脱脂粉乳(スキムミルク)と全粉乳の違い|成分比較・使い分け・焼き比べで分かる選び方

脱脂粉乳と全粉乳の違いを比較するイラスト(成分・用途・選び方) 乳製品
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脱脂粉乳(スキムミルク)と全粉乳は見た目は似ていますが、脂肪分の有無によって味わい・保存性・料理での挙動が大きく変わります。本記事では公的データとメーカー栄養表をもとに、成分比較表、パン・お菓子での実践的な使い分け、代替時の配合・発酵の調整ポイント、実際の焼き比べ写真まで、初心者にも分かりやすくまとめます。用途別に「どちらを選べば失敗しないか」をすぐ分かる形でお届けします。

1. 脱脂粉乳と全粉乳の定義(法的・業界の見解)

まず定義です。日本の食品規格(乳及び乳製品の成分規格等に関する命令)では、全粉乳は牛乳から水分をほとんど除去して粉末にしたもの脱脂粉乳は乳脂肪分を除去したものを粉末にしたものと定められています(省令の定義)。

業界解説でもスキムミルク(脱脂粉乳)は脂肪がほぼ取り除かれているため保存性が高く、飲用以外に料理や製菓の材料として広く利用されていることが確認できます。

2. 成分比較(目安) — 100gあたりの代表値

以下は代表的な栄養成分の比較(参考値)。製品やメーカーで差がありますので、商品ラベルを必ず確認してください。主要な上位情報ソースの数値を参考にまとめています。

成分(/100g)脱脂粉乳(例)全粉乳(例)
たんぱく質約34〜36g約24〜27g
脂質約0.5〜1g約26〜28g
炭水化物(乳糖約50g約38g
水分≈3%以下≈2〜4%
エネルギー(乾燥粉基準)約360〜380kcal/100g約490〜520kcal/100g

※各数値は製品・測定条件により変動します。日本や海外の公表データを参考にしています。

3. 用途での使い分け(パン/製菓/飲料)

脱脂粉乳(スキムミルク)が向く用途

  • 低脂肪仕上げ(ダイエット用途、低カロリー商品)
  • 保存性を重視するストック材料(酸化しにくい) — ストック用や業務用に人気。
  • パン:発酵が安定し、焼き色が付きやすい(乳糖量が高いため)。あっさりした食感の食パンやハード系に向く。
  • ドリンクやスムージーに混ぜてタンパク・カルシウム補給。

全粉乳(全脂粉乳)が向く用途

  • コク・しっとり感が必要な菓子、ブリオッシュ、ケーキ、アイス等。
  • 乳脂肪があることで濃厚な風味を出したい製品向け。風味や口当たりを重視する商品に最適。
  • ただし脂肪分がある分、酸化リスクは相対的に高くなるため取り扱い注意。

4. 実践:パン作りでの代替・配合・焼き比べポイント(すぐ使える)

製法に影響を出したくない場合は次のポイントを目安にしてください(筆者の現場知見+公開情報を参考)。

基本の再構成(牛乳代替時の目安)

家庭用の目安(簡易)として、水90gに粉乳10gを溶かすと市販の牛乳に近い濃度になります(製品によって微調整)。※本記事前半の現場メモ参照。

粉乳を配合するパンレシピ(ベース配合例)

強力粉 250g

水(または再構成ミルク) 160〜170g
砂糖 15g
塩 5g
ドライイースト 3g
バター 15g(全粉乳使用時は減らしてもよい)
脱脂粉乳(粉) 10g(粉に直接混ぜる)

ポイント:脱脂粉乳を使うと乳糖がイーストの栄養になり発酵が安定します。全粉乳を入れると油脂分がグルテンの形成を多少阻害するため発酵をやや長めに取ると良い結果になります。実際のプロの検証でも、スキム(脱脂)と全粉乳で焼き色やしっとり度に差が出ると報告されています。

全粉乳→脱脂粉乳へ置換するときのヒント

  • 置換比率は1:1で大きな失敗は少ないが、しっとり感は減るためバター(または油脂)を5〜10g追加すると食感を補える。
  • 発酵時間は気温によるが、全粉乳使用時より脱脂粉乳の方が発酵が早く安定する場合がある(乳糖量の影響)。
  • 焼き色が欲しい場合は脱脂粉乳優勢(乳糖がより焼き色に寄与)。

5. 保存性・価格・選び方(業務目線)

脱脂粉乳は脂肪分が低いため酸化しにくく長期保存に向く点がメリットです。逆に全粉乳は風味が良い反面、保管での注意(湿気・高温回避)が必要です。公的な成分規格では粉乳の乳固形分や水分規格が定められていますので、購入時はラベルの「乳固形分」「水分」等も確認しましょう。

6. よくある質問(FAQ)

Q1. 粉乳はパンに使うとどのくらい風味が変わりますか?

A1. 一般的に脱脂粉乳はあっさり、全粉乳はコクが出ます。レシピ次第では差が小さくなるため、まずは少量で試作して調整するのがおすすめです。

Q2. 子ども向けや育児用の粉乳と調理用粉乳は違いますか?

A2. はい。育児用(調製粉乳)は栄養調整がされており用途が異なります。料理・製菓には一般的な脱脂粉乳/全粉乳を使い、育児用粉乳は乳児向けの目的で使ってください。

Q3. どの粉乳を常備すべき?

A3. 用途が多岐に渡る場合は脱脂粉乳を常備し、仕上がりを重視する製菓や特別なパンには全粉乳を別に用意するのが現実的です。


まとめ

  • 脱脂粉乳(スキムミルク):脂質が非常に低く保存性・コスト面で有利。パンでは膨らみ・焼き色が出やすく、あっさり仕上げに最適。
  • 全粉乳(全脂粉乳):脂肪が残るためコク・しっとり感が増すが酸化リスクが高まりやすい。リッチな菓子・ブリオッシュ系の生地に向く。
  • 実務的な選び方:低カロリー・保存重視なら脱脂粉乳、味の濃さ・しっとり感重視なら全粉乳。記事内の代替比率と焼き比べを参照して、用途ごとに使い分けよう。

脱脂粉乳=保存・低脂質・発酵安定/全粉乳=コク・しっとり感・風味重視。用途に応じて使い分け、代替時は油脂や発酵の微調整で仕上がりをコントロールしましょう。

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参考(抜粋):厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」、J-MILK(業界解説)、各社栄養表および製菓記事・専門媒体。

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。ゼミでは草地・飼料生産学研究室に所属。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

【保有免許・資格・検定】普通自動車免許・大型特殊免許・牽引免許・フォークリフト・建設系機械・家畜商・家畜人工授精師・日本農業技術検定2級・2級認定牛削蹄師

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