インフルエンザ流行期に向けて、日々の食事でできる予防策としてヨーグルトが注目されています。本記事では、1073R-1(R-1)、プラズマ乳酸菌(LC-Plasma)、BB536といった代表的な乳酸菌株を、一次研究や臨床データに基づいて比較・検証します。年齢別の摂取目安やワクチンとの併用の考え方、実践しやすい摂取プランまで、専門家視点で慎重にまとめました。
なぜヨーグルトがインフルエンザ予防に関係するのか
腸管は全身免疫の重要な司令塔の一つで、腸内細菌(マイクロバイオーム)は免疫応答を調節します。プロバイオティクスとしての乳酸菌は腸粘膜の免疫(IgA産生や自然免疫の活性化)に影響を与え、経口摂取によって間接的に呼吸器粘膜の防御力を高める可能性が示唆されています。特に唾液中や腸管由来のIgA増加は、粘膜レベルでのウイルス侵入抑制に寄与すると考えられています。

主要乳酸菌のエビデンス比較
以下は代表株ごとの「何が分かっているか/臨床データの信頼度」です。重要なポイントごとに一次研究や企業の公表資料を参照しています。
1. 1073R-1(明治・R-1)
概要:1073R-1を用いたヨーグルトは、摂取によって唾液中のインフルエンザウイルス結合IgAが増加し、高齢者施設での感染抑制の可能性が報告されています。臨床試験ではワクチン抗体価の底上げも示唆されています。
エビデンスの質:ランダム化比較試験や介入研究が存在するが、対象や規模によりばらつきがあるため「効果の有無」は肯定的だが過度の一般化は避けるべきです。
2. LC-Plasma(プラズマ乳酸菌/iMUSE系)

概要:LC-PlasmaはpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)を刺激し、インターフェロンαなどの自然免疫応答を増強する作用が報告されています。培養系・学会発表や企業の公表資料で免疫刺激作用が示されており、呼吸器ウイルスに対する有用性の可能性が示唆されています。

エビデンスの質:免疫細胞を用いた基礎研究や一部臨床の報告があり期待は大きいが、ヒトにおける大規模な感染予防試験は限定的です。
3. BB536(ビフィズス菌)
概要:BB536は腸粘膜保護や代謝改善に関する研究が多く、高齢者を中心にインフルエンザ感染の抑制や症状軽減が示唆された報告もあります。腸内フローラ改善を通じた二次的な免疫向上が期待されます。
エビデンスの質:動物実験・臨床小規模試験が主で、製品差や摂取背景に影響されやすい点に注意が必要です。
研究から読み取れる「実務的な結論」
- 特定株(1073R-1やLC-Plasma、BB536など)にはそれぞれ異なる免疫メカニズムがあり、研究は有望だが万能ではない。重要なのは「株指定の証拠」を確認すること。
- 多くの介入研究は「継続摂取」=効果実現に必要な条件を示している。短期断続的な摂取では期待される効果が出にくい。
- ワクチン接種との併用で抗体価を高める可能性が示された研究もあり(例:ワクチン効果の補助)※ただしワクチンの代替ではない。

実践ガイド:量・頻度・タイミング(現場の推奨)
- 量:固形ヨーグルトで毎日100〜200gを目安に継続するのが現実的で、臨床試験でも同程度が用いられることが多い。
- 頻度:毎日継続(少なくとも数週間〜数ヶ月)を推奨。効果の現れ方には個人差あり。
- タイミング:朝食と一緒に摂る習慣化が続けやすい。空腹時に摂ると定着しやすいという指摘もあるが、継続が最優先。
- 形態:固形(プレーンヨーグルト)でもドリンクタイプでも、目的の乳酸菌株が十分含まれていることが重要。
年齢別・状況別の注意点
高齢者
高齢者では唾液分泌や免疫反応が低下しているため、継続摂取によるメリットが比較的出やすい研究がある一方、持病や薬の影響に注意してください。施設内での導入は医師と相談のうえ行うと良いでしょう。
乳幼児・妊婦
基本的には食品としての摂取は可能だが、製品ごとの成分(加糖・添加物など)やアレルギーに注意。妊婦は主治医へ相談してください。
ワクチン接種と併用する場合
ワクチンの代わりにはならないが、接種による抗体応答を補助する可能性が示された研究があるため(補助的役割として)接種前後の継続摂取を検討してもよいでしょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 「R-1を飲めば絶対にかからない?」
A. いいえ。研究は有望ですが100%ではありません。ワクチン・手洗い・うがいなど基本的対策と併用することが前提です。
Q. 「どの製品を選べばいい?」
A. 目的がインフル予防なら「含まれる株(例:1073R-1、LC-Plasma、BB536)」が明示された製品を選び、メーカーや第三者の研究・試験データを確認してください。
まとめ(専門家の結論)
- 特定の乳酸菌株(1073R-1、LC-Plasma、BB536)は免疫応答に好影響を与えるエビデンスがあるが、万能ではない。
- 効果を期待するには「株が明示された製品」を毎日継続して摂取することが重要(短期断続では不十分)。
- ワクチンの代替ではなく補助として位置づけ、ワクチン接種や手洗い等の基本対策と併用する。
- 高齢者など免疫が低下しやすい層では特にメリットが見られやすいが、持病や薬のある方は医師と相談を。
- 実用的には「朝のプレーンヨーグルト100〜200gを継続」するプランが現実的で、製品選びは含有株と一次データの確認を基準に。
現時点の研究は、特定の乳酸菌株を継続摂取することで免疫応答(IgAや自然免疫の活性化)に良い影響があることを示しています。特に高齢者や免疫が落ちやすい層では効果が観察されやすい一方、研究の対象や規模にはばらつきがあるため「万能薬」としての期待は禁物です。実務的には「株が明示された製品を毎日継続して摂取」し、ワクチン接種や基本的感染対策と併用することが現実的かつ合理的なアプローチです。
実践プラン(推奨):
毎朝プレーンヨーグルト100g(株指定の製品)を30日間続け、流行期は継続。高齢者施設等では医療担当者と導入計画を立てる。ワクチン接種は必ず行うこと。
参考文献・出典(代表)
- 論文:Effect of ingesting yogurt fermented with Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1 on influenza virus-bound salivary IgA(臨床試験・高齢者).
- レビュー・臨床:A probiotic fermented dairy drink improves antibody response to influenza vaccination(Vaccine等の報告)。
- 企業公表:Meiji(1073R-1)研究報告。
- 企業公表/発表:Kirin(LC-Plasma)学会発表・研究リリース。
- BB536に関する報告・レビュー(森永・学術資料)。
※この記事は専門的文献・メーカー公表資料を参照して作成していますが、個々の健康状態や持病により当てはまらない場合があります。不安がある方は医師・薬剤師にご相談ください。
※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告が含まれる場合があります。



