カチョカヴァッロチーズとは?歴史・製法・種類・食べ方を徹底解説

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カチョカヴァッロ(Caciocavallo)は南イタリア生まれの伝統的パスタ・フィラータ(pasta filata)チーズ。ひょうたんのような独特の成形と、焼くととろけて旨味が増す点が魅力です。本記事では起源・製法の専門的な解説から、種類ごとの味の違い、家庭で再現できる調理法・レシピまで、酪農現場の視点を交えてわかりやすく解説します。

1. カチョカヴァッロの歴史と起源

カチョカヴァッロは南イタリア(ナポリ周辺、バジリカータ、カラブリア、シチリアなど)を中心に古くから作られてきたチーズです。名前はイタリア語の cacio(チーズ) と cavallo(馬) に由来し、伝統的に熟成時に2個のチーズを紐で結んで棒に掛け、「馬にまたがせる」ように吊るして乾燥させたことが語源です。

製法自体は(パスタ・フィラータ)系列に属し、その起源は古代地中海地域の乳製品文化にまで遡るとも言われます。長年の地域的な技術蓄積により、地域ごとに風味や形状にバリエーションが生まれ、現在では「カチョカヴァッロ・シラーノ(Caciocavallo Silano)」などPDOにより保護された名称も存在します。

カチョカヴァッロ チーズとフルーツ盛り合わせ
カチョカヴァッロと季節のフルーツ盛り合わせ

2. 製造方法 — パスタ・フィラータ工程の詳細(専門解説)

カチョカヴァッロは「ストレッチドカード(伸ばすカード)」方式、すなわちパスタ・フィラータ製法で作られます。主な工程は以下の通りです:

  1. 原乳の管理: 新鮮な牛乳(地域によっては羊乳や水牛乳を混ぜる場合もあります)を用意。乳温や微生物管理が品質を左右します。
  2. 凝固(カードの生成): レンネット(凝乳酵素)と発酵により乳が凝固。凝固時間と切断方法でカードの粒度を調整します。
  3. 加熱とホエー抜き: 切ったカードを加熱してホエー(乳清)を除き、適度な水分を保ちます。
  4. ストレッチ(練り伸ばし): 熱湯または高温の溶液中でカードを練り、繊維状になるまで伸ばします。これがパスタ・フィラータの核心工程で、チーズの弾性・溶解性に直結します。
  5. 成形: 伸ばした生地を成形し、伝統的にはひょうたん型(テアドロップ)にまとめ、2個を紐で結んで吊るします。
  6. 塩処理と熟成: 表面に塩水(ブライン)を行ったり、塩を擦り込んだりして風味付け。短期から数週間〜数ヶ月の熟成で味わいが深まります。

専門ポイント: ストレッチの温度・伸ばし回数・塩管理がチーズの「伸び」「とろけ方」「後味」を決定します。プロの現場では乳のpHを厳密にコントロールし、目標とする熟成プロファイルを再現します。

吊るして熟成中のカチョカヴァッロ チーズ
伝統的に吊るして熟成するカチョカヴァッロチーズ

3. 主な種類と味の特徴

カチョカヴァッロには製造地域や乳種、熟成度によりいくつかのタイプがあります。代表的なもの:

カチョカヴァッロ・シラーノ(Caciocavallo Silano)

PDOで保護される代表格。基本は牛乳主体で、フレッシュな段階ではミルクの甘み、熟成が進むとナッティでコクのある味になります。

ポドリコ(Podolica)由来のもの

ポドリカ牛(Podolica)の乳を使用するものは香りや風味が濃く、土地の牧草風味が反映されやすいです。

スモークタイプ(Affumicato)

軽くスモークした「アフミカータ」は香ばしさが加わり、ビールや濃口ワインと相性が良くなります。

熟成度の影響

  • 若い(数日〜数週間): 柔らかく弾力があり、焼くととろけやすい。マイルドでミルキー。
  • 中熟成: 塩味とコクが増し、加熱しても味が締まる。
  • 長期熟成: 固くなり、ナッツ様の香りと強めの旨味が出る。スライスして生でも楽しめる。

4. おすすめの食べ方・調理テクニック(現場のコツ)

そのまま(スライス)で

薄くスライスしてワインやクラッカーと。若いカチョカヴァッロはミルクの甘みが立ちます。

グリルまたはフライパンで焼く(焼きカチョカヴァッロ)

コツ: 1〜1.5cm程度にスライスし、中火で両面に軽く焼き色を付ける。油をほとんど使わずに焼けば、外は香ばしく中はとろける理想的な食感が得られます。焦げすぎないように火加減に注意。

「インピッチカート(impiccato)」の伝統的な楽しみ方

伝統的には紐で吊るして直接火に近づけて溶かし、溶けた部分をパンにのせて食べます。キャンプ料理やBBQで試すとインパクトがあります。

パスタやサラダへの応用

加熱で溶けやすいため、トマトソースのパスタに絡めればコクが増す。生のスライスをサラダに散らすだけで満足感が出ます。

ペアリングの提案

  • 白ワイン:若いタイプには軽めの白(ピノ・グリージョなど)
  • 赤ワイン:中熟成〜熟成タイプにはミディアム〜フルボディが合う
  • ビール:スモークタイプはエールやIPAと好相性

