DMI(乾物摂取量)は、乳牛の健康・生産性を左右する最重要指標です。本記事では、DMIとは何か、なぜ重要なのか、そして現場でどう測定・改善するかを初心者にもわかりやすく解説します。

乳量や健康が低下してしまう前に、このDMI管理をしっかりマスターしよう!
1. DMIとは?基礎知識
DMI(Dry Matter Intake:乾物摂取量)は、牛が1日に食べる「水分を除いた飼料の量(kg/日)」です。水分80%の湿草10kgは、実質2kgのDMIになります。
乾物には、エネルギー、タンパク質、繊維などすべての栄養素が含まれるため、DMIは牛の栄養状態を正確に把握する鍵です。

DMIって、ただの食事量じゃないんだ!水分を除いた栄養素の摂取量が牛の健康と生産性に直結するって、すごい。

2. なぜDMIが重要なのか
- 栄養設計の基礎:維持・乳生産・成長に必要なエネルギー量を計算
- 生産性管理:DMIと乳量は強い相関。適切なDMI維持で高乳量を実現
- 健康管理:急激なDMI低下はストレスや疾病の早期警告サイン

DMIと乳量、実は密接な関係!
3. DMIに影響する4つの要因
3‑1. 牛の特性
- 体重:体重の約3%が目安(例:1,200kg→36kg/日)
- 乳量・乳成分:脂肪補正乳量が上がるとDMIも増加
- DIM(泌乳日数):初期泌乳期はDMIが低め、その後徐々に増加
- BCS(体況スコア):高すぎると産後DMIが抑制される傾向

体重でDMIの目安がわかる!
3‑2. 飼料の質
- NDF消化率:1%向上でDMI+0.17kg/日(Allen et al., 2019)
- 水分含有量:水分多い飼料は実質DMIが低下
- 形態(粉砕・ペレット):食べムラを減らし、安定したDMIに貢献

水分多い飼料は実質DMIが低下
3‑3. 環境条件
- 暑熱ストレス:THI72以上でDMI-11.5%、25–32℃で-0.85kg/日
- 寒冷ストレス:DMI↑だがエネルギー消費も↑。保温管理が鍵

暑熱ストレスはDMIを大きく減少
3‑4. 生理状態
- 産後ハイパー脂血症:エネルギー不足でDMI抑制
- 代謝ホルモン:プロピオン酸などが摂食行動をコントロール

4. 現場でのDMI測定・推定方法
- 残飼測定法:給与量-残飼量を定期的にサンプリングし、乾燥重量を測定
- 予測式:NASEM2021の予測式で体重・乳エネルギー・DIMなどから算出
- RFS(反芻充満スコア):側腹部の膨張度合いを観察し、DMIを推定
- ウェアラブルデバイス:反芻モニタリングで自動推定・記録

給与量から残飼量を差し引いて、その差分を定期的にサンプリングし、乾燥重量を測定してDMIを求める方法。こまめにチェックして、実際の摂取量を把握することが大事だね。
5. 実践ケーススタディ:TMR水分管理で乳量安定
問題:現物重さでTMRを給与していたため、水分量の違いでDMIが把握できず、乳量が不安定。
対策:定期的にTMRの水分含量を測定し、DMIを基準に給与量を調整。
成果:乳量が安定し、疾病(代謝性疾患・下痢など)が20%以上減少。

現物重さだけで給与していると、水分量でDMIがズレて乳量が不安定。水分測定を行い、DMI基準で調整することで乳量の安定と疾病予防ができる!
6. 日本の酪農で役立つ3つのポイント
6‑1. 牧草の水分検査を習慣化
牧草は飼料の約40~50%を占めるため、水分80%の牧草10kg→2kg DMIを目安に乾物量で給与。

牧草は飼料の大部分!水分80%の牧草10kgは実質2kgのDMIになるから、乾物量で管理することが大切。
6‑2. 暑熱対策でDMI維持
- 冷却ファンやミストシステムの導入
- 遮光ネット・屋根延長で直射日光を遮断

暑熱ストレスを減らすことで、DMIを維持。冷却ファンや屋根延長などで牛の健康を守る重要性が分かりました
6‑3. 給餌環境の最適化
- 1頭あたり飼槽スペースは46cm以上確保
- 複数飼料の混合給与で選り好み防止

1頭あたり46cm以上の飼槽スペースで、ストレスを減らし、牛たちがしっかり食べる環境を提供できるんですね!
7. 今日から使える改善チェックリスト
- ☐ 牛体重とBCSに合わせたDMI目標を設定
- ☐ 飼料のNDF・水分率を月1回測定
- ☐ 暑熱期のTHIを計測し、対策を実施
- ☐ 残飼サンプリングでDMIを算出
- ☐ RFS(ルーメンフィルスコア)観察を日々の日課に

牛体重やBCSに合わせたDMI目標設定が、改善への第一歩!自分の牧場に合った基準を作りましょう。
8. まとめ & 次のステップ
本ガイドでは、DMIの基礎知識から、影響要因、測定・改善手法、日本の現場で役立つポイントまでをわかりやすく解説しました。まずはチェックリストをもとに現在の飼養管理を振り返り、DMI中心のアプローチを取り入れてみてください。

今すぐチェックリストを活用して、DMI向上の第一歩を踏み出してみましょう。実践することで見えてくる改善点がたくさんあります。
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