冬の搾乳で袖が濡れるあなたへ|「完全防水」手袋の最適解【酪農の寒さ対策】

冬の搾乳に最適な完全防水手袋ショーワグローブNo240の衛生的な装着方法 疾病
冬の搾乳時の袖濡れ防止と乳房炎リスク対策に役立つ、ショーワNo240の完全防水手袋
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冬の朝一番の搾乳、作業開始から数分で袖口に冷たい水が染みてくるあの感覚。

その後数時間、手が冷え切り、時には凍るような痛みと戦いながら作業をする辛さは、酪農従事者にしか分かりません。指先の感覚がなくなれば、作業効率が落ちるだけでなく、乳質管理にも悪影響を及ぼします。

結論から言います。この「痛み」と「ストレス」を解消する唯一の正解は、「ショーワグローブ No240 腕カバー付薄手」を軸にした組み合わせです。

今回は、酪農歴10年、家畜人工授精師・認定牛削蹄師の資格を持つ私が、単なる防寒対策ではなく、「衛生管理と経営リスク回避」の観点から、なぜこの手袋を選ぶべきなのかを論理的に解説します。

なぜ冬の搾乳で「普通のゴム手袋」ではダメなのか

多くの酪農従事者さんがホームセンターで売っている「厚手の防寒ゴム手袋」や「手首までのニトリル手袋」での搾乳作業が一般的だと思います。

袖口からの浸水が「凍傷」レベルの冷えを招く

搾乳作業は常に水を使います。特に冬場、牛体の洗浄や搾乳機器のセット中に、手首の隙間から水が浸入します。一度濡れた作業着の袖は、氷点下の牛舎内では乾くことがありません。

結果、濡れた布が手首を冷やし続け、体温を奪い、集中力を著しく低下させます。これは精神論で耐えるべきものではなく、明確に除去すべき「作業阻害要因」です。

結論:最強の解は「ショーワグローブ No240」一択である理由

私が10年間、あらゆる手袋を試して辿り着いた結論が、「ショーワグローブ No240 腕カバー付薄手」です。

ショーワグローブ製作業用手袋の写真
ショーワグローブの作業用手袋

選ぶべき理由は以下の3点に集約されます。

  • 肩口までの完全防水:全長60cmのロングタイプで、腕全体をカバーします。ゴム袖によりズレ落ちず、袖口からの水の侵入を物理的に100%遮断します。
  • 指先の感覚を損なわない薄手設計:防寒手袋のような「分厚すぎて乳頭の感覚が分からない」という事態を防ぎます。搾乳や繊細な作業において、指先の感度は命です。
  • 高い耐久性とコストパフォーマンス:ハードな酪農作業でも破れにくい塩化ビニール樹脂製で、毎日使っても経済的です。

快適性だけではない「乳房炎リスク」の回避

ここからが本題です。私がこの手袋を強く推奨するのは、単に「手が冷たくないから」という理由だけではありません。
酪農経営における最大のリスクの一つ、「乳房炎」を防ぐための衛生管理ツールとして優秀だからです。

「洗えない作業着の袖」は雑菌の温床

長手袋を使用せず、作業着の袖(または腕カバー)で作業をしている場合を想像してください。

牛の糞尿や汚れが袖に付着した時、その場ですぐに洗濯できるでしょうか?不可能です。結果として、汚れたままの袖で次の牛、また次の牛へと作業を続けることになります。

その汚染された袖が、搾乳作業中に誤って乳房や乳頭口に触れてしまったらどうなるか。それが環境性乳房炎の感染源になります。

長手袋なら「その場でリセット」が可能

一方、樹脂製の長手袋であれば、話は別です。

「汚れたら、その場で手を洗い流すだけで衛生状態がリセットされる」

表面がつるっとしているため、汚れや雑菌を水で瞬時に洗い流せます。常に清潔な状態で次の牛に向き合える。これこそが、プロが長手袋を選ぶべき論理的な理由です。

衛生的な取り付け手順

私たちは単に手を濡らさないために手袋を装着しているのではありません。牛体や乳房に触れる部分を常に最も清潔な状態に保つことが目的です。この3層構造は、快適性だけでなく、衛生的な作業手順を確保するための論理的なシステムです。

衛生的な装着は、以下の順番で確実に行ってください。

1. 1層目:薄手のゴム手袋

目的: 長手袋の内側が手汗で汚れるのを防ぎます。

  • 素手から直接この手袋を装着します。
衛生作業のために薄手ゴム手袋を着用する手順の写真
薄手ゴム手袋を装着する

2. 2層目:ショーワグローブ No240 腕カバー付薄手(防水・防汚層)

  • 目的: 腕全体を作業着の汚れや水濡れから完全に隔離する「バリア層」です。
  • ゴム手袋の上から、肩口までしっかりとズレがないように装着します。
ショーワグローブNo240を装着する防水腕カバー付き手袋の写真
ショーワグローブNo240の防水腕カバー手袋

3. 3層目:薄手のゴム手袋(衛生・作業層)

  • 目的: 牛の乳房やディップ液など、牛体に直接触れる部分の衛生を保つための最終接触層です。
  • 長手袋の上に重ねて装着します。この手袋が最も汚染されやすいため、作業中に汚れるたびに交換しやすいように、あえて長手袋の上に装着します。
衛生作業用として3層目に薄手のゴム手袋を装着する様子の写真
3層目の薄手ゴム手袋を装着

【衛生上の最重要ポイント】 長手袋の上に、牛に直接触れるための3層目(ゴム手袋)を必ず装着する点が衛生管理上最も重要です。長手袋は主に「腕を作業着から隔離し、水濡れを防ぐため」のものです。一方、3層目の手袋は「直接牛に触れる部分」であるため、汚染された際にすぐに交換・洗浄できる状態にしておく必要があります。この手順を守ることで、作業効率と乳房衛生を両立できます。

デメリット

デメリットがないわけではありません。読者の方には正直にお伝えします。

デメリット1:夏場は汗で手袋の中がびしょびしょになる

防水性が高いため、内部の汗が逃げられず蒸れます。特に夏場は汗をかきますので着用はお勧めしません。

デメリット2:3層構造による「前搾りの感覚の鈍り」

普通のゴム手袋、長手袋、外側のゴム手袋という3層構造は、完全防水と衛生面で最強ですが、素手に近い感覚で前搾りを行う際には、どうしても感覚が鈍ります。

まとめ:プロなら道具に投資して成果を変える

酪農における手袋選びは、単なる消耗品選びではありません。以下の3つの成果を得るための「投資」です。

  1. 作業効率の向上:冷えによるパフォーマンス低下を防ぐ。
  2. 衛生レベルの向上:乳房炎リスクを物理的に遮断する。
  3. モチベーションの維持:毎朝の不快なストレスから解放される。

もしあなたが今、冬の朝の搾乳で凍える手に悩んでいるなら、明日から環境を変えてください。500円で快適になります!

▼外部の水を完璧に防ぐ長手袋

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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