三重県 2025年7月 倒産24件 過去10年最多— あのつ牧場・四日市酪農の民事再生と影響を解説

三重県2025年7月倒産24件 過去10年最多 あのつ牧場・四日市酪農の民事再生と影響 酪農
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2025年7月、三重県内で報告された企業倒産は24件に達し、過去10年で最多を記録しました。特に酪農・乳製品製造の分野では、取引先やグループ会社の破綻が連鎖的に影響を及ぼし、地域の供給網や雇用にも波及しています。本記事では件数・負債額・業種別の内訳を示し、飼料高騰や販売不振といった倒産の背景を分かりやすく解説します。

統計サマリー(2025年7月)

三重県の2025年7月に報告された倒産の主なポイントは以下です。

  • 倒産件数:24件(過去10年で最多)
  • 県内負債総額:26億7,300万円(2,673,000,000円)
  • 全国の状況:2025年7月の全国倒産は961件(今年最多の月)。

注:件数・負債額は地域の倒産月報・主要調査機関の公表データを基に集計しています。

業種・原因の内訳

24件の倒産の業種・原因は次のように分類されます(要旨)。

区分内訳件数
業種別サービス業他(飲食・美容・介護等)10
建設業(電気工事・屋根板金・塗装等)8
運輸業(一般貨物)2
農・林・漁・鉱業(酪農)1
製造業(乳製品製造)1
小売(雑貨・家具)1
情報通信業1
原因別販売不振(物価高・消費低迷)18
既往のしわ寄せ(過去赤字・借入負担)3
他社倒産の余波(連鎖)2
その他(偶発的)1
合計24

出典は各月報・倒産速報の要旨を整理したものです(詳細は記事末の「出典」参照)。

酪農・乳製品の具体事例 — 連鎖倒産の波

注目される事例として、グループ連鎖で民事再生を申請したケースがあります。概要は次の通りです。

ファーマーズホールディングス(グループ)と県内関連会社

  • 2025年7月24日:ファーマーズホールディングス(岡山県本社)と関係会社が民事再生を申請。グループ合計約12社、総負債は約9,084,700,000円(約90億8,470万円)
  • 三重県内の関連:津市の「あのつ牧場株式会社」(負債 約 1,550,000,000円(約15億5,000万円))、四日市市の「有限会社四日市酪農」(負債 約 484,000,000円(約4億8,400万円))などが含まれ、影響が県内酪農に波及しました。

これらは民事再生による再建手続きを選択しており、今後のスポンサーや再建計画の成否が地域供給や雇用に影響します。

なぜ酪農・乳製品業で連鎖が起きたのか?(原因分析)

1. 飼料価格の高騰とコスト増

ウクライナ情勢や為替変動の影響で飼料価格が急騰し、農家のコストが大幅に上昇しました。酪農はコストの大部分を飼料が占めるため、価格転嫁が難しい現状では収益が圧迫されます。

2. 販売不振(需要側の課題)

消費者の節約志向や外食需要の伸び悩み、乳製品の価格競争などにより販売が伸び悩み、在庫圧迫・回収遅延が資金繰り悪化につながります。

3. 取引網の連鎖(他社倒産の余波)

流通会社やグループ会社が資金繰りに詰まると、下請けや取引先への支払いが滞ります。酪農・加工業は季節性・流通依存度が高いため、1社の破綻が波及してしまう構造になりやすい点が問題です。

4. 人手不足と固定費の負担

人件費上昇や常時稼働が必要な労働負荷が固定費を押し上げ、需給の悪化と相まって倒産リスクを高めます。

今後の見通しと現場でできる対策

地域・業界レベルでの注目点と、酪農経営者が取れる現実的な対策を挙げます。

注目点

  • 民事再生の結果(スポンサーの有無・再建計画)→ 供給網の回復・雇用継続に直結。
  • 政府・自治体の支援策(飼料補助、資金繰り支援)の動き。
  • 需要側(消費喚起)の政策や流通改革の動向。

現場での実用的対策

  1. 飼料代の調達多様化とロス削減(ローカル飼料・発酵飼料の導入など)。
  2. 販路多角化(直販・加工品の付加価値化、定期便の導入)。
  3. コスト管理のデジタル化(会計・在庫管理の見える化)。
  4. 地域連携(共同出荷・共同購入などで交渉力を高める)。

現場レベルでできる小さな改善の積み重ねが、連鎖倒産の防止につながります。

まとめ

  • 事実:2025年7月の三重県倒産は24件で、過去10年(2015–2024)で最多を更新。負債総額は約26.73億円。
  • 内訳:サービス業・建設業が多く、酪農・乳製品関連では他社倒産の余波による連鎖が確認された。
  • 注目事例:ファーマーズホールディングス系のグループ連鎖(7/24民事再生)により、あのつ牧場・四日市酪農などが影響を受けた。
  • 主原因:飼料価格高騰、販売不振、価格転嫁の限界、人手不足、既往の借入負担。
  • 示唆・対策:再建動向とスポンサー選定が地域影響を左右。現場では飼料調達の多様化、販路拡大、コスト管理の見える化、地域連携が有効。

2025年7月の三重県倒産(24件)は、地域経済の脆弱な部分を露呈しました。特に酪農・乳製品分野は、飼料高騰や価格転嫁の困難さ、取引網の連鎖など複合的な要因でダメージを受けています。今後は、再建手続きの動向や政策支援、現場でのコスト管理と販路強化がカギになります。

出典・参考情報

  • 東京商工リサーチ(地方月報要旨・TSR Data Insight)
  • 帝国データバンク(倒産速報・企業情報)
  • 地域紙・経済紙(各社の倒産月報・関係会社の報道)

注:本記事は公開時点の公開情報をもとに作成しています。数値・事実は公表資料の更新により変更される場合があります。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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