2025年7月、北海道の内陸部では連日38〜40℃に迫る記録的な高温が続出。乳牛は高温多湿に弱く、熱ストレスによって乳量が20%前後減少する事例も報告されています。牛舎の冷却対策や飼料管理の工夫が急務となるなか、最新のデータと研究成果をもとに具体的なポイントを整理しました。

牛さん
40℃近い暑さに乳牛がバテバテ… 乳量20%減は他人事じゃない!
1. 猛暑の現状とTHIの目安
- 観測データ:美幌町で38.2℃(歴代最高更新)、帯広市では40℃に迫る日も。
- THI(Temperature‐Humidity Index):牛の熱ストレス指標で、60を超えると要注意。2025年7月の平均THIは65前後に達しています。
- 詳しい計算方法と対策は、当サイトのTHI解説ページをご覧ください。
乳牛の熱ストレスとは?THIの見方と予防策

牛さん
帯広で40℃目前!? 乳牛の熱ストレス、今年は深刻です!

2. 牛の健康・生産性への影響
2.1 熱ストレスによる体調不良
- 食欲減退:THI上昇で自発給餌量が減少し、1日あたり乾物摂取量が10~15%ダウン。
- 熱中症リスク:オホーツク管内では2023年に80頭超が熱中症を発症。2025年も同様の報告が散見されています。
- 繁殖成績の悪化:高温は受胎率低下を招き、長期的な乳牛供給にも影響。

牛さん
暑さで食欲ダウン!? 乳牛の乾物摂取量が15%も減ってる…!
2.2 乳量の減少
- 現場報告:十勝地方のある牧場では、猛暑期に乳量が平均20%ダウン。
- 学術データ:ホルスタイン第1泌乳群を対象とした研究で、THIが60~70を超えると予測エネルギー収支(PEB)が有意に低下し、乳β‑ヒドロキシ酪酸(BHB)が増加。これが乳量減少のメカニズムと考えられています。

牛さん
暑さで乳β-ヒドロキシ酪酸(BHB)が増加。これが乳量減の引き金に…!
3. 牧草・飼料への打撃とコスト増
- 夏枯れによる収量減:大空町では7月22日までの降水量が平年の半分以下(34.5 mm)、牧草収量が10~20%減少。
- 代替飼料調達コスト:牧草不足を補うための輸入干し草や配合飼料費が上昇し、経営コストが5~10%アップ。

牛さん
牧草不足=乳量減少にもつながる。夏の気候リスクが現実に
4. 現場での冷却・管理対策
- 大型扇風機・ミストシステムの設置
- 電力コストは増加するものの、牛舎内温度を3~5℃低減。
- 日中放牧の見直し
- 早朝・夕方の涼しい時間帯のみ放牧、日中は屋内で休息。
- 給水設備の強化
- 自動給水器やクーラー付き水槽で常に冷水を供給。
- シェード(遮光ネット)の利用
- 牛舎周辺や放牧地に遮光ネットを張り、直射日光を遮断。

牛さん
牛も作業員も熱中症対策を!酪農の夏は“冷やす”がキーワード
牛舎内の温度管理には、大型扇風機やミストシステムの導入が効果的ですが、作業者自身の体調管理も同様に重要です。作業中の熱中症対策に役立つグッズについては、以下の記事で詳しく紹介しています。

5. 持続可能な酪農への展望
- 技術導入:イスラエルなど海外ではスプリンクラー冷却や高度換気システムが導入済み。北海道でも実証試験が進行中です。
- 飼料自給率向上:耐暑性の高い牧草品種やバイオマス発電利用による飼料生産体制の多角化が鍵。
- データ管理:IoTセンサーによる牛群の体温・活動量モニタリングで早期異変検知を実現。

牛さん
海外の冷却技術、北海道にも導入進む!次世代牛舎に期待
6. まとめと今後のアクション
- 2025年7月、北海道で観測史上まれな40℃級猛暑が発生し、平均THIは65前後に上昇。
- 牛の食欲減退・熱中症リスク増大で乳量が約20%減少し、繁殖成績や長期的健康にも悪影響。
- 牧草の夏枯れで粗飼料不足が深刻化し、代替飼料コストが5〜10%増加。
- 大型扇風機・ミスト、遮光ネット、給水強化など複合的な冷却対策が有効。
- スプリンクラー冷却やIoTモニタリングなど、海外事例を参考にした技術導入が持続可能な酪農の鍵。
あなたの牧場では、どのような熱ストレス対策を行っていますか?ぜひコメント欄で事例を共有してください!

牛さん
熱ストレス対策は多角的に!扇風機・ミスト・遮光ネット活用しよう!
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