5. 簡単レシピ(焼きトースト/パスタ/サラダ)

A. 焼きカチョカヴァッロのトースト(所要時間:約10分)

材料(2人分)

  • カチョカヴァッロ 100g(スライス)
  • パン(厚切り)2枚
  • オリーブオイル 小さじ1
  • お好みで黒胡椒・ハチミツ少々

作り方

  1. パンにオリーブオイルを軽く塗る。
  2. スライスしたカチョカヴァッロをパンの上にのせ、トースターまたはオーブンで表面に焼き色がつくまで5〜7分焼く。
  3. 仕上げに黒胡椒を挽く。甘い味が好きならハチミツを少量垂らしても◎。

ポイント:パンは香ばしいクラストのものが相性良し。チーズが溶けすぎず形を保つ厚さ(約1~1.5cm)がベスト。

B. カチョカヴァッロのトマトパスタ(所要時間:約20分)

材料(2人分)

  • パスタ 180〜200g
  • トマトソース 200g
  • カチョカヴァッロ 50〜80g(小さく切る)
  • にんにく 1片、オリーブオイル 大さじ1、塩・胡椒 適量

作り方

  1. パスタを表示時間通り茹でる。
  2. フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて香りを出し、トマトソースを加えて軽く煮る。
  3. 茹で上がったパスタをソースに加え、火を止めてからカチョカヴァッロを加えて手早く混ぜる(余熱で溶ける程度)。

余熱でチーズを溶かすことで、ソースに滑らかなコクが加わります。

C. カチョカヴァッロのグリーンサラダ(所要時間:約10分)

材料(2人分)

  • ミックスリーフ 適量
  • カチョカヴァッロ スライス 40g
  • ミニトマト、ナッツ(好みで)
  • オリーブオイル、バルサミコ酢、塩少々

作り方

  1. 葉物を洗って水を切り、器に盛る。
  2. スライスしたカチョカヴァッロとトマト、ナッツをのせる。
  3. オリーブオイルとバルサミコ酢をかけ、塩で味を調える。

6. 保存・購入のポイントと栄養概略

購入時のチェックポイント

  • 表面に過剰な水分や不自然なカビがないか確認。
  • ラベルで乳種(牛乳・羊乳など)と産地、熟成日を確認すると購入後の扱いが分かりやすい。

家庭での保存方法

未開封なら冷蔵(約0〜4°C)で保存。開封後はラップで空気を遮断し、早め(数日〜1週間程度)に消費するのが安全です。長期保存したい場合は薄くスライスして冷凍も可能ですが、食感はやや変わります。

栄養のポイント(概算)

カチョカヴァッロは高タンパク・高脂質の乳製品です。100gあたりおおよそ300〜400kcal程度、良質なタンパク質とカルシウムを含みます。減塩制限のある方は塩分量に注意してください。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. カチョカヴァッロとプロヴォローネの違いは?

A1. どちらもパスタ・フィラータの系列ですが、成形や熟成法・風味に差があります。プロヴォローネは地域やサイズバリエーションが多く、カチョカヴァッロは特有のひょうたん形や吊るす熟成法が特徴です。

Q2. 焼いても溶けないものがあります。なぜ?

A2. 熟成が進んだ固めのものは溶けにくい傾向があります。焼きたい場合は若めのカチョカヴァッロを選ぶか、薄くスライスすると良いです。

Q3. 家庭での簡易スモークはできますか?

A3. 小型のスモーカーや燻製チップを使った短時間スモーク(冷燻ではなく軽い燻煙)で風味を付けることは可能です。ただし温度管理に注意してください(チーズが溶けないよう低温で短時間が基本)。

8. まとめ

  • カチョカヴァッロは南イタリア由来のパスタ・フィラータチーズで、名前は「cacio(チーズ)+ cavallo(馬)」に由来。
  • 製法の要は「カード(凝乳)の伸ばし(ストレッチ)」で、温度と塩管理が風味と溶け方を決める。
  • 若いタイプは焼くととろけて旨味が増し、熟成が進むとナッツ様のコクが強まる。用途に応じて使い分けるのがポイント。
  • 家庭では1〜1.5cmに切って中火で両面を香ばしく焼くのが基本。トーストやパスタ、サラダなど応用が効く。
  • 購入時は乳種・産地・熟成度を確認し、開封後はラップで密閉し冷蔵で早めに消費。減塩や冷凍時の食感変化に注意。

カチョカヴァッロは歴史と技術が育んだ南イタリアの伝統チーズで、パスタ・フィラータ製法による「伸び」と「とろける食感」が魅力です。若いタイプは焼いて、熟成タイプはスライスで、それぞれのシーンで違った美味しさが楽しめます。家庭で扱う際は製品の熟成度を見極め、火加減やスライス厚を調整することで、本来の美味しさを引き出せます。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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