全農 10〜12月期 配合飼料値下げ1トンあたり約550円|規模別の影響と対策ガイド

全農 10〜12月期 配合飼料値下げ 1トンあたり550円 規模別影響と対策ガイド 酪農
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全国平均で1トン当たり約550円の配合飼料値下げが決まり、酪農経営にとって短期的な追い風が期待されます。しかし「平均」の数字だけで安心するのは禁物です。本記事では牧場規模別の簡易試算、銘柄・地域差の読み方、今すぐ実行できる短期対応と中長期の備えまで、現場で使える実務的な手順をわかりやすくまとめます。

今回の発表の要点(概要)

配合飼料の供給価格が、前期(7〜9月期)と比べて全国全畜種の総平均で1トン当たり約550円の値下げとなりました。これは数期にわたる飼料価格下落の流れを受けたものです。銘柄や地域によって下げ幅は異なりますが、概ね畜産経営のコスト圧縮に繋がる「追い風」と言えます。

値下げの主な理由

要因を短く整理すると:

  • 主要原料(トウモロコシ・大豆加工品)の国際相場が下落した
  • 海外生産地の作柄が良好で供給が潤沢になっている
  • 海上運賃やその他コストの変動を勘案した調整
収穫前のデントコーン畑と乳牛用飼料としての利用風景
乳牛飼料に最適なデントコーン畑

ポイント:平均値だけで安心せず、銘柄別・地域別の改定額を必ず確認してください。

地域・畜種による違いの読み方

「全国平均550円」は分かりやすい指標ですが、あなたの牧場で使っている銘柄・納入条件での改定額を確認することが重要です。特に離島や北海道の一部地域では輸送コストが高く、実効的な下げ幅が小さくなる可能性があります。また、牛・豚・鶏で使う配合の組成が違うため、畜種ごとに影響は異なります。

酪農経営への影響(簡易試算)

以下は試算の例です。あなたの牧場の数字に置き換えてみてください。

牧場規模(乳牛頭数)年間飼料消費量(トン)※目安1トン当たり削減額(円)年間削減見込み(円)
20頭240550132,000
50頭600550330,000
100頭1,200550660,000
200頭2,4005501,320,000

解説:上の表は単純計算です。実際は銘柄別の下げ幅、配合比、乳量や乳成分の変化、その他コスト(燃料・電気・人件費)も合算して経営を検討してください。

今すぐできる短期対応(即効性あり)

値下げの恩恵を最大化するために、まずは以下の短期対応を実行しましょう。

  • 納入業者に改定額の詳細を確認 — 銘柄・ロット・納入条件での実際の改定額を確認。
  • 在庫を見直す — 値下げが確実に反映される銘柄への発注タイミングを調整。
  • 配合比の簡易チェック — 同等の栄養価でコストが安い配合が可能かメーカーと相談。
  • 支払条件を見直す — まとめ買い割引や支払いサイトの改善でキャッシュフローを楽に。

中期(3〜12か月)でやるべきこと

短期での効果を持続化・拡大するために中期対応を進めます。

  • 栄養コンサルを受ける:乳量・乳成分の推移を見ながら最適給餌計画を作成。
  • 設備投資の優先順位見直し:人件費軽減や作業効率向上に資する設備(自動給餌等)を検討。
  • 地産飼料や副産物の活用検討:輸入原料依存度を下げ、リスク分散を図る。
  • リスクヘッジの検討:為替変動に備えるための調達戦略・長期契約の検討。

残るリスクと備え

値下げはポジティブなニュースですが、以下のリスクは引き続き意識してください。

  • 為替変動:円安が進めば輸入コストが再上昇する可能性。
  • 天候不順:主要産地の天候次第では相場が反転する恐れ。
  • 短期的な変動:一過性の下落で終わる可能性もあるため、慎重な投資判断が必要。

まとめ:今日からのアクションプラン

  • 全農の改定で全国平均は1トン約550円の値下げ。銘柄・地域差があるため自牧場の改定額を確認することが最優先。
  • 牧場規模別の簡易試算で年単位の削減効果を把握し、得られた余裕は運転資金や生産性向上に回すのが賢明。
  • 今すぐできる短期対応:納入業者への改定額確認、在庫・発注タイミングの見直し、配合比の相談、支払条件の改善。
  • 中期対応(3〜12か月):栄養コンサルによる最適給餌、設備投資の優先順位化、地産飼料活用とリスク分散戦略。
  • リスク要因(為替・天候・一過性の相場変動)を常に監視し、保守的な投資判断を行うことが重要。

優先度順に今日からやること:

  1. 納入業者に銘柄別・地域別の改定額を電話/メールで確認する。
  2. 在庫と次回発注のタイミングを見直す(値下げが確実な銘柄を優先)。
  3. 配合の見直し相談を飼料メーカーに依頼する。
  4. 短期で得られたコスト改善分を、まずは運転資金や低リスクの設備改善へ回す。
  5. 3か月ごとに飼料相場と為替の確認をルーチン化する。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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