2025年上期決算会見で松田克也社長が示した方針は、機能性(本質価値)の訴求によるプロバイオティクスの再成長と、カカオ高騰を踏まえたチョコレートの価格工夫に集約されます。本稿では決算データ・公式発表を参照しつつ、実務的な示唆を専門家の目線で整理します。
要点
- 松田社長は「本質価値の訴求」と「価格面の工夫」を両輪に、下期以降の市場対応を示した。
- 容器の軽量化などでコスト削減と環境対応を両立させ、プロバイオ製品の魅力訴求を強化している(R-1等)。
- チョコレートは原料(カカオ)高騰を背景に複数回の価格改定を実施。容量・形態変更や配合見直しで販売底上げを狙う。
上期決算のポイントと松田社長のメッセージ
2025年上期の決算を総括すると、売上はおおむね堅調でも原材料費・物流費の上昇が利益率を圧迫しており、戦略の柱として「本質価値の強化」と「価格面の工夫」が掲げられました。松田社長の発言は、単なる値上げ容認ではなく、価値訴求と消費者受容性の両面を意識した“実行計画”を意図しています。
注:本稿では明治の公式プレスリリースと会見報道をベースに、製品別の実務的示唆(販売施策・訴求ポイント)を専門家視点で補足しています。
プロバイオティクス事業:本質価値(機能性)で再成長を狙う
現状認識:市場と課題
プロバイオティクス市場は競争が激化し、機能性の裏付けと伝え方が差別化要因になっています。明治のR-1やLG21は依然としてコアな支持基盤を持ち、新しく発売されたHbA1cの低下をサポートすると明記された世界初の乳製品「明治ヘモグロビンA1c対策ヨーグルト」も人気です。一方、購入頻度の低下やPBの台頭で“ついで買い”が減少した点が課題です。これを踏まえ、会見では機能性の科学的裏付けの可視化と容器や流通での改善が強調されました。
実行中の施策とインパクト
- 容器の軽量化:2025年8月からR-1等ドリンクタイプで形状変更を伴う軽量化を順次実施し、プラスチック使用量を大幅削減。環境訴求と物流コストの低減を同時に狙う施策です。
- 機能性の可視化:免疫や腸内環境などの科学的エビデンスをパッケージやプロモーションで分かりやすく提示することで“購買動機”を強化。
- デジタル/若年層施策:SNSや動画で若年層へのリーチを強化し、購買層の拡大を図る。

チョコレート事業:値上げと“価格工夫”の実務
背景:カカオ高騰と価格改定の流れ
世界的なカカオ相場の上昇や物流・需給の変化を受け、明治は複数回にわたる価格改定(品目・時期別)を公表・実施してきました。2025年には複数回の改定が行われ、品目ごとに10〜36%前後の改定が発表されています(該当プレス参照)。
価格工夫の中身(実務例)
- 容量・形態の最適化:グラム単価を極端に上げず、容量・包装で消費者の印象を調整(例:小容量パックの追加、パウチ形態の活用)。
- 配合の見直し:ココアバター等の一部代替で原価を抑える(準チョコレート等)。ただし風味・ブランド価値を損なわない設計が条件。
- ラインナップ二極化:高付加価値ライン(プレミアム)での利益確保と、エントリーモデルでの量確保を並行する戦略。
- サステナ調達の活用:長期の安定調達や農家支援プログラム(例:Meijiのカカオ関連施策)で、プレミアム調達をコストに転嫁し、持続可能性を訴求。
実務的な優先順位
短期的には「価格表示の透明化」と「消費者への価値説明(なぜ値上げか)」を丁寧に行うこと。中期的には製品改良とライン整理で利益率改善を目指すのが現実的です。
リスクと注視すべきKPI
主要リスク
- インフレ継続による消費者の節約志向と購買頻度低下。
- 配合変更がもたらすブランドイメージ低下の可能性。
- 競合(PBや海外メーカー)による価格競争の激化。
注視KPI(提案)
- ブランド別購入頻度(月次)
- チャネル別販売数量(実店舗 vs EC)
- 商品別粗利率(値上げ前後の比較)
- 広告接触後の購買転換率(機能訴求の効果指標)
記事のまとめ
- 松田社長は「本質価値(機能性・サステナ)」を軸にプロバイオ領域の再成長を目指すと表明。R-1等の訴求強化や容器軽量化が実行中。
- チョコレートはカカオ高騰を背景に複数回値上げを実施。容量・形態の工夫や一部配合の見直しで販売底上げを図る方針。
参照・出典(主要一次資料)
- 松田克也社長の会見報道(要旨まとめ)— 食品新聞系・業界報道(会見での「本質価値」発言等)。
- 「明治プロビオヨーグルトR-1」容器軽量化の公式プレスリリース(2025/07/24)。
- 価格改定(チョコレート等)に関する明治のプレスリリース(各種、2025年)— 改定率・対象品目の一覧。
- 明治グループの決算資料・プレゼンテーション(IRページ)。
※本記事は公表資料・会見報道を基に編集部が分析したもので、投資アドバイスを目的としたものではありません。数値は公表資料の更新により変わる可能性があります。
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