サント・モール・ド・トゥレーヌとは?歴史・製法・味わいを徹底解説

サント・モール・ド・トゥレーヌ AOPヤギ乳チーズ|特徴・味わい・食べ方とワインペアリング 乳製品
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サント・モール・ド・トゥレーヌは、ロワール渓谷を代表するAOP認定のシェーブル(ヤギ乳)チーズです。細長い“ログ”型と中心の藁、灰色がかった外皮が目を引き、若いものはフレッシュな酸味、熟成が進むとナッツのようなコクへと変化します。本記事では歴史や製法の基礎から、熟成別の味わい、家庭での楽しみ方、ワインとの相性、購入時のチェックポイントまで写真や簡単レシピを交えて丁寧に解説します。

サント・モール・ド・トゥレーヌとは

サント・モール・ド・トゥレーヌ(Sainte-Maure-de-Touraine)は、フランス中西部ロワール渓谷のトゥーレーヌ地方で作られるAOP(原産地呼称保護)認定のヤギ乳チーズ(シェーブルチーズ)です。細長いバトン(ログ)状の形と中央に通されたライ麦の藁(Rye straw)が外観の大きな特徴です。

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歴史の概要 — ルーツとAOC/AOP指定

この地方のヤギ乳チーズの歴史は古く、伝説では8世紀のムーア(サラセン)侵入の影響に由来するとされます。近代的な法的保護としては、AOC(現AOP)認定が1990年に行われ、その後EUの原産地保護制度でも保護されています。AOC/AOPによって「サント・モール・ド・トゥレーヌ」と名乗るための生産基準が定められています。

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製法と外観の特徴

形状・藁・外皮

典型的なサイズは長さ約16〜17cm、重さ約200〜300g程度の細長いログ形。チーズの中央にはライ麦の藁が通され(現在は生産者番号が刻印されることが多い)、これが輸送時の割れ防止とトレーサビリティを兼ねます。表面は植物由来の木炭粉(植物炭末)であしらわれ、熟成で灰色~黒っぽい風合いになります。

製造プロセス(要点)

  1. 生ヤギ乳(非殺菌)を使用。乳酸発酵主体で凝固させる(レンネットは最小限または用いないスタイル)。
  2. 凝固したカード(凝乳)をカットせずに柄杓で型に流し込む(プリ・ドレインしないのが特徴)。
  3. 自然に排水させた後、藁を通し、表面を灰であしらってから熟成。最低でも数日〜数週間で出荷されるが、熟成期間により食感・風味が変化する。

味の特徴と熟成の違い

若い(フレッシュ)段階では白くクリーミーで、ヨーグルトやレモンのような爽やかな酸味が際立ちます。熟成が進むと水分が抜け、テクスチャは引き締まり、ヘーゼルナッツやドライフルーツのようなコクが増します。一般的にヤギ乳特有の「爽やかな酸味」は残しつつクセは強くないため、初心者から上級者まで楽しめます。

熟成段階特徴おすすめの食べ方
若い(フレッシュ)柔らかく酸味が強めサラダ、はちみつをかけて
中間(半熟)クリーミーでナッティさが出るそのまま、白ワインと
熟成(セック)硬めでコク深いトーストや加熱料理に

おすすめの食べ方・簡単レシピ

そのまま・クラッカーで

藁を抜いて輪切りにし、クラッカーやバゲットにのせるだけで十分美味。若いものはとくにミルクのフレッシュさが引き立ちます。

サラダトッピング

アンディーブやルッコラ、くるみ、ドライイチジクと合わせ、オリーブオイルと蜂蜜少々をかけると相性抜群です。

加熱アレンジ(おすすめ)

薄切りにしてトーストやキッシュ、パイに加えるとヤギのクセがやわらぎ、香ばしさが増します。

ワインや食材とのペアリング

ロワール地方のソーヴィニヨン・ブラン(例:サンセール、プイィ・フュメなど)の酸とハーブ香はこのチーズの酸味を引き立てます。また、シャンパーニュや軽めの白ワインとも好相性。食材ではナッツ類やドライフルーツ、はちみつ、軽いジャム類が合います。

購入方法と価格の目安

日本では輸入食品店やチーズ専門店、オンライン(Amazon・楽天等)で入手可能です。価格は250g前後で概ね3,000〜3,500円が目安(輸入状況や店舗により変動)。AOP表記があるものはトゥーレーヌ産の本物です。

購入時のチェックポイント:

  • ラベルに「Sainte-Maure-de-Touraine」またはAOP/AOC表記があるか
  • 輸入日や冷蔵の管理状態(輸送で乾燥しやすいので確認)
  • 製造者番号が藁に刻印されているか(トレーサビリティ)

まとめ:サント・モール・ド・トゥレーヌの魅力

  • サント・モール・ド・トゥレーヌはロワールの伝統的なシェーブルチーズで、藁と灰の外観が特徴。
  • AOP規格により産地・製法が保護されており、トレーサビリティ(藁の刻印)で本物を確認できる。
  • 若い段階は爽やかでクリーミー、熟成すると水分が抜けナッツ系の深い風味になる。
  • 食べ方はそのまま、サラダ、蜂蜜やジャムとの組合せ、加熱(トーストやキッシュ)など多用途。
  • ペアリングはロワール系ソーヴィニヨン・ブランや軽めの白、シャンパーニュが好相性。
  • 購入時はAOP表記や輸入日、保存状態を確認。通販ではレビューと配送温度管理の情報をチェックする。

サント・モール・ド・トゥレーヌは、見た目のインパクト(藁・灰の外皮)だけでなく、若さと熟成で変わる味わいの幅が魅力のヤギチーズです。軽やかな酸味がありつつ、熟成で深いナッツ系の風味に変化するため、用途・ペアリングの幅が広いのも特徴。初めてのヤギチーズとしても取り入れやすく、ホームパーティーやワイン会でも話題になります。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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