牛乳は、カルシウムやたんぱく質、ビタミン類を豊富に含む栄養価の高い飲み物です。しかし、その中に含まれる「乳糖(ラクトース)」が原因で、牛乳を飲むとお腹の不調を感じる人が多く存在します。この現象は「乳糖不耐症」と呼ばれ、日本人の約70〜90%が該当するといわれています。
本記事では、乳糖の性質や牛乳との関係、乳糖不耐症の原因・症状、そして日常で実践できる対策方法をわかりやすく解説します。

お腹がゴロゴロ…それ、乳糖が原因かも?
1. 乳糖とは?牛乳との関係と性質
乳糖は、ブドウ糖(グルコース)とガラクトースが結合した二糖類で、哺乳類の乳に特有の糖質です。英語では「lactose」と呼ばれ、牛乳や母乳の甘味の源となります。甘味度は砂糖(ショ糖)の約0.1〜0.4倍と控えめです。
化学式は C₁₂H₂₂O₁₁ で、水に溶けやすく、体内では小腸で分泌される「乳糖分解酵素(ラクターゼ)」によってブドウ糖とガラクトースに分解され、エネルギー源として利用されます。
牛乳では、乳糖が炭水化物の約99.8%を占め、特に成長期の子どもにとって重要な栄養源です。また、乳糖は腸内のビフィズス菌を増やし、整腸作用にも関与します。

乳糖は牛乳の甘さの秘密!
2. 牛乳中の乳糖含有量と種類別の違い
牛乳100mlあたりの乳糖含有量は約4.8gです。種類によって微妙な違いがあります。
種類 | 乳糖含有量(g/100ml) | 特徴 |
---|---|---|
普通牛乳 | 約4.5〜5.0 | 最も一般的。脂肪分が多いと相対的に乳糖の割合は低くなる。 |
低脂肪牛乳 | 約4.8 | 脂肪が少なく、甘味をやや強く感じる場合がある。 |
無脂肪牛乳 | 約4.8 | 主な炭水化物源が乳糖。 |
A2ミルク | 0〜0.1 | 乳糖の種類が違う。乳糖不耐症の人向け。 |
ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品は、発酵過程で乳糖が分解されるため含有量が低く、乳糖不耐症の人でも比較的安心して摂取できます。
母乳は牛乳よりも乳糖が多く、約7g/100ml含まれており、赤ちゃんの脳の発達に寄与します。

牛乳100mlには約4.8gの乳糖が含まれる!
3. 乳糖不耐症の原因と症状
乳糖不耐症は、小腸で分泌されるラクターゼの量が不足することによって発生します。乳糖が分解されないまま大腸に届くと、腸内細菌によって発酵され、ガスや酸が発生して症状を引き起こします。
これは「牛乳アレルギー」とは異なり、免疫反応ではなく消化不良によるものです。
主な症状
- 下痢
- 腹痛、腹部膨満感
- ガスの増加
- 吐き気、頭痛(慢性的な場合も)
- 牛乳摂取後30分〜2時間以内に発症しやすい

乳糖が分解されず大腸で発酵…これが不調の原因!
4. 乳糖不耐症の対策と改善方法
乳糖不耐症だからといって、必ずしも牛乳を完全に避ける必要はありません。以下の工夫で症状を抑えられることがあります。
- 少量から試す
一度に飲む量を減らし、数回に分けて摂取する。 - 牛乳を温める
温めることで消化が促され、症状が軽減することがあります。 - A2ミルクを利用
乳糖不耐症の人でも飲める牛乳を選ぶ。 - 代替ミルクを試す
豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクなど植物性ミルクを利用。 - 発酵乳製品を選ぶ
ヨーグルトや熟成チーズは乳糖が少なく、摂取しやすい。 - 乳糖分解酵素サプリを活用
海外では一般的で、日本でもドラッグストアや通販で入手可能。

牛乳は温めると消化がスムーズに
5. 世界と日本における乳糖不耐症の現状
日本では約70〜90%が乳糖不耐症といわれますが、欧米では40%前後、中国や東南アジアでは90%以上と高い傾向があります。
世界的には、乳糖不耐症の人々が増える中、オーツミルクやアーモンドミルクなどの代替ミルク市場が急成長しています。特に都市部ではカフェメニューにも浸透し、牛乳以外の選択肢が広がっています。

日本では約70〜90%が乳糖不耐症!
まとめ
- 乳糖は牛乳に含まれる重要な糖質で、エネルギー源や整腸作用を持つ。
- 日本人の多くは乳糖不耐症で、消化酵素不足が原因。
- 症状がある場合でも、摂取量の調整や乳糖フリー製品の利用で対応可能。
- 自分の体質に合った牛乳の楽しみ方を見つけることが大切。

乳糖は牛乳の大切な糖質!エネルギーと腸内環境に◎
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