神奈川県立相原高校畜産科学科の魅力 ~実践学習で未来の畜産スペシャリストへ~

肉牛

神奈川県立相原高校畜産科学科は、全国でも珍しい「農業科」と「商業科」を併設する学校として、実践的なカリキュラムと充実した部活動で注目されています。この記事では、学校の特徴や実践学習、地域連携に加え、私自身の体験を交えながら、筆者の出身校である相原高校の魅力を詳しく解説します。

旧校舎

学校概要と学科構成

相原高校は、以下の4学科から成り、それぞれが専門性の高い教育プログラムを展開しています。

  • 畜産科学科
    鶏、豚、牛などの経済動物の飼育を通じ、畜産の現場で必要な知識と技術を実践的に学びます。
  • 環境緑地科
    地域環境の保全や緑地管理に関する最新知識を習得。
  • 食品科学科
    食品の安全性、品質管理、加工技術に焦点を当てたカリキュラムを提供。
  • 総合ビジネス科
    農業と商業の両面から実践的なビジネススキルを磨く教育が行われています。

クラス編成と最新設備

  • 少人数制指導:各学科は1クラス40人、総合ビジネス科は3クラス体制で、きめ細かな指導で、先生との距離感も近いです。
  • 進化した学習環境:かつて老朽化した校舎は移転し、最新設備を備えた快適な学習環境が整っています。
  • 魅力的な制服:青いシャツと青いネクタイの制服は、中学生からも人気です。

畜産科学科の実践カリキュラム

年次別の動物飼育プログラム

私が所属していた相原高校の畜産科学科では、学年ごとに担当する動物が異なり、段階的に専門知識と実践技術を習得できます。

  • 1年生:鶏の飼育
    動物の基本的な飼育管理方法や生態学を学び、基礎を固めます。
  • 2年生:豚の飼育
    豚の世話を通じて実践的な管理技術を身に付け、東京農業大学附属『富士農場』での研修もあり、現場感覚を養います。
  • 3年生:牛の飼育
    牛の飼育は、神奈川県内では相原高校と中央農業高校の2校のみが実施する貴重な実習です。実験で飼料成分を解析するなど、大学レベルの内容に匹敵するものもあります。
可愛い母豚と子豚ちゃんたち

文化祭:一年生では『ふれあい動物園』、2年生では『体育館で行われる劇』、3年生では『屋台の出店』をしました。特に三年生の屋台は2時間待ちの長い行列ができるほどの大盛況でした。ちなみに筆者の時はモツ煮を販売しました。

3年生で出店した屋台の看板

理論と実践の融合

実際の飼育作業と連動した理論授業により、現場で即戦力となるスキルを確実に習得できます。この実践力が、卒業後の進路選択で大きな強みとなっています。


部活動と地域連携で広がる実践の場

牛プロジェクトと部活動の実績

今回は私が所属していた畜産部牛プロジェクト(通称:牛プロ)をメインに紹介します。

牛プロジェクトは、畜産部の中心活動として、約40名の仲間と共に日々の飼育管理、搾乳、畑の野菜管理などの実務に取り組む部活動です。

  • 日常の実践作業:餌の給与、除糞、搾乳など、現場さながらの実習を行いながら、授業で学んだことを活かす実践経験を積んでいます。
  • 地域交流イベント「畜産フェア」:毎月第1・第3土曜日に開催される畜産フェアでは、自分たちで育てた豚肉、牛肉、卵、そして高校生が搾乳した相原牛乳を地域住民に提供し、交流を深めています。

大会での実績

日本学校農業クラブ連盟(FFJ)が主催する全国大会、プロジェクト発表会や家畜審査協議会、作文コンクールの『酪農の夢コンクール』や『毎日農業記録賞』などにも積極的に参加おり、結果を残しています。

特に相原高校では、共進会と呼ばれる牛の品評会にも力を入れており、私自身もこの大会でリーダーを務めた経験があります。

  • 私が率いた共進会班では、愛牛「アイハラ アクミー ワサビ」を平成29年度神奈川県乳牛共進会に出場させ、見事にジュニアグランドチャンピオンの栄冠を獲得しました。
  • この経験は、私にとって単なる大会での成功に留まらず、日々の努力やチームワークの大切さ、そして現場でのリアルな学びの積み重ねを実感できる貴重な体験でした。

