北海道北部記録的大雨で酪農現場に深刻被害【2025年8月】牧草流出・生乳廃棄も

北海道北部の酪農地で浸水した牛舎と浮かぶ牧草ロール(記録的大雨・2025年8月) 酪農
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2025年8月17日、低気圧と前線の影響で北海道北部に記録的な大雨が降り、幌延町や天塩町を中心に住宅浸水や避難指示が発令されました。農地や牧草地の冠水、牧草ロールの流出、牛舎浸水、バルククーラー(生乳貯蔵タンク)への雨水流入による生乳廃棄など、酪農現場に直接的な被害が出ています。

事件の概要:いつ・どれくらい降ったか

17日は道北を中心に局地的に非常に激しい雨となり、幌延町や天塩町で観測史上最大級の降水量が記録されました。天塩町では短時間で150mm超の雨量を観測し、河川氾濫や土砂災害警戒情報が発表されました。これにより複数地域で避難指示や住宅浸水が発生しています。

酪農現場で確認された主な被害

牧草(飼料)被害:ロールの冠水・流出

幌延町や周辺圃場では、牧草ロールが冠水・浮遊して流出する光景が報告されました。水没した牧草ロールはカビや腐敗のリスクが高く、乾草やサイレージとしての利用が困難になる可能性が高いです。これにより、冬期に必要な飼料確保が難航する懸念があります。

牛舎浸水・生乳被害

留萌管内などでは牛舎の一部が浸水し、バルククーラーに雨水が混入したため生乳を廃棄せざるを得なかった事例が確認されています。道路の寸断や集乳ルートの停止により、集乳体制に支障が出ている地域もあります。被害は現時点で拡大の可能性があるため、速やかな状況把握と対応が必要です。

その他:周辺農作物・生態系・野生動物の影響

トウモロコシ畑などの冠水による収量減、土砂流出による圃場の機能低下も報告されています。また一部地域ではクマの出没報告なども上がっており、災害後の餌場・行動域の変化が野生動物の動きに影響する可能性があります(現地報告ベース)。

被災地域と被害規模の見立て

主に幌延町・天塩町・中頓別町など道北エリアで被害が集中しています。避難指示は数百世帯規模となり、農家単位での被害額は今後の集計が必要ですが、牧草被害と生乳廃棄が重なると単年度の生産・収支に大きな影響がでます。地域経済や流通への影響も懸念されます。

酪農生産に及ぶ短期〜中期の影響

  • 飼料不足:水没・流出した牧草の代替が必要。
  • 生乳供給の途絶:集乳停止や廃棄が続くと出荷量が減少。
  • 牛群の健康リスク:浸水によるストレス、衛生悪化で疾病リスク増。
  • 復旧コスト:土壌修復、排水設備や牛舎修繕の費用負担。

現場でまず行うべき応急対応(酪農家向け)

被害を最小化するための優先順位と具体アクションを整理します。

  1. 人と牛の安全確保:まずは人員と牛の避難・安全確保。浸水危険がある牛舎は速やかに高台へ移動を検討。
  2. 生乳の品質確認:バルクに雨水混入が疑われる場合は出荷前に品質検査を行い、指導機関(酪農団体や集乳業者)と連携して廃棄の判断を。廃棄処理は法令と処理手順を守る。
  3. 牧草の選別:水没牧草はカビや硝酸化のリスクがあるため、利用可否を見極める。短期では購入や代替飼料の確保(飼料会社や近隣農家との調整)を検討。
  4. 衛生対策:浸水した牛舎は汚泥や汚水の除去、消毒、乾燥を行い感染症対策を実施。
  5. 記録と写真保全:被害状況は写真・動画・日付で記録し、補助金申請や保険請求のために保存。

行政・支援・補助金の窓口(今すぐ確認すべき項目)

被害の程度に応じて市町村や北海道庁、農業協同組合(JA)等からの支援が受けられる場合があります。災害支援や農業復旧の補助金情報、避難所案内は各自治体の災害ページを確認してください(気象情報や警報に従って行動を)。

再発防止と中長期の対策

気候変動に伴う異常気象が続く可能性を踏まえ、下記のような耐災害・適応策を検討する必要があります:

  • 牧草の高所保管や防水カバーの導入。
  • 牛舎の床上げ・排水路整備、バルククーラー周囲の防水対策。
  • 飼料備蓄量の見直しと代替飼料ルートの確保。
  • 地域単位の集落防災計画と集乳ネットワークのバックアップ体制構築。

現地報告(報道・SNSで確認された事例)

・幌延町:牧草ロールが冠水して浮かぶ様子、避難指示の発令。

・天塩町:短時間で150mm超の記録的豪雨で住宅浸水、農地の冠水確認。

・留萌管内:バルククーラーへの雨水混入による生乳廃棄報告。

まとめと今後の見通し

2025年8月17日の道北の大雨は、酪農現場に対して飼料確保・生乳供給・牛群衛生の面で短期〜中期の影響を与える可能性があります。まずは安全確保と被害記録、次に応急的な飼料・資材の確保と衛生対策を優先してください。復旧には自治体やJAとの連携、補助金・保険の活用が重要です。地域ぐるみでの防災・適応策を進めることが、今後のリスク軽減につながります。

参考・出典(抜粋)

  • UHB(北海道文化放送):「冠水して浮かぶ牧草ロール」等の現地報道。
  • HBC(北海道放送)・HTBなど:天塩町・幌延町の観測記録と住宅浸水報道。
  • 業界紙(Daily Dairy News / DairySpeed News):酪農現場での生乳廃棄や牧草流出の報告。
  • 北海道新聞:被害全体の報告と地域影響。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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