日本の酪農業界では、2022年から2025年にかけて酪農家戸数が3年連続で約5%ずつ減少し、わずか3年間で約2,000戸もの酪農農家が離農しました。本記事では、公式統計をもとにその背景と影響を整理し、今後の業界が取るべき方向性について解説します。

牛さん
日本の酪農家が3年連続で約5%減少!深刻な離農問題です
1. 酪農家戸数の推移と現状
年度 | 酪農家戸数(戸) | 前年比減少率 |
---|---|---|
2022年(R4) | 13,300 | ― |
2023年(R5) | 12,600 | -5.3% |
2024年(R6) | 11,900 | -5.6% |
2025年(R7) | 11,300 | -5.0% |
- 2022年→2025年の3年間で2,000戸減少
- 年間約5%のペースで酪農家が離農
※ 上記データは農林水産省「畜産統計調査」を基に作成
この3年で約15%もの酪農家が減少したことになり、地域の生産基盤にも大きな影響を与えています。

牛さん
2025年夏現在は1万戸を下回っています。
2. 減少の主な要因
- 高齢化と後継者不足
- 経営者の平均年齢は約57歳。60歳以上が半数以上を占め、後継者不在で廃業するケースが増加。
- 飼料価格の高騰
- トウモロコシなどの飼料原料価格が国際市場で高く推移し、コスト負担が増大。
- 牛乳価格の低迷
- 国内消費量は減少傾向。生産量調整の難しさから、収益圧迫が深刻化。
- 副収入源の減少
- 肉用子牛価格(F1交雑牛)の下落で、酪農家の副収入が減少し経営が不安定に。
これらの要因が重なり、特に小規模経営や新規参入者の離脱を加速させています。

牛さん
酪農家減少の背景は高齢化と後継者不足が大きな要因!

3. 1戸あたり乳牛頭数の増加と大規模化
年度 | 酪農家戸数(千戸) | 乳牛頭数(千頭) | 1戸あたり頭数 |
---|---|---|---|
2016年(H28) | 17.0 | 1,345 | 79.1 |
2020年(R2) | 14.4 | 1,352 | 93.9 |
2025年(R7) | 11.3 | 1,293 | 114.4 |
- 酪農家戸数は減少
- 1戸あたりの乳牛頭数は増加=大規模化が進行
大規模化による生産効率向上は図れるものの、地域に根ざした小規模牧場の減少は、地域経済や雇用機会にも影響を及ぼします。

牛さん
大規模化が進み、効率的な酪農経営が求められている
4. 指定生乳生産者団体の受託戸数も減少
中央酪農会議のデータによれば、指定生乳生産者団体が受託する酪農家戸数は2024年10月に9,960戸となり、初めて1万戸を下回りました。特に、2019年4月の13,384戸からの減少スピードが加速しています。

牛さん
指定生乳生産者団体の受託戸数減少は継続的なトレンド

5. 今後の展望と取り組むべき対策
5-1. 政府・自治体の支援強化
- 飼料価格安定策: 輸入多角化や助成金制度の継続・拡充
- 就農支援プログラム: 新規就農者向け研修、若手後継者への補助金

牛さん
飼料価格安定に向けた政府の多角的支援!
5-2. 技術導入による効率化
- IoT・スマート農業: 飼料投与量や牛群管理の自動化で省力化
- バイオガス化などの副業展開: 廃棄物をエネルギー資源に

牛さん
スマート農業が省力化と収益向上を実現
5-3. ブランド化・付加価値向上
- 地域特産ミルクの開発: 地域ブランドとしての差別化
- 加工品販売: チーズやヨーグルトなど付加価値を見い出した商品の直販強化

牛さん
付加価値商品で酪農経営の安定化を図る
まとめ
- 2022~2025年で酪農家戸数は2,000戸減少
- 高齢化・飼料高騰・牛乳価格低迷が主な要因
- 大規模化は進むが、小規模牧場の減少は地域課題
- 政府支援・技術導入・ブランド化が今後のカギ
酪農業の持続的発展には、産業全体での構造改善と地域資源を生かした付加価値創出が必要です。未来の酪農を支えるために、今こそ業界全体で知恵と技術を結集しましょう。

牛さん
酪農家戸数が3年間で約2,000戸減少!業界の危機を実感
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