日本の生乳生産量は地域ごとに大きな差があり、国内供給の構造を理解するには都道府県別の数値とトレンド把握が不可欠です。本記事では2024年の最新動向を踏まえ、都道府県別ランキング、北海道を中心とした地域比較、飲用と加工の用途別変化、そして現場で使える対策までを分かりやすく解説します。
生乳生産の基礎データ(要点)
・2023年の総生産量は約7,297,614トン。2024年は回復基調で約7,373,284トン(前年比+1.1%)の見込み。
・北海道が圧倒的なシェア(約56.6%)を占める。
都道府県別 生乳生産量ランキング(上位10、概数)
以下は2024年見込みを中心にした上位10都道府県の概数ランキングです。単位:トン(約)
順位 | 都道府県 | 生乳生産量(トン) | 備考 |
---|---|---|---|
1 | 北海道 | 約4,309,275 | 全国シェア:約56.6% |
2 | 栃木県 | 約300,000 | 那須塩原など酪農地帯が強い |
3 | 熊本県 | 約300,000 | 阿蘇地域中心 |
4 | 岩手県 | 約250,000 | 寒冷地で乳質と量の安定 |
5 | 千葉県 | 約200,000 | 首都圏近接で流通優位 |
6 | 群馬県 | 約200,000 | 地域ごとの集約が進む |
7 | 茨城県 | 約200,000 | 関東圏の生産拠点 |
8 | 兵庫県 | 約150,000 | 畜産と連携した加工が活発 |
9 | 宮崎県 | 約150,000 | 九州での主要産地 |
10 | 岐阜県 | 約100,000 | 中部の小規模多拠点型 |
※上記はおおよその概数です。都道府県間の順位は年による変動があります。
生乳生産量の歴史的推移(ポイント)
グラフ:1993年のピーク(約8,625,700トン)から減少し、2020年代に入って一時低下。2024年は生産抑制見直し等で回復基調。
なぜ1990年代から減ったのか(簡単まとめ)
- 飼養戸数の減少(高齢化・後継者難)
- 消費構造の変化(代替飲料・外食減など)
- 経営コスト(飼料・エネルギー)上昇
用途別の変化(飲用向け vs 加工向け)
近年は飲用向けが全体を占める一方で、2024年は加工向け(チーズ・バター等)へのシフトが進む傾向が見られます。加工向けは乳価が低く、生産・流通の調整が起きています。

また、北海道は流通の観点から乳製品向けに回される生乳が多く乳価が低くなりやすく、乳価の高いアウトサイダーに回すこともある。
地域別の注目ポイント(現場目線)
北海道
広大な牧草地と大規模経営が主流。生産集約化と効率化でシェアが高く、気候変動や冬季管理が経営課題。

東北・関東(栃木・岩手など)
比較的小規模~中規模の牧場が点在。地域ごとの連携と加工施設の有無が生産の強みを左右します。
九州(熊本・宮崎)
温暖な気候を利用した安定生産。地域ブランド化や観光連携で付加価値化が進む事例あり。

今後の見通しと酪農現場でできること
短期的には費用高騰や消費減の影響が続く可能性がありますが、以下の取り組みで安定化・収益改善が期待できます。
- 製品の付加価値化(加工品の開発、直売・観光と連携)
- 飼養管理の効率化(飼料の多様化、ICTの活用)
- 地域での需給調整(生産抑制や共同加工)
よくある質問(FAQ)
Q. 日本の牛乳生産は回復しているの?
A. 2024年は生産抑制見直し等で前年比微増の回復傾向が見られます。ただし年ごとに差があるため月次データで確認が必要です。
Q. なぜ北海道が圧倒的なの?
A. 広い牧草地、大規模化、流通面での優位性が背景です。気候や土地利用も適しています。
Q. 地元の酪農を応援する方法は?
A. 地域の直売所や加工品を購入する、直売イベントに参加する、学校給食での地元牛乳採用を推進するなどが有効です。
まとめ
- 2024年は生産抑制見直し等で生乳生産が回復基調にあり、総量は前年をやや上回る見込み。
- 北海道が圧倒的なシェア(全国の半分以上)を占める集中型の構造は依然として大きな特徴。
- 都道府県別では栃木、熊本、岩手などが上位を占め、地域ごとに気候・土地利用・流通の強みが異なる。
- 飲用向けは依然大きな比率だが、2024年は加工向け(チーズ・バター等)へのシフトが進んでいる傾向。
- 今後の安定化には「付加価値化(加工・ブランド)」「飼養管理の効率化」「地域での需給調整」が重要。短期の数値は月次更新で追うことを推奨。
日本の生乳生産量は1990年代のピークから減少した期間を経て、2024年には回復基調が見られました。北海道が全国の大半を占める集中型の構造は変わらず、今後は加工向けのシフトや地域ブランド化、現場での効率化が鍵になります。
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