MMJ奨励金×国補助で最大80円/kg|年末年始の生乳出荷抑制と申請手順(2025年12月)

MMJ奨励金×国補助で最大80円/kg|年末年始の生乳出荷抑制(2025年12月) 酪農
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年末年始は飲用牛乳の需要が落ち込み、生乳が余りやすくなります。2025年12月、MMJは出荷を抑え「全乳哺育」等に回した生乳に対して1kgあたり40円の奨励金を発表しました。国の緊急対策(40円)と併用すれば最大で80円/kgが見込めます。本記事では、対象条件・申請の流れ・現場で使えるチェックリストを事例でわかりやすく解説します。

導入:なぜ今、出荷調整が必要なのか

冬期(年末年始)は飲用牛乳の消費が季節的に低下し、生乳が一時的に過剰になります。過剰になった生乳をそのまま出荷し続けると乳価下落や流通面での歪みが生じ、結果的に酪農経営に悪影響を与えます。今回のMMJの奨励金は、出荷量を抑えて全乳(飲用・子牛給与用)へ振り向ける行為に対する短期的な補填として位置づけられています(2025年12月発表)。

MMJ奨励金の内容(要点)

  • 交付額(目安)MMJ側 40円/kg。農林水産省の緊急対策に相当する40円と併用可能 → 合計で最大80円/kgとなる見込み。
  • 対象期間:年末年始(MMJの公表では12月下旬〜1月上旬に該当する出荷抑制分)。
  • 対象:MMJと契約する酪農家。抑えた生乳が「全乳哺育」用途(子牛給与や飲用での社内在庫利用)に振り向けられたことが条件。 
  • 申請:MMJへ出荷実績を申告。国側(ALIC等)の補助分は別申請が必要。
  • 目的:短期的な需給バランスの改善と、乳価の急落防止。

現時点での重要な注意点(慎重な確認を)

本施策の詳細(対象期間の細部、必要書類、実績の計算方法など)はMMJの契約条件やALICの詳細ルールで異なる可能性があります。受給を前提にした生産調整を行う場合は、必ず契約担当者と事前に書面で確認してください。

全乳哺育とは──実務上の意味と利点・リスク

全乳哺育は「加熱や脱脂などを行わない生乳」をそのまま(または最小加工で)飲用や子牛の給与に使用する手法です。子牛の成長性向上や在庫の有効活用が期待できますが、衛生管理や病原管理が欠かせません。

ミルクタクシーでパスチャライズした廃棄乳を子牛に哺乳
廃棄乳をパスチャライズし、子牛の哺乳に活用

利点

  • 子牛の成長促進(栄養吸収が良い)
  • 在庫活用による短期需給調整が可能
  • 奨励金対象になりやすい(今回の主旨と合致)

リスクと対策

  • 病原リスク(BVD等)→ 定期的な検査と隔離管理
  • 保管・温度管理の不備→ 冷蔵設備・記録の徹底
  • 飲用出荷として扱う場合の衛生・表示要件→ 必要な加熱処理・表示遵守

受給シミュレーション(計算例)

以下は簡易試算です(説明用の数値)。実際は各農場の乳価や出荷構成で変動します。

項目数値備考
月間出荷量(通常)10,000 kg
今回抑制する量1,000 kg10%減
奨励金(MMJ)40円/kgMMJ支給分
国の緊急対策(目安)40円/kgALIC等の別途支給分(併用想定)
合計補填(想定)80円/kg1,000kg × 80円 = 80,000円

解説:上記の例では1,000kg抑制で80,000円の補填が見込めます。抑制分を子牛給与や自社在庫に回すことで市場への過剰供給を防ぎ、同時に短期収支の穴埋めが可能です。ただし、抑制に伴う加工向け生乳の代替コストや労務コストは別途精算してください。

申請フロー(現場で使える手順)

  1. 契約確認:MMJ契約書を確認し、今回の奨励金が適用されるか書面で確認する。
  2. 出荷計画作成:どの程度の量を抑制するか決定し、月次・日別計画を作る。
  3. 衛生管理計画:抑制した生乳を保管・給与するための温度管理と検査計画を整備。
  4. データ収集:出荷伝票、検品記録、保存温度ログ等を準備(申請時の証拠資料)。
  5. MMJへ申告:MMJの申請フォームまたは担当窓口へ出荷実績を提出。
  6. ALIC等へ申請(国補助分):国の緊急対策分は別途ALICの申請窓口で手続き。
  7. 記録保管・監査対応:支給後も監査に備え、所定の期間は記録を保管。

必要書類(一般例)

  • 出荷伝票の写し(対象期間)
  • 乳質検査結果・検査記録
  • 冷蔵設備の温度ログなど衛生管理の証跡
  • 申請書(MMJ / ALIC指定様式)

現場チェックリスト(印刷して使える)

  • □ 奨励金の対象期間を契約担当と確認した
  • □ 抑制量と振替先(子牛/飲用在庫)を決定した
  • □ 冷蔵・温度管理設備の点検を実施した
  • □ 必要な検査(疾病検査含む)をスケジュールした
  • □ 出荷伝票や記録の保管方法を定めた
  • □ MMJ・ALICの申請書類を受領・事前チェックした

リスク管理と長期的視点

今回の奨励金は短期的な需給調整として有効ですが、恒常的な需要不足には構造的対策(需要喚起、製品開発、長期的生産調整)が必要です。短期補填に頼るだけでなく、繁殖・育成計画やコスト構造の見直しも併せて行ってください。

まとめ(結論と行動指針)

  • MMJの奨励金は年末年始の需給調整を目的とした短期支援で、MMJ分40円と国の緊急対策40円の併用で最大80円/kgが見込めます(2025年12月4日発表)。
  • 受給にはMMJへの出荷実績申告とALIC等への別申請が必要。事前に契約担当と手順・必要書類を確認してください。
  • 現場では衛生管理・記録保管を徹底し、受給後の監査に備えてください。抑制の損益シミュレーションを行い、総合的に判断することを推奨します。

今日やるべきこと(推奨)

  1. MMJの契約担当に連絡して施策の適用可否と必要書類を確認する。
  2. 抑制量の暫定計画を作成し、衛生管理・検査計画を整備する。
  3. 出荷記録・温度ログ等の保管体制を見直す。

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参考・出典(抜粋)

本記事は2025年12月4日公表の業界報道および農林水産関連機関の資料を基に作成しています。申請手続きや支給条件の最新情報はMMJ・農林水産省・ALICの公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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