- 自己申告型の乳糖不耐症を自覚する人は、牛乳摂取量とカルシウム摂取量が低く、前腕(橈骨)の骨密度が有意に低い傾向が確認されました。
- 乳糖不耐症の「お腹がつらい」症状が原因で乳製品を避けることが、長期的に骨の健康へ悪影響を与える可能性があります。
- 現実的な対策は「A2ミルクの活用」「乳製品以外からのカルシウム補給」「必要なら医師・栄養士へ相談」です。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしてしまう――そんな「乳糖不耐症」を自覚する人は日本で約2〜3割と推定されます。最新の解析研究(弘前大学大学院医学研究科と雪印メグミルクの共同研究)では、自己申告型乳糖不耐症とカルシウム摂取量、骨密度の間に明確な関連が確認されました。本記事では研究の核心を酪農家の視点で丁寧に解説し、現場で実践できる具体策を示します。
研究の要点(根拠)

対象・データ
本研究は、青森県弘前市の住民健診データ「岩木健康増進プロジェクト」から得られた健常成人843名を解析対象としています(自己申告型乳糖不耐症の有無を問う調査を含む)。
主な結果
- 対象の22.7%(約191名)が自己申告型乳糖不耐症を自覚していた。
- 乳糖不耐症自覚者は牛乳摂取量と総カルシウム摂取量が有意に低く、カルシウム摂取量は約20〜30%低下していた。
- 骨密度測定(前腕:橈骨)で、乳糖不耐症群のZスコア・Tスコアが有意に低く、骨健康リスクの増加が示唆された。
研究の意義
この研究の特徴は「自己申告型」に着目している点で、医療機関で診断を受けていない日常的な自覚症状と骨健康の関連を示したことにあります。すなわち「日常的に牛乳を避ける人」が実際にカルシウム不足に陥りやすい実態を、住民レベルのデータから明らかにした点が重要です。
専門家としての推奨アクション(すぐできる現実的対策)
1) A2ミルクを試す
「A2ミルク」は、乳糖不耐症の多くの人で不快症状が出にくい選択肢です。まずは少ない量から試し、問題がなければ日常的に取り入れることでカルシウム摂取を確保できます。
2) 乳製品以外でカルシウムを補う
- 小魚(しらす干し、いわし煮干し)
- 大豆製品(豆腐、納豆)
- 緑黄色野菜(小松菜、チンゲンサイ)
- カルシウム強化食品(特に乳糖が少ないもの)
食品換算で1日の目安(成人)約650〜800mgを目標に、複数の食品に分けて摂取するのが現実的です(年代・性別で目標量は異なりますので詳細は後述)。
3) 必要なら専門家に相談
頻繁に下痢や腹痛が出る場合は消化器科や栄養士に相談し、乳糖吸収検査や食事指導を受けることを推奨します。自己判断で乳製品を完全に断つ前に、代替方法を専門家と検討してください。
短期アクションプラン(3週間で実行)
- まず1週間:毎朝100mlの乳糖分解乳を試す(問題なければ継続)。
- 2週目:食品でカルシウムを意識的に追加(小魚+豆腐など)。
- 3週目:症状が強ければ医師へ相談、継続可能なら摂取記録をつけて月単位で骨密度チェックを検討。
実践的な栄養換算表(簡易)
| 食品 | 目安量 | カルシウム量(mg) |
|---|---|---|
| 牛乳(普通) | 200ml | 220 |
| A2ミルク | 200ml | 約220(製品差あり) |
| しらす干し | 30g | 200 |
| 豆腐(木綿) | 100g | 80 |
| 小松菜(茹で) | 100g | 120 |
(注)数値は一般的な食品成分表の目安。製品によって差があるため、パッケージ表示を確認してください。
よくある質問(Q&A)
Q1:A2ミルクなら完全に安心ですか?
A:多くの人は症状が軽減しますが、個人差があります。乳糖ではなく牛乳蛋白で反応する人もいるため、症状が重い場合は専門医の診断を受けてください。

Q2:牛乳を飲めない高齢者はどうすれば良いですか?
A:小魚や大豆製品、カルシウム強化食品を組み合わせて摂ることが現実的です。咀嚼・嚥下に問題がある場合は医療職と相談して処方補助食品の検討を。
記事のまとめ
- 自己申告型乳糖不耐症は日本人の約22.7%で、牛乳・カルシウム摂取量が低下している。
- 研究データでは前腕(橈骨)骨密度が低い傾向が見られ、長期的な骨健康リスクの懸念がある。
- 対策は「A2ミルクの活用」「乳製品以外からのカルシウム補給」「必要なら専門家に相談」の3本立てが現実的。
参考・出典(本文で引用した主要情報)
- 弘前大学大学院医学研究科・雪印メグミルク 共同研究(2026年1月発表) — Self-reported lactose intolerance is inversely associated with calcium intake and bone mineral density(岩木健康増進プロジェクトの解析)
- 研究論文(2025年12月掲載の学術誌 抄録・本文) — 所定の統計解析に基づく結果(対象843名)
(注)本文の数値・結論は上記の研究発表を基に整理しました。論文の詳細や具体的数値は原著をご確認ください。
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