アルファルファ(ルーサン)は高タンパクで嗜好性が高く、酪農の自給飼料として注目を集めています。本記事では、圃場準備・播種・収穫のタイミングからサイレージ化、給餌設計、周産期の注意点まで、酪農現場で役立つ実務ノウハウを図表とチェックリストを草地・飼料生産学研究室に所属していた筆者がわかりやすくまとめました。

アルファルファは高タンパク!嗜好性も抜群
アルファルファ(ルーサン)とは — 酪農での役割
アルファルファ(英:alfalfa、欧:lucerne = ルーサン)はマメ科の多年生牧草です。蛋白質やビタミン、ミネラルが豊富で、乾草・サイレージ・ロールベールなど形態を変えて利用できます。高泌乳牛の粗飼料として有効で、乾物摂取量(DMI)を保ちながら乳量や乳成分の改善が期待されます。

アルファルファ(ルーサン)はマメ科の多年生牧草!

栄養特性(実務で押さえる値)
現場で即使える目安値を押さえておきましょう。
項目 | 目安 | 備考 |
---|---|---|
粗タンパク質(乾物比) | 約20〜25% | 収穫時期や乾燥度で変動。補助飼料とのバランスを確認。 |
中性洗浄繊維(NDF) | 品種・収穫時期で幅あり | 繊維が増えると採食量が減る傾向。開花前刈取を基本に。 |
土壌pH | 6.0〜7.0 | 排水良好な圃場が最適。石灰で調整。 |
収穫頻度 | 年3〜5回 | 気候・地域により変動。多収穫で品質維持。 |
ポイント:アルファルファはカリウム(K)含量が高い傾向があるため、周産期牛の代謝管理(DCADやカルシウム補正)を事前に設計してください。

アルファルファは粗タンパク20〜25%!乳量向上や子牛の育成に有効
栽培の基本
- 適地と土作り:排水良好でpH6.0〜7.0の畑が最適。石灰散布と堆肥投入で土壌を整えます。
- 播種量の目安:単播で10aあたり2.0〜2.5kg。混播する場合は種子比率を調整。
- 播種時期:春(3〜5月)または秋(9〜10月)。地域ごとの降雨パターンを確認。
- 雑草管理:発芽後3〜4週間の雑草管理が成功の鍵。初期管理で株立ちが決まります。
- 収穫と加工:開花前の段階で刈取り、乾草またはサイレージに加工。年3〜5回が一般的。
現場Tip:小規模導入ならまず1〜2ha程度で試験栽培し、サイレージ化や給餌プロトコルを確かめてから面積拡大するのがおすすめです。

適地は排水良好、土壌pH6.0〜7.0が最適!
給餌・給与方法の実務(現場で使える例)
アルファルファは形態により扱い方が変わります。下記は実用的な給与例です(個体群ごとに調整)。
乾草・ロールでの給与
個体管理がしやすく、採食量の調整や選抜採食対策が取りやすい。高泌乳牛群には乾物比で5〜8kg/日を目安に調整(配合飼料とのバランス必須)。
サイレージ併用
嗜好性が高く、搾乳牛舎での採食安定に役立つ。サイロの均一充填と密封管理で発酵品質を確保してください。
配合飼料とのバランス
高タンパクのため過剰窒素になりやすい。MUN値や尿素のモニタリングを行い、窒素過剰時は配合飼料の調整で対応します。
実践チェック(給餌前確認)
- 原料の乾物率と粗タンパクを把握しているか
- 周産期群のDCAD・カルシウム設計を済ませているか
- サイロ・乾燥設備の保守点検を実施したか

高タンパク飼料は窒素過剰に注意!配合飼料で調整
よくある課題と現場対策
導入して成果を出すために、よく起きるトラブルと対応策を先回りしておきましょう。
- 乾燥耐性が弱い:混播(稲科牧草との混播)や灌漑を活用し、耐旱性品種を選定。
- 選抜採食(選り好み):ロールやサイロの給餌設計を見直し、混合給与で対策。
- 周産期の代謝障害:Kが高めになりやすいのでDCAD管理を徹底。
- 品質ばらつき:収穫タイミング(開花前)と乾燥処理の標準化で安定化。

品質ばらつきは開花前収穫と乾燥処理の標準化で安定。ただし、落葉率が高いのに注意。
導入チェックリスト(現場で確認)
- 土壌検査でpHと養分を把握(pH6.0〜7.0が目安)
- 収穫回数・乾燥・サイロ設備の可用性を確認
- 給餌計画(どの群に何kg/日)を作成し、濃厚飼料と整合させる
- 周産期の栄養管理(DCAD等)を栄養士と確認
- まずは小面積で試験導入→結果を見て面積拡大
内部資料や導入記録は必ず残し、年度ごとに収量・品質・搾乳成績を比較してください。効果が見える化できれば投資の回収計画も立てやすくなります。

まずは小面積で試験導入!結果を見て面積拡大
よくある質問(FAQ)
Q. 初めてでも栽培できますか? A. 小面積での試験導入を推奨。初期管理(雑草・灌漑)を丁寧に行えば成功率は上がります。
Q. 収穫は何回が適正ですか? A. 地域と品種に依存しますが、年3〜5回が一般的。多回収穫で品質を維持できます。
Q. 周産期に与えるときの注意点は? A. K含量が高くなる傾向があるためDCAD管理やカルシウム補正を行ってください。
まとめと次の一歩
- アルファルファは乾物比で高タンパク(約20〜25%)を期待でき、乳量・乳成分の改善に寄与する有力な粗飼料。
- 最適土壌はpH6.0–7.0、播種は春または秋、収穫は開花前が基本(年3〜5回)。
- サイレージ・乾草・ロール形態ごとに給餌設計を工夫し、配合飼料との窒素バランス管理(MUN監視)が重要。
- K含量が高めのため周産期はDCADやカルシウム補正を徹底して代謝障害を防ぐ。
- 導入は小面積で試験→給餌プロトコル確立→効果検証の順がおすすめ。チェックリストで準備を可視化すると成功率が上がる。
アルファルファ(ルーサン)は酪農における強力な味方です。高タンパクで嗜好性が良く、適切な栽培と給餌設計を行えば乳量・乳成分の改善、飼料自給率の向上につながります。ただし栽培管理、周産期の代謝管理、サイレージ処理といった実務の積み重ねが重要です。まずは小面積で試験導入→給餌プロトコルを確立→年度ごとに効果検証、の順で進めましょう。

アルファルファは高タンパク!乳量・乳成分の改善に寄与
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