指定生乳生産者団体とは?仕組みと役割を徹底解説

酪農

指定生乳生産者団体とは?

指定生乳生産者団体(以下、指定団体)とは、生乳の安定供給と適正価格を維持するために国が指定した団体のことです。指定団体は、酪農家と乳業メーカーの間に立ち、生乳の取引調整や価格安定の役割を担います。

指定団体の主な役割

  • 生乳の集荷・販売:酪農家から集めた生乳を乳業メーカーに供給。
  • 価格交渉:酪農家の経営を守るため、公正な価格交渉を実施。
  • 需給調整:生乳の過不足を調整し、市場の安定を図る。
  • 補助金の分配:政府からの支援金を適切に配分。

指定団体の仕組みと価格形成

生乳の価格決定プロセス

生乳の取引価格は、乳業メーカーとの交渉によって決まります。指定団体は、以下の要素を考慮しながら価格を決定します。

  1. 生産コスト:飼料費・労働費・設備維持費など。
  2. 市場価格:国内外の乳製品相場。
  3. 供給量と需要:季節変動や輸入乳製品の影響。
  4. 政府の政策:補助金や関税政策の影響。

価格の安定化メカニズム

指定団体は、酪農家の経営を守るために「プール制」を導入しています。これは、地域ごとの生乳を一括して管理し、販売価格を平準化する仕組みです。これにより、価格の急変動を防ぎ、酪農家の安定経営をサポートします。

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指定団体に加盟するメリット・デメリット

メリット

価格交渉力の強化:個別の酪農家では難しい価格交渉を団体が代行。
安定した販売先の確保:乳業メーカーとの契約を団体が管理。
経営リスクの軽減:需給調整により、過剰在庫や価格暴落を防ぐ。
補助金の恩恵:国の支援制度を活用しやすい。

デメリット

個別契約が難しくなる:自由市場での価格交渉が制限される。
団体ルールの遵守が必要:生乳の出荷量や品質基準が厳格。
手数料が発生する:運営費用として一定の手数料がかかる。

指定団体と一般流通の違い

項目指定団体経由一般流通(自由契約)
価格安定性高い変動が大きい
交渉力強い個別交渉が必要
需給調整ありなし
補助金利用可能難しい
出荷の自由度低い高い

今後の課題と展望

近年、生乳の生産量減少や輸入乳製品の増加が進み、指定団体の役割も変化しています。特に、以下の点が今後の課題として挙げられます。

  • 酪農家の高齢化・後継者不足:若手酪農家への支援強化が急務。
  • 自由市場とのバランス:指定団体のルールと市場競争の調整。
  • 乳製品の輸出促進:国内市場の縮小に対応するため、海外展開を推進。

まとめ

指定生乳生産者団体は、酪農家の経営安定と市場の健全化に不可欠な存在です。しかし、時代の変化に応じた制度の見直しや、新たなビジネスモデルの構築が求められています。酪農家の皆さんは、指定団体の仕組みを理解し、自身の経営戦略に役立てることが重要です。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

毎日牛乳1L飲んでます!

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