滋賀県豊郷町の焼肉店で、常連客限定の“裏メニュー”として牛の生レバーを提供したとして経営者が食品衛生法違反の疑いで逮捕されました。2012年に生レバーの提供は全面禁止されており、今回の発覚経緯や法的背景、飲食店が取り得る対策を肉牛農家の視点でわかりやすく整理します。
1. 事件の事実関係(時系列)
公表された報道によれば、経営者は2025年4月18日と9月12日の2回にわたり、牛レバーを中心部まで十分に加熱せずに客に提供した疑いで逮捕されました。提供はメニュー記載のない「常連限定の裏メニュー」として行われていたと報じられています。現時点で健康被害の確認はされていません。
ポイント(事実確認)
- 提供日:報道では2025年4月18日、2025年9月12日の2回と記載。
- 発覚経緯:常連客が持ち帰りの際に警察に提出したことを契機に捜査が進展。
- 容疑:食品衛生法違反(生食用提供の禁止に抵触するとして逮捕)。

2. 発覚の経緯と当事者の供述
報道によれば、提供された生レバーを持ち帰った客がそれを警察に提出したことで捜査が始まり、経営者は「客の要望があれば提供していた」と容疑を認めているとされています。地域の通常営業で信頼を築いていた店だけに、関係者の驚きや地域コミュニティでの受け止め方は分かれています。
解説:持ち帰りや客の要求であっても、事業者が違法行為を行えば責任が問われます。消費者の「自己判断」で合法性が変わるわけではありません。
3. なぜ「生レバー」は禁止されたのか(科学的・行政的背景)
牛レバー(肝臓)の生食提供は、2012年7月1日から厚生労働省の規制により販売・提供が禁止されています。主な理由は、レバーの内部から腸管出血性大腸菌(O157など)が検出される可能性があり、中心部まで加熱しない限り安全性を確保できないためです。現時点でレバー内部の病原菌を確実に検査・除去する方法がないことが行政判断の根拠となっています。
過去の重大事例:2011年のユッケ集団食中毒
生食肉関連で大きな社会的反響を呼んだ事件として、2011年に発生した「焼肉酒家えびす」のユッケによる集団食中毒があります。この事件では多数の患者が発生し、死者も出たことから、食品の生食に関する規制強化の流れが加速しました。これらの事例は政策決定の重要な参考資料となっています。

科学的ポイント(簡潔に)
- レバーは表面だけでなく内部に病原体が存在する可能性がある。
- 少量のO157でも重症化するリスクが高い(特に子ども・高齢者)。
- 中心部まで十分に加熱する(例:中心温度63℃で30分、または75℃で1分以上)が安全基準。
別の重大事例:山口・周防大島『レアステーキ丼』O157集団食中毒
2026年1月、山口県周防大島町の人気飲食店「アロハオレンジ」で提供された レアステーキ丼(通称:ギャング丼)を原因とするO157による集団食中毒が発生しました。 この事案では、同じ料理を食べた7人が腹痛・下痢などの症状を訴え、 そのうち3人の便から腸管出血性大腸菌O157が検出されています。 この内、10代の女性1人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症する重症例となり、 山口県は保健所の調査を受けて飲食店に営業停止処分を下しました。
この事件は、肉の“ほぼ生”に近い調理によって肉内部の病原菌が死滅せず、 喫食者に届いたことが最大の原因と考えられています。 特に中心温度が適切に達していない赤身肉は、O157などの耐熱性病原菌が残存するリスクが高く、 厚生労働省が示す「中心温度75℃で1分以上の加熱基準」を満たしていない可能性が指摘されました。
こうした食中毒事故は、調理方法や提供形態が違法性に直結するわけではありませんが、 食肉の加熱不足が大きなリスク要因であることを裏付ける重要な事例です。
4. 飲食店側のリスク(法的・業務的)
生レバー提供は行政規制に反するだけでなく、企業リスク(逮捕・罰則・営業停止・ブランド毀損)、民事リスク(被害が出た場合の損害賠償)、そして顧客信頼の喪失を招きます。特に「常連向けの裏メニュー」のような非公表運用は、証拠集積(提供記録がない、目撃証言のみ)が難しい一方で、発覚時のインパクトが大きくなります。
飲食店が直面する可能性のある具体的リスク
- 刑事責任:食品衛生法違反での逮捕や罰則。
- 行政処分:営業停止、保健所の指導や再発防止命令。
- 風評被害:SNSやメディアでの拡散による集客の急減。
5. 現場で今すぐできる再発防止チェックリスト(飲食店向け)
- メニューの見える化:全メニューを明文化し、口頭だけの暗黙の提供を禁止する。
- 従業員教育:食品衛生法や加熱基準(中心温度等)を定期的に教育する。
- 調理記録の保存:原材料ロット、調理方法、提供記録を一定期間保存する。
- 保健所との連携:疑問点や新メニューは事前に保健所に相談・確認する。
- 客への表示:加熱用か生食用かを明確に表示し、注意書きを必ず掲載する(焼肉セルフ調理店のガイドラインに準拠)。
これらは現場で即実行できる基本対策です。特に「見える化」と「教育」は、予防効果が高く、リスク発生後の説明責任にも有効です。
6. 消費者が知るべきポイント
消費者側も次の点に注意してください:①メニューにないものを無理に頼まない、②提供されたものが生食であると感じたら直ちに加熱を求める、③体調不良が出た場合は医療機関を受診し保健所へ報告する—これにより被害拡大を防げます。
7. まとめ
- 滋賀の飲食店経営者が常連向けに生レバーを提供した疑いで逮捕。提供は2025年4月18日と9月12日と報じられています。
- 生レバー提供は2012年7月から厚生労働省の規制で禁止されており、内部汚染のリスクが理由です(科学的根拠あり)。
結論として、今回の逮捕は「違法な提供行為」に対する行政の対応を示す事例です。生レバー提供は禁止されているという事実と、その背景にある食中毒リスクを飲食事業者・消費者ともに再確認する必要があります。飲食店は即時にメニュー運用・従業員教育・記録管理を見直し、消費者は「メニュー外の提供」に対して慎重に対応してください。
行動(推奨):店舗は本日からチェックリストを実行、消費者は不明点を店員に確認する習慣を。問題があれば地方保健所に相談を。
8. よくある質問(FAQ)
Q1:生レバーを少量だけ食べても大丈夫ですか?
A1:少量であっても腸管出血性大腸菌は重症化する可能性があるため推奨されません。行政は生食禁止を定めています。
Q2:焼肉店で自分でしっかり焼けば問題ないですか?
A2:焼肉店であっても、提供元が「加熱用」として提供しない場合は問題です。提供者が加熱済みでないものを提供したり、非表示で提供した場合は違法となる可能性があります。
Q3:飲食店が証拠隠滅をしたらどうすれば良いですか?
A3:速やかに保健所または警察に相談してください。消費者の持ち帰り証拠が捜査のきっかけになる場合もあります。
出典・参考:TBS NEWS DIG、厚生労働省告知(2012年牛レバー生食禁止)、MHLW資料(2011年集団食中毒調査報告)ほか。
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