香港 牛肉輸入規制まとめ|(BSE除去・輸入ライセンス・検査対応)

香港の牛肉輸入規制とBSE対策を解説する図解|輸入ライセンス・検査手順まとめ 肉牛
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香港市場へ牛肉を輸出・輸入するには、FEHD/CFSによるBSE対策や書類要件を正確に満たすことが不可欠です。本記事では、特定危険部位(SRM)の扱い、食肉衛生証明書や輸入ライセンスの取得手順、通関・入港時の検査対応まで、輸出事業者が現場で使える実務的チェックリストとサンプルを付けて分かりやすく解説します。2025年の最新運用も反映済みです。

結論:まず押さえるべきポイント(1分要約)

  • 監督機関は香港のFood and Environmental Hygiene Department(FEHD)とCentre for Food Safety(CFS)。
  • BSEリスクに対応するため、特定危険部位(脳、脊髄、扁桃、回腸遠位部など)の除去や処理施設の認定が必須。
  • 輸入には健康証明書(食肉衛生証明など)とFEHDの輸入ライセンスが必要。書類不備で差し戻される例が多い。
  • 2025年以降、生牛肉の輸出施設はCFSへの事前登録が義務化されている点に注意(施設登録関連の手続きは必ず確認)。
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香港の監督機関と法的根拠

香港で牛肉の輸入・流通を管理する主要機関はFEHD(Food and Environmental Hygiene Department)とその傘下のCFS(Centre for Food Safety)です。輸入に関する法的根拠は「Imported Game, Meat, Poultry and Eggs Regulations(Cap.132AK)」に基づきます。

ポイント:公式ガイドラインや法令は随時改定されるため、申請前にFEHD/CFSの最新情報を必ず確認してください。

輸入が許可される牛肉・禁止される部位(BSE対策)

香港はBSEリスク管理を重視しており、特定危険部位(Specified Risk Material: SRM)の扱いが厳格です。一般的な除去対象は以下の通りです。

  • 脳(brain)・脊髄(spinal cord)
  • 扁桃(tonsils)
  • 回腸遠位部(distal ileum)
  • 一部の頭部組織(年齢基準による制限適用)
牛肉の部位イラスト|ステーキや焼肉向けの主要部位を分かりやすく図解
牛肉の主要部位を示したイラスト。

輸入許可は、これらSRMが適切に除去され、かつと畜・解体・分割の各工程が認定施設で一貫して行われていることが条件になる場合があります(輸出国・施設の状況による)。

日本から輸出する際の必要書類(実務一覧)

代表的な書類は下記の通りです。品目や生産地によって追加書類が求められることがあります。

書類名発行元目的
食肉衛生証明書(Health Certificate)厚生労働省(認定施設)BSE除去・衛生適合の証明
輸出検疫証明書動物検疫所伝染病フリーの証明
輸入ライセンス(Import Licence)申請書類FEHD(オンライン申請可)香港側の輸入許可取得
放射性物質検査証明書(必要な場合)検査機関(国が指定)輸出地が対象地域の場合の基準適合証明
施設登録証明(輸出施設の登録)当該国の主管庁 / CFS要件CFSへの登録または認定を示す書類

注意点:輸入ライセンスはFEHDのオンラインポータルで申請するケースが一般的で、申請時に商品の詳細(HSコード・包装形態・原料表示など)を求められます。

輸入ライセンス申請の流れ(実務チェックリスト)

  1. 輸出元で必要書類の準備(食肉衛生証明書・輸出検疫証明など)
  2. FEHDのFood Trader Portal等で輸入ライセンスをオンライン申請
  3. 必要に応じてCFS向け施設登録・認定の確認
  4. 輸送(冷凍/冷蔵)手配:入港日時・入港地点を確定(指定港のみ)
  5. 香港到着後、FEHDによるサンプリング検査またはロット検査に対応
  6. 検査合格後、通関・流通開始

実務のコツ:書類の英訳(所定の英語フォーマット)と原本の一貫性を保つこと。食品名や処理工程の説明は簡潔かつ正確に。

通関・入港時の検査と現場での注意点

入港後は、ランダムサンプリングあるいは全ロット検査が行われることがあります。腐敗リスクの高い製品は優先検査の対象となるため、冷凍温度の管理記録・トレーサビリティ情報の提示準備が重要です。

  • 入港地点は指定港のみ(空港・指定海港など)。
  • ラベリング(原材料表示・原産地表記)は正確に。虚偽表示は重い罰則対象。
  • 不適合が確認された場合、リコール・没収・廃棄のリスクあり。

よくある失敗例と対応策(ケーススタディ)

失敗例1:証明書の記載不備で差し戻し

対策:フォーマットに沿った記入例を用意し、輸出検査前に担当省庁へ確認。コピーと英語版を同梱。

失敗例2:SRM(危険部位)の除去手順が不明確

対策:解体・分割工程の写真・工程表を添付し、認定施設で処理されていることを明示。

失敗例3:入港港の選定ミスで輸送遅延

対策:輸送前にFEHDの指定港・検査体制を確認し、冷凍輸送の余裕をもってスケジュールする。

まとめ

  • 香港の監督機関はFEHD(CFS)。法的根拠は「Cap.132AK(Imported Game, Meat, Poultry and Eggs Regulations)」。
  • BSE対策としてSRM(脳・脊髄・扁桃・回腸遠位部等)の除去が原則。施設での一貫処理や認定が要件となる場合あり。
  • 必要書類は主に:食肉衛生証明書、輸出検疫証明書、FEHDの輸入ライセンス、(該当時)放射性物質検査証明、施設登録証明。
  • 輸入ライセンスはオンライン申請が基本。入港時はサンプリング検査/ロット検査があり、温度管理・トレーサビリティが重要。
  • よくある失敗は「証明書の記載不備」「SRMの処理説明不足」「指定港の見落とし」。事前チェックリストと書式サンプルで防止可能。
  • まずやるべき3点:①施設のCFS要件確認・登録、②書類(英語含む)を所定フォーマットで準備、③トレーサビリティと温度ログを整備して検査に備える。

よくある質問(FAQ)

Q1:月齢制限はありますか?

A:香港ではBSE対策として特定危険部位の除去を重視しており、月齢に関する運用は輸出国・時期によって変わります。最新の運用(特に30か月以上の扱い)はFEHDの案内に従ってください。

Q2:地上肉(グラウンドビーフ)は輸入できますか?

A:グラウンドビーフは特別扱いとなる場合が多く、輸入前にFEHDの許可が必要です。事前相談を推奨します。

Q3:輸入申請の処理期間はどのくらい?

A:通常は数営業日で処理されますが、検査や追加確認が入ると数日〜数週間かかることがあります。早めの申請が安全です。

参考・関連リンク(公式を優先して確認してください)

  • FEHD / Centre for Food Safety(香港)公式ガイド
  • 香港法令:Imported Game, Meat, Poultry and Eggs Regulations(Cap.132AK)
  • 日本:厚生労働省 / 農林水産省(輸出手続き関連)

この記事は輸出入の実務ガイドを目的として作成しています。法令や行政運用は変更されるため、申請前に必ず最新の公式情報を確認してください。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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