酪農現場では、牛のふん尿処理が労働負担や環境負荷の大きな課題となっています。そこで注目されているのが、森永乳業が開発・導入した「MO-ラグーンfor Dairy」です。本記事では、その仕組みから現場での効果、将来の展望までを分かりやすく解説します。

ふん尿処理の省力化・環境改善に“MO-ラグーン”が革命を起こす!
酪農家が抱えるふん尿処理の課題
- 高コスト・労力の増加
大規模農場ほど、ふん尿の貯留・処理設備維持にコストがかかり、人手不足が深刻化。 - 環境負荷の増大
未処理のふん尿から放出されるメタンは、温室効果ガスとして地球温暖化を加速させます。 - 堆肥の過剰施用
DIY的な堆肥管理では、過剰に散布して作物に悪影響を及ぼすケースも。

ふん尿処理の維持コストが農家の大きな負担に!
「MO-ラグーンfor Dairy」とは?
システムの概要
「MO-ラグーンfor Dairy」は、森永乳業のバイオガスプラント技術と、独自の微生物処理技術「MO-ラグーン®」を組み合わせたふん尿処理システムです。
- 廃水処理×メタン回収
微生物がふん尿中の有機物を分解し、発生したメタンガスを回収。 - エネルギー利用
回収したメタンは発電や熱源として再利用可能。 - 堆肥生産
微生物処理後の残渣(スラッジ)を熟成させることで、高品質な堆肥に。

ふん尿からメタンを回収し、再生可能エネルギーとして活用!
導入事例:那須岳根農場
- 導入時期:2023年春
- 設置者:森永乳業販売(那須岳根農場運営)
- 効果試算:
- メタン排出量を最大30%削減(※那須岳根農場での予測値)
- 堆肥の施用量を約75%削減
実際の運用では、従来のふん尿貯槽や堆肥舎の管理工数が大幅に軽減され、現場スタッフからも「扱いやすくなった」という声が上がっています。

メタン排出量を最大30%削減!酪農の脱炭素化に貢献
システム導入による主なメリット
- 温室効果ガス削減
メタン回収により、畜産由来の温室効果ガス排出を大幅に抑制。 - エネルギー自給率の向上
発電した電力や熱を施設内で活用し、光熱費を削減可能。 - 労働負担軽減
自動化された処理プロセスにより、日々の清掃・運搬作業が減少。 - 高品質堆肥の供給
粒度や養分バランスに優れた堆肥を安定的に生産できる。

メタンガスを回収して温室効果ガス排出を大幅カット!

共同研究:茶葉飼料を活用したメタン削減
森永乳業は、信州大学・ノーサンファーム・森永乳業酪農振興会と共同で「茶葉混合飼料」の研究を実施。
- 実験概要:茶葉を一定割合で配合した飼料を子牛に給与
- 期待される効果:ゲップ(反芻ガス)からのメタン排出削減
- 現状:初期データで削減傾向を確認中。今後は飼料コストや風味への影響評価を進める予定。

茶葉混合飼料で牛のメタン排出を減らす新技術に期待!
将来展望と普及への課題
- 全国展開のスケールアップ
那須岳根農場での検証結果をもとに、他地域・他規模農場への導入プランを設計中。 - コスト低減
設備導入費用やメンテナンスコストをさらに抑え、導入ハードルを引き下げる。 - 情報共有ネットワーク構築
導入農場同士でノウハウを共有し、トラブル対応や運用最適化を図る。 - 政策連携
地方自治体やJA、農林水産省など公的機関と連携し、補助金や制度支援を拡充することが期待される。

持続可能な酪農を実現するための普及と課題解決に全力投球!
まとめ
森永乳業の「MO-ラグーンfor Dairy」は、酪農現場のふん尿処理をアップデートし、環境負荷の軽減と高品質堆肥生産を両立する革新的システムです。現在は那須岳根農場での導入効果を検証中ですが、今後の普及により日本の酪農業全体の持続可能性向上に大きく貢献すると期待されます。
持続可能な酪農経営を目指す皆さまにとって、有力なソリューションとなるでしょう。今後も最新情報が入り次第、当ブログで随時お届けします。

MO-ラグーンfor Dairyで酪農のふん尿処理が進化!環境負荷を大幅削減
参考リンク
- 森永乳業「MO-ラグーン®」技術紹介
https://www.morinagamilk.co.jp/english/sustainability/resources_and_the_environment/ - 森永乳業 グリーンボンドフレームワーク(2022年)
https://www.r-i.co.jp/en/news_release_gf/2022/09/news_release_gf_20220930_eng.pdf
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