることも。
BSEの歴史:世界と日本の発生状況
1980年代後半に英国で大きく発生し、1990年代にピークを迎えました。原因は飼料中の肉骨粉でした。日本では2001年以降、複数の検出例がありましたが、厳格な規制・全頭検査・飼料規制により国内発生は抑えられています。
※発生数や統計は年代によって整理されているため、行政(食品安全委員会・農林水産省)の公開データで最新情報を確認してください。

全頭検査や飼料規制で国内発生は抑えられているんだね。
BSEの予防策と現場での対応
BSE対策は「感染源の排除」と「感染拡大の防止」が基本です。具体的には:
- 動物性飼料(肉骨粉等)の使用禁止と厳格な記録(A飼料の利用)
- 特定危険部位(SRM:脳、脊髄、回腸など)の除去・焼却
- 生体の監視と疑い例の速やかな報告
- 全頭検査や出生年管理による追跡体制
- 輸入牛肉に対する検査・SRM除去の徹底
酪農現場の実務:飼料受入時の原材料確認、契約書類の保管、スタッフ教育を徹底しましょう。

BSE対策の基本は感染源の排除と拡大防止なんだ!

人間への影響:vCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)とは
BSE由来のプリオンは稀に人に感染し、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)を引き起こすことが確認されています。症状は精神症状、運動障害、認知機能の低下などで致死的です。発症例は少数にとどまりますが、予防の観点から食肉の安全対策が徹底されました。

症状は精神面や運動、認知機能に影響する致死的な病気だよ。
よくある質問(Q&A)
Q1: 日本でBSEは現在も発生していますか?
A1: 厳格な規制と検査により発生は抑えられています。最新の統計は行政発表をご確認ください。
Q2: 牛肉は食べても安全ですか?
A2: 加工・検査・SRM除去などの対策があるため、通常の流通に乗る牛肉は安全性が高いとされています。
Q3: 畜産業者として今すぐできることは?
A3: 飼料の仕入れ管理、異常牛の早期報告、スタッフ教育、記録の保存を徹底してください。
まとめ
BSE(牛海綿状脳症)は、異常プリオンが原因となる致死性の感染症で、かつては世界的に大きな問題となりました。日本でも過去に36例が確認されましたが、現在は厳格な規制と検査により発生は抑えられています。人への感染リスク(vCJD)は極めて低いとされますが、引き続き「飼料規制」「特定危険部位の除去」「輸入制限」といった予防策が安全を支えています。
牛肉の安全性は国際的にも高い水準にあるため、消費者は過度に心配せず、正しい知識を持って理解することが重要です。

日本では過去に36例が確認されたけど、今は安全管理が徹底されているんだね。
参考
本記事は酪農現場での実務経験と公開されている食品安全基準に基づいて作成しています。詳細な技術資料や最新統計は各行政機関の公開資料をご確認ください。
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