2025年8月に実施された一連の乳製品価格改定(牛乳を含む値上げ)の影響で、消費者の選択が変化しています。特に「低脂肪乳(成分調整牛乳を含む)」の販売が大きく伸び、スーパーの棚でも低脂肪タイプが目立つようになりました。背景には原料(生乳)や飼料コストの上昇、猛暑による飲料選好の変化など複数の要因が絡んでいます。

1. なぜ今、低脂肪乳が選ばれているのか?(3つの理由)
(1)価格差による「節約志向」
低脂肪乳は、製造過程で乳脂肪を一部除去するため、その脂肪分を生クリームやバターとして別製品に回すことができ、結果的に同ブランドの全脂乳より価格が抑えられることが多いです。2025年の値上げを受け、店舗調査では低脂肪乳が牛乳より1割〜2割安く並ぶ例が報告されています。価格差を重視する家庭では、低脂肪乳がコスト抑制の選択肢になっています。
(2)味わいの「さっぱり感」—猛暑期に受けやすい
乳脂肪分が少ないため低脂肪牛乳は口当たりが軽く、夏場の猛暑期間は特に飲みやすさが評価されます。暑さで重たい飲み物を避けたい消費者にとって“さっぱり”した飲料として支持されやすく、実際に2025年夏はSNS上でもその傾向が強まりました。
(3)栄養効率は維持しつつカロリーダウン
低脂肪乳は脂肪・カロリーを抑えながらも、タンパク質やカルシウムなど主要な栄養素はほぼ維持されます。日常的な水分補給と同時にカルシウムや良質なたんぱく質を取りたい層にとって、低脂肪乳は合理的な選択です。農林水産省も牛乳・乳製品をカルシウム供給源として推奨しています。
現場メモ(現役酪農の視点)
乳価や飼料コストの変動は現場経営に直結します。低脂肪乳の需要増は消費サイドの合理的反応ですが、加工業者・農家の収益構造を注視する必要があります。
2. データで見る消費トレンド(要点まとめ)
長期的には日本の牛乳消費は減少傾向にあり、1990年代後半のピーク(1996年頃)から徐々に下がっています。こうした構造の中で、価格ショックや季節的要因があると消費形態のシフト(例:全脂→低脂肪)が見られやすくなります。
ポイント
1996年ピークから減少傾向
2025年夏
低脂肪乳の販売が急伸(報道ベース)
価格差
同一メーカーで1割〜2割安い例あり(現場調査/報道)
3. 栄養面で知っておきたいこと(消費者向けQ&A)
Q1:低脂肪乳は栄養が少ない?
A:低脂肪乳は脂肪を減らす代わりに、カルシウムやたんぱく質はほぼ同等です。骨や歯の健康のためにカルシウムを効率よく取りたい人に適しています。農林水産省の栄養情報でも乳製品はカルシウムの良好な供給源とされています。
Q2:夏は低脂肪乳、冬は全脂がいい?
A:季節や好み、目的によります。夏はさっぱりと飲みやすい低脂肪乳が好まれる一方、料理(クリーム系など)や高カロリーを補いたい場合は全脂が向くケースもあります。バランス良く使い分けるのが現実的です。
Q3:子どもや高齢者はどちらがいい?
A:成長期の子どもや高齢者の骨を守るにはカルシウムやタンパク質の確保が重要です。エネルギー不足が懸念される場合は全脂を選ぶことも検討してください。医師や栄養士と相談するのが安全です。
4. 牧場・流通・消費者それぞれの視点でできること
牧場(生産者)向けの要点
- 生産効率とコスト管理(飼料調達の見直し・ICTの活用)
- 成分調整・付加価値商品の検討(加工品への展開)
- 消費者に対する情報発信(安全性・生産過程の透明化)
小売・流通向けの要点
- 価格帯の見直しとプロモーション(低脂肪乳の利点を訴求)
- 季節ごとの品揃え最適化(夏場のスムーズな供給体制)
消費者向けの要点
- 用途に応じて低脂肪と全脂を使い分ける
- 表示(栄養成分)をチェックして必要な栄養を補う
- セールや容量・コスパを比較検討する
5. よくある誤解と安全な情報取得のコツ
「低脂肪=栄養がない」は誤解です。脂溶性ビタミン(A、Dなど)は脂肪で吸収が助けられる部分があるため、食事全体のバランスで考えましょう。また、製品ごとに加工法や殺菌法(低温殺菌/高温殺菌)が異なり、風味や保存性に差があります。栄養や安全性については公的機関やメーカーの表示を優先して確認してください。
6. まとめ
- 2025年8月の乳製品価格改定を受け、消費者は価格と飲みやすさを優先して低脂肪乳にシフトしています。
- 低脂肪乳はカロリーを抑えつつ、カルシウム・たんぱく質は維持されるため、日常的な栄養補給に向いています。
- 長期的には日本の牛乳消費は減少傾向ですが、価格変動や季節要因で商品シェアは変化します。生産・流通側の対応も重要です。
参考・出典(主要ソース)
- 2025年8月値上げ一覧(商品・乳製品を含む) – Edenred記事.
- テレビ朝日:牛乳も値上がりで低脂肪乳が人気(ニュース記事).
- 農林水産省:2025年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通し(PDF).
- 農林水産省:大切な栄養素カルシウム(解説ページ).
- Jミルク:牛乳の歴史・統計資料(参考PDF).
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