2025年12月22日、マルハニチロは北海道帯広市にある「十勝加工場」事業を会社分割のうえ新会社(株式会社十勝ミートセンター)に承継し、その全株式をOICグループ(ロピア運営)へ譲渡すると発表しました。本稿では公式IRと買い手側の発表を踏まえ、ロピアの北海道戦略、地場畜産への影響、消費者価格や流通構造に与える示唆を業界視点で整理します。
取引の事実(簡潔)
マルハニチロは同日、十勝加工場事業を会社分割(簡易新設分割)により新設会社「株式会社十勝ミートセンター」に承継させ、当該新設会社の発行済株式を2026年4月1日付でOICグループに譲渡する旨を公式に発表しました(発表:2025年12月22日)。主要な業績指標として、当該事業の2025年3月期売上高は約45億円、営業利益は約4,600万円と示されています。
譲渡価額は非開示ですが、スキーム(会社分割→株式譲渡)および譲渡実行日が公式IRで示されている点は重要です。
買い手(OICグループ=ロピア運営)の狙い
OICグループはロピアの全国展開を進める中で、食肉の安定供給体制を強化する狙いがあります。十勝加工場の取得により、北海道産の国産牛を自社流通網で安定供給し、店舗での低価格・大量販売を支えることが見込まれます。公式リリースでも「十勝ミートセンターがOICグループに新たに参画する」と発表されています。
実務面で期待される効果
- 原料調達の近接化 → 輸送コスト削減や鮮度管理の改善
- 小売と加工の垂直統合で在庫回転率向上・陳列価格の安定化
- 帯広(十勝)地域の加工受託パイプライン強化で生産者の販売先多様化
帯広・十勝地域への影響(現場視点)
十勝は和牛・ホルスタイン系の生産基盤がある地域で、加工場が地元供給ルートとして機能すれば地場経済にプラスです。一方で、小売主導の価格競争が強まると、生産者価格に与える影響や加工条件の交渉力変化が出る点は留意が必要です。
ポイント:
- 地元の中小加工業者との差別化:OICは大量流通が得意なため、小ロット生産者との取引条件をどう組むかが鍵。
- 労働力・設備投資:取得後にライン改修や衛生基準アップの投資が行われれば地元雇用が守られる可能性。
- ブランド化と価格レンジ:ロピアは低価格戦略が特徴だが、十勝産の付加価値商品(地方ブランド)をどう扱うかで地域評価は分かれる。

業界への示唆(流通・価格面)
国内牛肉は輸入依存度が高い市場構造ですが、国産牛の“流通最適化”が進めば、一部店舗での国産牛の陳列比率増→消費者の選択肢拡大→価格帯の多様化が期待できます。反面、低価格競争による原価圧縮要求が生産者に波及すると、品質維持コストとのバランスが課題です。
FAQ
Q1:譲渡額は発表されていますか?
A1:非公表です(公式IRでは譲渡価額は非開示)。
Q2:従業員や契約乳業者の扱いは?
A2:会社分割に伴い新設会社が該当事業の権利義務を承継すると明示されていますが、雇用条件の詳細は今後の移行計画で明らかになります。公式IRでは債務履行見込みについて問題ない旨の記載があります。
Q3:消費者(買い物客)にとっての違いは?
A3:即時的な価格低下が起きる可能性はあるが、長期的には品揃え(国産比率・加工品ラインナップ)や安定供給がメリットになり得ます。店舗ごとの売価は今後の価格政策次第です。
記事のまとめ
- 取引は「会社分割→新設会社の株式譲渡」で、譲渡実行は2026年4月1日(発表:2025年12月22日)— 公式IRでスキームが明記。
- OIC(ロピア)側は国産牛の安定供給と低価格化を狙い、北海道での流通・販売網強化を目指す(買収は外部供給の内製化に近い意図)。
マルハニチロの十勝加工場事業譲渡は、OICグループの流通強化とロピアの低価格供給戦略を支える布石です。地域と消費者にとっての恩恵とリスクを併記しつつ、今後の運用(価格政策・地元との協働)に注目してください。
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