酪農基礎講座第六回:酪農において最も重要な『搾乳』の手順や注意点を解説

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酪農経営において牛の健康を守り、乳質を高めるために最も重要なポイントは「搾乳手順の徹底」です。搾乳の際に適切な手順を守ることで、乳房炎の予防や乳の品質向上が実現でき、経済的な損失を最小限に抑えることができます。本記事では、乳房炎を防ぐための搾乳手順について解説します。

犬さん
犬さん

乳房炎を防ぎ、牛の健康を守ることで、経営の安定にもつながります。搾乳手順を見直してみましょう!

搾乳手順とは?乳房炎予防に直結する理由

搾乳手順が正しく実施されていないと、乳房炎やその他の乳腺疾患を引き起こす可能性が高まります。乳房炎は、細菌感染により乳腺が炎症を起こす疾患で、乳量の低下乳質の悪化を招きます。結果的に、乳房炎は酪農経営に深刻な経済的影響を与え、場合によっては乳牛の健康を損なうことにもつながります。

このような事態を防ぐためには、搾乳時に発生するリスクを最小化する手順を徹底することが重要です。乳房炎を予防するための基本的な搾乳手順を理解し、毎回の作業に活かすことが、乳品質向上の第一歩です。

犬さん
犬さん

搾乳手順が不十分だと乳房炎が引き起こされ、乳質や乳量に影響が出るんだね!経営にも深刻な影響があるから、しっかり手順を守らなきゃ。

牛さん
牛さん

次からは搾乳手順の詳細について説明していくよ!

搾乳手順の詳細と実践方法

搾乳準備

搾乳作業に必要な道具を整えることが第一歩です。消毒液で浸したタオルや使用済みタオルを入れるバケツ、ペーパータオルなど、作業に必要なアイテムをすべて整えましょう。すべての道具は清潔でなければなりません。

  • 消毒液に浸漬したタオル: 乳頭口や乳房を清潔に保つために使用
  • ペーパータオル: 乳頭の乾燥に使用
  • ゴム手袋: 手からの細菌感染を防ぐ

前搾りで異常乳を発見

前搾りは、乳汁の異常を確認し、乳房炎の兆候を早期に発見するために重要な工程です。前搾りを行うことで、乳腺に凝集物が含まれていないかチェックし、乳房炎の初期症状を発見することができます。また、前搾りによってオキシトシンが分泌され、搾乳がスムーズに進みます。

前搾りした乳汁はストリップカップに受け、ブツと言われる凝集物を確認します。

乳頭の清拭

乳頭の清拭は、乳房炎予防において非常に重要なステップです。乳頭や乳房表面に付着した細菌や汚れを取り除くことで、細菌感染のリスクを軽減します。ここでは、牛1頭に対して1枚のタオルを使用し、優しく乳頭を清拭します。

乳頭乾燥

乳頭の乾燥は、細菌の繁殖を防ぐために欠かせない工程です。乳頭に水分が残っていると、感染のリスクが高まりますので、ペーパータオルでしっかりと水分を拭き取ります。この乾燥工程を徹底することで、乳房炎の予防につながります。または、アルコールは短時間で蒸発する揮発性の高い性質をもっいえるため、アルコールペーパーで拭くことで水分を一緒に蒸発させることができます。

ティートカップの装着

ミルカーという機械の乳頭装着部分ティートカップの装着は、オキシトシンの分泌を促すために重要です。オキシトシンが分泌されることで、乳房の絞りやすさが向上し、効率的な搾乳が可能になります。また、ティートカップの装着には、空気の流入を防ぐ注意が必要です空気が入ると真空圧の変動が発生し、乳房炎を引き起こす可能性があるため、十分に注意しましょう。

ティートカップの離脱

搾乳後、ティートカップを外すタイミングは非常に重要です。オキシトシンの分泌に合わせて、おおむね5分以内で搾乳を終了し、真空を完全に解除してからティートカップを外します。このステップを正しく行うことで、乳頭にかかるストレスや損傷を最小限に抑えることができます。

ディッピングによる乳頭の殺菌

搾乳後、乳頭にディッピングを施すことで、乳頭管や乳房表面に付着した細菌を殺菌します。ディッピングは、次回の搾乳まで細菌が定着しないようにするための予防措置として非常に有効です。ディッピング液は牛舎内で衛生的に管理し、搾乳後すぐに行うことが推奨されます。

清拭する前にディッピングをする牧場もあります。前搾りの前後どちらでも大丈夫ですが、牧場で手順が違うので注意しましょう。

また、ティートカップの装着の前にやるものを『プレディッピング』、最後につけるものを『ポストディピング』と言います。

犬さん
犬さん

全体的な手順を守ることで、より健康な乳牛と質の高い乳が作れるんだね。

乳房炎予防のために守るべきポイント

搾乳手順を正しく実施するだけでなく、以下のポイントも守ることで乳房炎を予防できます。

  • 牛の衛生管理: 牛舎や寝床を清潔に保ち、細菌感染を防ぎます。
  • 器具の消毒: 搾乳器具やタオルなど、使用する器具は常に清潔に保ちましょう。
  • ストレス管理: 牛に過度なストレスをかけないよう、静かな環境で搾乳作業を行います(大声などのストレスをかけるとアドレナリンが分泌し、乳汁分泌に重要なオキシトシンが抑制されます)。
犬さん
犬さん

牛にストレスをかけないように気をつけることで、オキシトシンの分泌をサポート!静かな環境作りが乳汁分泌を助けるんだ。

搾乳手順と乳房炎予防で経済的な損失を抑える

乳房炎を予防するための正しい搾乳手順は、酪農経営者にとって経済的な利益をもたらします。乳房炎による経済的損失は、乳量の低下、乳質の劣化、さらには治療費などを考慮すると、非常に大きなものとなります。搾乳手順を徹底し、牛の健康を守ることで、搾乳量の安定化と乳品質の向上を実現し、収益の最大化を目指しましょう。

犬さん
犬さん

搾乳量が安定すれば、経営の収益も安定!乳品質の向上が、経済的な利益に直結するんだ。

まとめ

乳房炎予防には、搾乳手順を徹底することが最も重要です。搾乳作業の中で適切な手順を守り、乳房の健康を守ることで、乳品質を向上させ、経済的な損失を防ぐことができます。酪農経営者として成功を収めるために、搾乳手順をしっかりと実践し、牛の健康を最優先に考えましょう。

犬さん
犬さん

正しい搾乳手順が乳品質向上に繋がり、経済的な損失を防ぐんだ!

他の酪農基礎講座についてはこちらの記事でまとめておりますので、ぜひご覧ください。

この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

毎日牛乳1L飲んでます!

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