Jミルクが脱脂粉乳在庫対策を発動へ|全国参加型基金で12月下旬に規模決定

Jミルクが脱脂粉乳在庫対策を発動へ|全国参加型基金による需給安定と在庫削減のイメージ 乳製品
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2025年11月、Jミルクは脱脂粉乳(脱粉)の過剰在庫対策として「酪農乳業需給変動対策特別事業」を本格化させ、全国の生産者と乳業者が参加する「全国参加型基金」を活用して在庫の市場隔離・削減に乗り出す方針を示しました。12月下旬に基金の削減規模と拠出額が決定され、2026年1〜3月に実施する見込みです。本記事では在庫の現状数値、基金の仕組み、国の支援の必要性、そして生産者・乳業者が直ちに取るべき実務対応を数値とフローで整理して解説します。

現在の在庫と危機の本質(数値で見る)

Jミルクの2025年度需給見通しでは、年度末の脱脂粉乳在庫は前年度比約62%増の約84,400トン(8万4,400トン)に達する恐れがあると示されています。直近の月次実績でも在庫は約6万4,700トンにまで増加しており、放置すれば短期的に需給バランスを悪化させ、生乳の減産や生産抑制に繋がるリスクがあります

なぜ在庫が増えたのか:要因整理

  • 飲用牛乳・ヨーグルトなどの消費低迷(特に価格改定後の需要減や大容量製品の低迷)。
  • 生乳生産は微増しているものの(年度ベースでの上振れ)、加工用途の需要回復が追いつかないため、脱脂粉乳やバターへ振替られる割合が増加したこと。
  • 流通構造の変化(非系統取引「アウトサイダー」の増加)により需給監視が難しくなっている点。農水省側もこの点を注視している。

「全国参加型基金」の仕組み

基本的概念は、乳業者・生産者が共同で基金を積み、過剰在庫を市場から隔離して需給を安定化させることです。過去の在庫対策では、飼料転用(脱脂粉乳を家畜飼料として活用)や輸入調製品との置換、海外輸出など複数手段を組み合わせて在庫の積み上がりを抑えてきました。基金はこれらの転用・置換コストを補助する役割を持ちます。

予定スケジュール(要点)

項目想定/予定
最終決定2025年12月下旬(Jミルク 戦略ビジョン推進特別委)
実施期間2026年1月〜3月(第4四半期)
対象過剰脱脂粉乳在庫(飼料転用、輸入品置換、輸出等で市場隔離)

国(農水省)の関与と政策的背景

Jミルク単独の基金だけでは対応に限界があるため、農林水産省による財政的後押しや制度面の支援が不可欠とされています。令和7年度からは主要な補助事業の交付条件に「生乳需給安定への拠出」を要件化する方向(クロスコンプライアンス)も示されており、国と民間の連携が強化される見通しです。

生産者・乳業者が直ちに検討すべき実務的対策(短期)

  1. 在庫実査と受渡記録の整理:在庫の正確把握は基金活用の前提。月次での在庫報告・トレースを強化する。
  2. 飼料転用の技術・規格確認:脱脂粉乳の飼料転用には品質管理・配合設計が必要。地元畜産と連携し実務体制を固める。
  3. 販売チャネルの検討:輸出・加工業者への振替、産地直売や地域ブランドでの需要喚起を検討。
  4. 情報共有体制の強化:JA・地域団体と連携して需給情報を共有し、局所的な供給過剰を未然に防ぐ。

ポイント:基金はあくまで「市場からの一時的隔離」を目的とするセーフティーネットです。消費回復策(需要喚起)と組み合わせて初めて持続的な需給改善が期待できます。

想定される業界影響と中長期の視点

短期的には在庫の隔離で需給ショックを和らげられるものの、消費トレンドが戻らなければ同様の課題が再発する可能性があります。中長期では、飲用牛乳需要の回復策、加工品の多様化、輸出拡大の道筋作り、流通改革(非系統取引の管理強化)など多面的な政策・産業施策が不可欠です。

まとめ(要点リスト)

  • Jミルクは脱脂粉乳の過剰在庫に対し「全国参加型基金」を使った対策を発動予定(12月下旬に規模決定)。
  • 年度末の在庫見通しは約8.4万トンと懸念水準。直近在庫は約6.47万トン。早期の市場隔離が必要。
  • 民間基金だけでの解決は難しく、農水省の補助・制度支援(クロスコンプライアンス等)との連携が重要。
  • 生産者は在庫管理・飼料転用対応・地域連携・販路多様化を急ぐべき。

出典(主要): Jミルク「2025年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通し(補足資料・需給短信)」、JAcom報道、農林水産省関連資料等。詳細は本文中の注を参照してください。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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