2025年5月末、岐阜県神戸町の老舗メーカー・東海牛乳が製造した牛乳約230万本の自主回収を発表し、大きな話題となりました。さらに6月11日には追加で約220万本の回収と工場休止を決定。消費者からの風味異常報告や、報告遅れに対する農林水産省の厳しい批判──「看過できない」通達──など、ニュースは連日メディアを賑わせています。この記事では、今回の騒動の経緯や原因、行政対応、そして今後の対策について解説します。

農水省も「看過できない」と異例の強い対応!
東海牛乳とは?140年の歴史を誇る老舗メーカー
- 創業:1883年、5頭の乳牛からスタート
- 法人化:1965年
- 事業内容:牛乳・乳飲料、清涼飲料水、果汁飲料の企画・製造・販売
- 認証:HACCP(2018年取得)、SQF(2023年2月取得)、有機JAS(2023年5月取得)
- 従業員数:165名(パート含む)
- 販売エリア:岐阜を中心に東海・北陸・関西の2府10県
これだけ長い歴史と高い品質基準を誇る企業でも、万全とはいえないのが食品製造の難しさです。

長い歴史があるからこそ、今回の事件の影響は大きい!
自主回収の経緯と原因
1. 初回回収(約230万本)
- 製造期間:2025年5月16日~27日
- 賞味期限:5月30日~6月10日
- 対象商品:「味わいらくのう牛乳」「酪農牛乳」など17品目
- 販売地域:愛知・岐阜・三重・福井・石川・富山・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山
- 異常報告:消費者から約80件の「苦みがある」「いつもと違う風味」「レンジ加熱でヨーグルト状に」といった声
- 健康被害:現在まで確認なし
牛乳製造ラインで「白い固形物」の付着を5月22日に発見したものの、洗浄後に製造を継続。その後5月28日に自治体から問い合わせを受けながら、正式な報告を5月30日まで行わなかったことが問題視されました。

販売エリアは11府県以上!広範囲に影響が及ぶ事態に
- 【岐阜・東海牛乳が230万本を自主回収|味や匂いの異常と返品方法まとめ】
2. 追加回収(約220万本)と低温菌の影響
- 日付:2025年6月11日
- 原因:生乳中の「低温菌」による品質異常の可能性
- 対応:本社工場を一時休止し、設備点検・外部検査を実施。自主回収対象商品を拡大(賞味期限5月30日~6月25日)
低温菌自体は健康被害を及ぼすものではありませんが、苦みなどの風味低下を招き、消費者の不信感につながりました。

「体に害はない」と言われても…消費者は納得しにくい
- 【東海牛乳が再び自主回収&本社工場休止を発表|6/10発表】追加回収と工場停止の詳細レポート
- 【低温菌とは?東海牛乳回収事例から学ぶ、牛乳の風味異常を防ぐ仕組みと対策】
農水省の対応:「看過できない」報告遅延の重み
2025年6月5日、農林水産省 牛乳乳製品課長名の通達で、東海牛乳の報告遅れを「看過できない」と断じました。食品安全法に基づく「異常発生時の速やかな報告義務」を怠った行為は、消費者保護の観点から非常に重大。
- 通達日:2025年6月5日
- 送付先:酪農乳業団体、流通団体
- 狙い:業界全体への報告体制強化、食品安全管理の徹底

異常を把握しても即通報せず…その対応が“信頼失墜”を招いた
“アウトサイダー生乳”とは?酪農業界を揺るがす非系統取引の正体
近年、北海道の生乳を低コストで直接仕入れる「アウトサイダー生乳(非系統生乳)」の取扱量が増加。東海牛乳も2024年4月に製造ラインを拡張し、年間5万トン以上のアウトサイダー生乳を受け入れる体制を整えました。

低価格だけじゃない…品質管理・流通面の課題とは?
アウトサイダー生乳の特徴
- 直接契約で価格交渉
協同組合を介さずメーカーと酪農家が直接取引。プール乳価を超える単価を得られる可能性がある一方、需給変動リスクも酪農家が直接負う。 - 組合体制への影響
非系統生乳が増えると、指定生乳生産者団体(JA全農など)のプール乳価安定機能が揺らぎ、本州酪農家の経営を圧迫する恐れがある。 - 品質管理の難易度上昇
受け入れる生乳の産地・品質が多様化するため、微生物検査や衛生管理のハードルが高まる。生乳の輸送は管理の難易度が高まる。

アウトサイダーが増えると、JA系統の安定運営に影響。地域全体の酪農経営に波及する恐れも
詳しくはこちらの記事もご覧ください
消費者が安心して牛乳を選ぶためのチェックポイント
- 賞味期限と製造日を必ず確認
- **パッケージの異常(膨張や変形)**に注意
- 風味の変化を感じたらすぐにメーカーへ連絡
- 公式情報の確認:メーカーHPや消費者庁・農水省のウェブサイトで最新情報をチェック

パッケージの膨らみや変形も見逃さないで。風味の違和感はすぐメーカーへ!
東海牛乳公式ホームページはこちら
今後の見通しと再発防止策
- 原因究明結果の公表:詳細調査レポートの公開を待つ
- 製造ライン再構築:異物混入防止・菌管理の徹底
- 第三者検査の導入:外部専門機関による定期検査
- 情報開示の強化:SNSやメールマガジンで迅速かつ透明な発信
東海牛乳だけでなく、業界全体にとっても「食品安全と報告体制の見直し」は喫緊の課題です。消費者の信頼を取り戻すには、実効性ある対策と誠実な情報開示が欠かせません。

東海牛乳だけでなく業界全体の食品安全と報告体制の見直しが急務!
まとめ
- 自主回収規模:初回230万本+追加220万本、計450万本
- 問題点:製造ライン異常把握後の報告遅れを農水省が厳命
- 原因:「低温菌」による風味異常(苦みなど)
- 農水省の通達:2025年6月5日、「看過できない」と断定的評価
- 再発防止策:製造ライン強化、外部検査導入、情報開示の徹底
- 消費者ポイント:賞味期限・パッケージ・風味変化に注意し、公式情報を確認
食品は「安心・安全」が何よりの価値。今回の東海牛乳の事例を教訓に、私たち消費者も、メーカーも、より高い食品安全水準を目指していきましょう。

農水省が『報告遅れは看過できない』と厳しく指摘
食品の安心・安全を守るため、消費者も公式情報を必ずチェック!
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