2026年1月配合飼料値上げ:JA全農発表「1tあたり約4,200円」─|影響試算と補填・支援の最新情報

2026年1月からJA全農が配合飼料を1トン当たり約4200円値上げする公式発表と酪農経営への影響イメージ 酪農NEWS
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2026年1~3月期、JA全農は配合飼料の供給価格を前期比で1トン当たり約4,200円引き上げると発表しました(公式発表)。この値上げは飼料原料の国際相場上昇と円安が主因で、酪農経営に直接的なコスト増をもたらします。本記事では公式数値の解説に加え、農家一戸当たりの影響試算、補填制度の見通し、現場で今できる短期・中長期の対策を図表とともにわかりやすくまとめます。

1. 速報:公式発表の要点(最重要)

  • 発表元:JA全農(配合飼料供給価格に関する公式発表)。
  • 対象期間:2026年1月〜3月期
  • 値上げ額:全国全畜種総平均で約4,200円/トン(地域・畜種・銘柄別で変動)。
  • 背景:輸入原料相場上昇、円安、海上運賃の上昇等を反映した改定。
Concentrate feed for beef cattle to improve weight gain and feed efficiency
肉牛の増体に使われる高栄養な濃厚飼料

ポイント(3行で)

  1. 公式は「約4,200円」→一部報道で見られた「4,500〜5,000円」は予測・速報段階の数字。
  2. 補填(配合飼料価格安定制度)発動の見通しが高い。
  3. 現場では即効性のあるコスト対策と、補填申請や制度確認を同時に進めることが重要。

2. なぜ値上げになったのか — 要因を数値で整理

(1)輸入飼料原料の国際相場上昇

トウモロコシや大豆粕といった主要原料相場が上昇。米国の単収不安や世界的な需要増で価格が押上げられ、配合飼料の原料コストを押し上げました。

収穫前のデントコーン畑と乳牛用飼料としての利用風景
乳牛飼料に最適なデントコーン畑

(2)為替(円安)の影響

円安が進行すると輸入コストは円建てで増加します。今回の改定は相場上昇に加え、為替影響が加味された結果です。

(3)物流コスト・海上運賃の高止まり

世界的な輸送需要の影響で海上運賃が底堅く推移し、調達コスト全体の上昇に寄与しています。

3. 酪農家への影響 — 実例で試算(現場が直ちに使える形)

まず簡易試算。仮に飼料消費が年間500トンの中規模牧場を例に取ると、今回の改定(+4,200円/トン)は年間で約210万円の飼料費増となります(4,200円×500トン)。この負担をどう吸収するかが経営安定のカギです。

牧場規模(年)想定飼料消費増加(円/トン)年間負担増(円)
小規模50トン4,200210,000
中規模200トン4,200840,000
大規模500トン4,2002,100,000

※上は単純試算。実際の影響は飼料配合比、粗飼料自給率、乳価・販売価格の動向、補填の有無で変わります。

4. 補填制度と政府対応の見通し

配合飼料価格安定制度(配合飼料価格の上昇に応じた補填制度)は、今回のような急激な上昇時に発動される可能性が高いとされています。農水省関連資料にも制度の仕組みが明記されています。

また、加工原料乳補給金などの関係政策も見直されており、2026年度の補給金引上げなど経営支援の動きが報じられています。これらは経営の下支えになりますが、個々の牧場ですぐに現金負担が減るわけではないため併行した現場対策が不可欠です。

5. 現場で今すぐできる短期〜中長期の対策(実務寄り)

短期(即効性)

  • 飼料の歩留まりチェック:給与記録と残渣を照合し過給餌を防止
  • 配合比の見直し:必要であれば一時的に配合替えでコスト圧縮(栄養士と相談)
  • 副産物飼料の導入:食品製造副産物等を安全に活用(品質管理必須)
  • 燃料/電力コストの節減(作業効率改善で間接コストを削減)

中長期(構造的改善)

  • 粗飼料自給率の向上:サイレージ・乾草の増産と適正保存
  • 飼料効率改善:遺伝・飼養管理でエサ効率(FCR)を改善
  • 複数年度のコストシナリオ作成:価格変動に耐える資金計画
  • 協同購入・共同保管の検討:地域での共同調達で購買力を向上
WCS(ホールクロップサイレージ)
稲科牧草を乳酸菌発酵したWCS(ホールクロップサイレージ)です。

現場チェックリスト(即実行)

  1. 今期と前期の給与記録を突き合わせて過給を確認
  2. 緊急で節約できる費目(光熱、調達ロット)を洗い出す
  3. 補填・支援制度の申請条件と期限を担当窓口で確認

6. まとめ(結論・取るべき最初の一手)

  • JA全農が2026年1〜3月期に配合飼料を約4,200円/トン値上げと正式発表。公式一次情報を最優先で扱うこと。
  • 「4500円」という表現は一部予測や報道で使われた数値に由来し、最終的な公式値は約4,200円である点に注意。
  • 農家影響は重大:飼料費増→生乳生産コスト上昇→乳価転嫁圧力/経営悪化の連鎖が起こり得る。
  • 取るべき即効策:飼料効率改善、国産粗飼料比率の引き上げ、副産物利用、補填制度の活用。

結論:JA全農の公式発表で、配合飼料は2026年1〜3月期に全国平均で約4,200円/トンの値上げが決定しました。この負担を軽減するには、制度(補填)の動向を注視しつつ、現場での即効性ある節減策と中長期の自給力強化を同時に進める必要があります。

優先アクション(3つ)

  1. JA全農・都道府県農協の補填/支援案を確認し、申請準備を始める。
  2. 事業規模別の影響試算を作成し、現金フロー計画を更新する(今期の簡易試算をこの記事の表から作成可能)。
  3. 短期:給与管理と配合見直し。中長期:粗飼料自給率向上計画を立てる。

FAQ(よくある質問)

Q1. 「4500円」や「5000円」と報じられたのはなぜ?

A:一部メディアや業界の速報段階での予測値や見通しが拡散したためです。最終的な公式決定はJA全農が示した「約4,200円」です。

Q2. 補填はいつ、どのくらい支給されるのか?

A:補填発動には一定の基準があり、発動時期・金額は今回の数値と制度運用により決まります。個別の支給額は農協や制度案の詳細発表で確定します。

Q3. 乳価はすぐに上がりますか?

A:乳価の改定は需給や加工業者との協議で決まるため時差が生じます。短期的には生産者がコスト負担を先に負う可能性があります。


出典・参考:JA全農配合飼料供給価格発表(令和8年1〜3月期)/業界各社の速報・解説(JACOM、日刊酪農等)/農林水産省の配合飼料価格安定制度資料。

この記事は専門家(酪農現場経験者・業界資料精査)による情報整理を基に作成しています。最新の行政・JA発表は常にご確認ください。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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