森永乳業のFTP製法とは?おいしさの秘密をわかりやすく解説

森永乳業のFTP製法とは インフュージョン式殺菌で牛乳本来の風味を守る仕組み 乳製品
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牛乳の「おいしさ」は、生乳の質だけでなく、搾乳後の処理(殺菌方法)によって大きく変わります。森永乳業が展開するFTP製法(Fresh Taste Process)は、風味を最大限に守りつつ安全性を確保することを目的とした独自の殺菌アプローチです。本記事では、FTP製法の基本・科学的背景・他の殺菌法との違い・日常での活用方法まで、わかりやすく、かつ専門性の高い視点で解説します。

FTP製法とは? ― 仕組みを簡単に説明

FTP製法は英語で Fresh Taste Process(新鮮な味わいを残す工程)の略称で、森永乳業が独自に開発・導入した製造技術を指します。特徴的なのは「インフュージョン式殺菌(蒸気インフュージョン)」と呼ばれる手法を使い、生乳を飽和蒸気のなかで短時間処理することで、熱の総履歴(トータルで受ける熱量)を短く抑える点です。

インフュージョン式(蒸気インフュージョン)のポイント

  • 加圧された飽和蒸気を使って生乳を包み込み、短時間で加熱殺菌する。
  • 生乳と蒸気が直接的に接触するため、急速に均一な加熱が行える。
  • 総熱履歴が短く、たんぱく質・ビタミンの変性や風味の劣化を抑えられる。

従来の殺菌方法との違い(比較表)

方式特徴味・栄養への影響
低温長時間(LTLT)63℃で30分など、ゆっくり加熱温和だが処理時間が長く微細な変化あり
高温短時間(HTST/一般的な殺菌)72℃前後で15秒程度一般的にバランス良し。風味の損失は中程度
超高温(UHT)135℃前後で数秒(長期常温保存可能)加熱感が出やすく、風味変化が大きい
FTP(インフュージョン式)飽和蒸気で短時間一体加熱、総熱履歴が小さい生乳本来の甘み・風味を保ちやすい

FTP製法が「おいしく感じられる」科学的な理由

牛乳の風味は、糖(ラクトース)、脂肪、たんぱく質(カゼイン・ホエイ)、微量成分(ビタミン、乳脂肪由来の揮発性化合物)などのバランスによって決まります。加熱条件が厳しくなると、たんぱく質の変性や糖とアミノ酸の反応(メイラード反応)などが進み、”加熱臭”や”煮詰めたような風味”が出やすくなります。

FTP製法では総熱履歴を短くすることで、これらの変化が抑えられ、生乳本来のフレッシュな香りや甘みが残りやすくなります。また、蒸気と生乳の直接接触によって脂肪球の挙動が安定化し、口当たりの「コク」と「すっきりした後味」の両立が実現しやすくなります。

具体的なメリット(消費者目線と製造・流通目線)

消費者にとっての主なメリット

  • 味の良さ:フレッシュで甘みを感じやすい。クリーミーさとすっきり感が両立。
  • 栄養保持:過度の加熱によるビタミンやタンパク質の変性が少ない。
  • 飲みやすさ:後味がすっきりしており、牛乳が苦手な人でも受け入れやすい。

生産・流通側の利点

  • 品質安定化:一貫した加熱プロファイルで仕上がりにばらつきが出にくい。
  • 効率的な殺菌:短時間処理が可能なため生産ラインの回転が良い。
  • 差別化された商品価値:風味訴求でブランド競争力を高められる。

FTP製法が使われている製品例

FTP製法は、森永乳業の中でも特に味の良さをウリにしたラインナップで採用されています。代表的な製品は以下の通りです(製品名は一般的な呼称に基づく表現です)。

  • 森永のおいしい牛乳(生乳100%)
  • 森永のおいしい低脂肪牛乳(コクを残しつつ脂肪調整)
  • 森永のおいしい 高たんぱく・高カルシウム(脂肪0でコク感を維持)

追記:工場展開の一例として、2025年9月16日から熊本森永乳業工場で九州産生乳100%を使用した製品の製造が開始され、地域展開が強化されています。

使い方・レシピ提案 ― FTP牛乳を日常で活かす

FTP製法で処理された牛乳は風味が豊かなので、料理や飲料での仕上がりが良くなります。いくつか簡単な活用例を紹介します。

おすすめレシピ

  • フレンチトースト:牛乳のコクが卵液に溶け込み、表面は香ばしく中はふっくらに仕上がります。
  • カスタードクリーム:牛乳の風味が残るので、濃厚でミルキーなクリームが作れます。
  • ホットミルク/ミルクティー:シンプルな飲み方で差が出ます。ミルクの甘みや香りが引き立ちます。
Hot milk in a cup warmed to 50–60 degrees Celsius using 200ml of cow's milk in a microwave
電子レンジで簡単ホットミルク

保存と取り扱いのポイント

  • 未開封時:購入後は冷蔵庫(目安:4℃前後)で保管し、パッケージの消費期限を確認してください。
  • 開封後:できるだけ早めに(目安:3〜5日以内)使い切るのが安心です。風味の劣化は時間経過とともに進みます。
  • 冷凍保存:緊急時の延命策としては可能ですが、解凍後は風味や食感が変化しやすいので飲用よりは調理用に使うことを推奨します。

よくある疑問(FAQ)

FTP製法の牛乳は他社の牛乳より安全ですか?

安全性は各社とも基準に基づいて確保されています。FTP製法は主に「風味と栄養の保持」を目的とした加熱プロファイルの最適化であり、必要な殺菌条件(微生物の除去)を満たした上で味を残す工夫です。

味の違いがわかりにくい人でもFTP牛乳を選ぶ価値はありますか?

風味の差は飲み比べると明確になることが多いですが、普段から牛乳をあまり飲まない人でも、料理やコーヒー・紅茶に使うと違いを感じやすく、結果的に満足度が上がるケースがあります。

家庭でできる「風味を活かす飲み方」はありますか?

冷やしすぎず、飲む直前に軽く振って(パッケージの蓋を閉めたまま)、自然な香りを立たせると良いです。ホットミルクやミルクティーにするときは高温にしすぎない(沸騰直前で止める)ことをおすすめします。

まとめ(結論)

森永乳業のFTP製法は、飽和蒸気を用いたインフュージョン式殺菌により、加熱の総履歴を短く抑えることで「生乳本来の風味・栄養」をできるだけ残すことを目指した技術です。飲みやすさとコクの両立、料理での使いやすさ、製造側の品質安定性など、複数の恩恵があります。牛乳の”風味”にこだわりたい方は、一度FTP製法採用と明記された製品を試してみてください。


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(当記事は製造工程や味の特徴を分かりやすく解説することを目的として作成しています。製品仕様や発売エリア、製造工場の稼働状況などはメーカーの発表に基づくため、最新情報は各メーカーの公式発表をご確認ください。)

この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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