平成29年度神奈川県乳牛共進会にて

その他の部活動と地域連携

牛プロジェクト以外にも、馬部や災害救助犬の訓練を行う犬部など、ユニークな部活動が展開され、地域との連携も盛んです。これらの活動は、実際の現場経験を通じてリーダーシップや協働作業の重要性を学ぶ絶好の機会となっています。他の高校では経験できない部活動になっています。


卒業生の進学実績とキャリアパス

相原高校畜産科学科の卒業生は、実践学習で培ったスキルを活かし、多彩な進路へと進んでいます。

  • 牧場就職:実際の現場経験を即戦力として活かし、牧場で活躍する卒業生が多数います。
  • 農業協同組合(JA):地域密着型の農業支援やサービス業務に従事する道を選ぶ人も!
  • 農業大学への進学:東京農業大学、酪農学園大学など、さらに専門性を深める進路があり、筆者自身も北海道の酪農学園大学農食環境学類循環農学科へ進学しています。

これらの進路は、相原高校での実践的な学びがしっかりと基盤となっている証です。


私の体験談 ~相原高校で得た一生の財産~

相原高校での学びは、ただの学校生活にとどまらず、私にとって一生忘れられない貴重な経験となりました。

  • 情熱と努力の毎日
    牛プロジェクトでの日常作業や、共進会に向けた準備は決して楽なものではありませんでした。しかし、現場での実践作業を通じて得た技術や知識、そして仲間との絆は、今の私の大きな財産です。今でも心の支えになっています。
  • 栄光と苦い別れ
    平成29年度の共進会で愛牛「アイハラ アクミー ワサビ」と共にジュニアグランドチャンピオンに輝いた瞬間は、努力が実を結んだ喜びと誇りに満ちた瞬間でした。一方で、長年育てた牛とのお別れのときは、とても切なかったです。
  • 実践から学んだこと
    私の体験は、技術だけでなく、人間として成長するための多くの教訓を教えてくれました。日々の努力、仲間との協力、そして困難を乗り越える強い意志は、今後のキャリアにおいても必ず活かされると確信しています。実際に大学に進学した後は関西の牧場に就職し、農場長として活躍しています。

是非、相原高校でしか経験できない学びを

                             (旧校舎 銀杏並木)


まとめ ~未来の畜産・農業界を担う人材育成の現場~

神奈川県立相原高校畜産科学科は、実践的なカリキュラムと充実した部活動、さらには地域連携を通じて、未来の畜産・動物科学のプロフェッショナルを育成する理想的な環境であり、他の高校生活では絶対に経験できないような夢のいっぱい詰まった場所です。

  • 実践学習の充実:1年生から3年生まで、段階的な動物飼育プログラムにより、確かな基礎と応用力を養成。
  • 部活動での成果:畜産部などのユニークな部活動での経験を通じ、実践的なスキルとリーダーシップを培う。
  • 明確なキャリアパス:牧場就職、JA、農業大学進学など、多様な進路が用意されており、私自身の体験もその証明です。

相原高校での学びと経験は、一生の宝物となるとともに、未来の畜産・農業界で活躍するための大きな基盤となっています。この記事が、相原高校に興味を持つ学生や保護者、そして進路を模索する皆様にとって、有益な情報源となることを願っています。

次回の記事では、筆者の進学先である酪農学園大学での学びについても詳しくご紹介する予定です。

筆者の経歴を知りたい方はこちら

この記事を書いた人

神奈川県横浜市の非農家に生まれる。実家では犬を飼っており、犬部のある神奈川県立相原高校畜産科学科に進学。同級生に牛部に誘われ、畜産部牛プロジェクトに入部。牛と出会う。

大学は北海道の酪農学園大学に進学。サークルの乳牛研究会にて会長を務める。

今年で酪農歴10年!現在は関西の牧場にて乳肉兼業農場の農場長として働いています。

毎日牛乳1L飲んでます!

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