乳牛の健康と生産性を高めるために、どんな飼料を与えるかが非常に大切です。その中でもTMR(Total Mixed Ration)という方法は、牛に必要な栄養素をバランスよく摂取させるために広く利用されています。TMRの基本的な概念とその利点、導入方法について、わかりやすく解説します。
1. TMR(Total Mixed Ration)とは?
TMRとは
TMR(Total Mixed Ration)は、牛に与える飼料を一度に混ぜて与える方法です。粗飼料である草やサイレージ、濃厚飼料である穀物、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな飼料成分を混ぜることにより、牛が必要な栄養を効率よく摂取できるようになります。
TMRの主な利点
TMRを使う最大のメリットは、牛が栄養のバランスをうまく摂取できることです。単独で与える(分離給与)方法では、栄養素が偏る可能性がありますが、TMRを使うとすべての成分が均等に摂取できます(選び食いもしにくいです)。
具体例
例えば、分離給与でトウモロコシだけを与えている場合、エネルギーは補えますが、タンパク質やビタミンが不足することがあります。しかし、TMRではトウモロコシに加え、草や大豆かすを混ぜて与えることで、乾物摂取量やエネルギー・タンパク質等を補うことができます。
別の給与方法である分離給与についての詳しい記事はこちら↓
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2. TMRのメリット
牛の健康と生産性向上
TMRを導入することで、牛の健康が保たれ、乳量や乳質が安定します。混ぜた飼料が均等に摂取できるため、牛は必要な栄養をきちんと摂取し、健康的に育ちます。
経営の効率化
TMRでは、飼料の給与を一度に行うことができるため、時間や労力を節約できます。
3. TMRの導入方針
TMRの基本的な配合
TMRに使用される主な飼料成分は、草、サイレージ、トウモロコシ、ビタミン、ミネラル、大豆かすなどの食品副産物です。これらをバランスよく混ぜることで、牛が必要とするエネルギー、タンパク質、ビタミン、ミネラルを摂取できるようになります。
配合比率の設定
配合比率は目的に応じて調整が必要です。例えば、乳量を増やしたい場合、エネルギー源としてトウモロコシの割合を増やすことが考えられます。しかし、ルーメンアシドーシスなどの疾病リスクが高くなるので注意が必要です。
ロボット牛舎での注意点
搾乳ロボットが設置されている場合、ロボット内に入った時に配合飼料が自動給与されることが多いので配合比率を考えなければなりません。
まとめ
TMR(Total Mixed Ration)は、放し飼い牛舎にとって非常に効果的な飼料管理方法であり、牛に必要な栄養素を均等に摂取できるように混ぜ合わせて与える方法です。TMRを使うことで、牛の健康を保ち、乳量や乳質の向上に繋がります。また、飼料管理の効率化により、時間とコストの節約にも繋がります。TMRを導入することで、より良い乳牛の飼育が可能になります。

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